医者に 診断されたの は 、
“ 心因性失声症 ” だった 。
心理状態…わかりやすく言うと、心の調子が悪くなって
喉も脳も 、 なにもおかしくなくても
声が消えてしまう 病気 らしい 。
俺は喜んでしまった 。
ただ やっぱり 、 表情は あまり 動かなくって 、
そんな 俺の横で 泣きじゃくる なつをみて
また 迷惑かけて 、 悲しませて 、
なんで おれって 生きてんだろう って 苦しんだ 。
赤 「 なんか 、 俺が 泣いちゃってごめんな … 、 」
なつは 悪くないよ 。
そう言いたくても 、 声が出なかった 。
あ … でもどうせ 、 声が出たところで
こんな 優しい言葉 言わないな 。 そう思ったら 、 少し楽になった 。
もう 誰も 、 俺の言葉 で 傷つかないから 。
赤 「 … なあ 、 明日 デート行こうぜ 、 」
紫 「 … ( ふるふる 」
静かに 首を横に振って
なつの 提案を やんわりと 断る 。
赤 「 … そうだよな 、 ごめん … ( ぎゅっ 」
いつもは 剥がしていた なつの はぐが 、
なんとなく 受け入れられて
俺の体は “初めて” 素直に 抱き返した 。
赤 「 … ! … ありがとな 、 ( にこっ 」
少し 驚いた顔を した後に
嬉しそうに 微笑む なつをみて 、
すごく 安心した 。
いいんだ 、 俺も甘えて 。
俺 、 彼女らしく 、 丸く 優しく いてもいいんだ 。
男だけど 、 吊り目だけど 、
それが 正解なんだ 。
そうやって 自分の 理想を呑み込めて
嬉しくて …
紫 「 … っ 、 だいすき … 」
あの日から 3日 、 ようやく声が出た 。
赤 「 … !? // 」
なつは 驚くような 、 嬉しいような 、 どこかくすぐったい笑顔で
俺を 見つめてくれた
赤 「 俺も大好き 、 ( にひっ 」
声が出るって 大切なんだ 、
傷つけるかもしれないけど 、
声が出ないと 、 好きも ありがとうも 言えないから 。
言葉が話せなくって いい事 も あったけど 、
言葉 が ないと俺は 俺じゃない 。
紫 「 ありがとな 、 なつ 、 ! 」
ようやく 一歩 、 素直になれた 。
完結 。







