「どういうこと···?」
「別にそのまんまだけど。若井はないの?ひとりでシてもスッキリしないっていう時ない?」
若井の顔が赤くなる。
まさか僕にそんなことを聞かれるなんて思っても見なかったんだろう。
「わかるような気もする、けど···なんか今日の涼ちゃん···いつもと違う」
いつもってなんだろう。
若井の思う、いつもの僕って?
純粋無垢とでも思ってるの?
僕はそんな人じゃない。
「そう?これも僕だけど···で、若井は僕に何してくれるの?眠る手伝い?」
飲み終わった缶を机に置くと静かな部屋にコン、と音が響く。
僕はそんな若井が想うに値するような人じゃない。
だからもう帰って。
僕が好きな人を君も好きになってハッピーエンドでいいと思う。
僕はひとりでもいいから。
いつもよりなんだか酔いがまわってくらくらしてきた。もういいやって若井を置いて寝室に入ろうとしたその時、後ろから抱きしめられて動けなくなった。
「···涼ちゃんが眠れるなら、苦しくないなら、なんでもする」
「なんでも?」
「なんでも」
僕は元貴が好きで。
元貴は若井が好きで。
たぶん若井は僕が好きで。
だから正しい答えは、別になんでもないから大丈夫、若井は帰りなよ、だ。
けど口から出た言葉は全く違う酷いものだった。
「じゃあ、僕のこと抱ける?そういう事できる?そういうことしたら眠れるかなって思うんだけど」
酷い言葉だ。
若井の気持ちを、好きな人が想う人を弄んで、あげく身代わりにしようだなんて。
「抱けるよ。いくらでも」
「なにいってんの···ばかじゃない」
はっ、と思わず声が出た。
けどその次の言葉は若井の唇に塞がれて続かなかった。
「ぁ、はっ···? 」
「なんで逃げるの、涼ちゃんが言ったんだよ」
僕はベッドに押し付けられて、若井はキスをしながら服を脱いでいく。
「涼ちゃん···何も考えないでいいから」
「ちょっと···んっ、ぁ、ふぁ···」
酔った身体に若井の手の感覚が気持ち良くて、キスをされるたびに酸素が足りなくてクラクラして、思わず目を閉じてされるがままになる。
「ローションとゴムある?」
若井の言葉に一気に現実に引き戻される。
ここで止めれば···まだ引き返せるだろうか?
でも···。
僕はベッドの隣にある棚をゆっくりと指さしてしまった。
若井に躊躇いなどはなく、気付けば裸になっていた僕をぎゅっと抱きしめてから深くゆっくりとはいってきた。
それは僕が望んでいた気持ちよさで···何度も元貴を思って想像していたそれだった。
「はっ···あぁ···!っん、んんっ···」
「涼ちゃん···いい···っ?」
「いい、すっごく···っぁ!」
後悔や自己嫌悪が訪れるより先に気持ちよさで心と身体が満たされるのを感じて。
ここ最近の寝不足もあって、久しぶりに落ちるように僕は眠っていた···若井の温かい腕の中で。
コメント
9件
わかってはいたけど、嬉しい展開です🫣💙💛 💙は実はぜーんぶわかってて、でも💛ちゃんが好きだから、このチャンスは逃せないと思ったりしてたり?!とか楽しい妄想が止まらない三角関係です🫶笑
きゃあ〜〜〜💙💛(待ってました) ちゃんと、ちゃんとあのセットを確認してるぅ〜〜〜ちゃんと涼ちゃんの身体を労ってて嬉しい☺️(やっぱり親心) そして、良くないと頭で分かってるのに、若様に気持ちよくされちゃうりょさん…最高でございます、ありがとうございます💙💛 …元貴くん?何やってんのかな?君がウォーミングアップで体あっためてる間に、あっちはもう2人であったまっちゃったよ???

若井さんはハグしたりキスしたり、藤澤さんに愛情があるはずなのに、ゴムとローションの有無を聞く時ヤリ目的か?ってくらい事務的でちょっと怖い。