※ヒスイちゃん視点になります。ご注意ください
3人目の転生者がやってきた、翌朝。
私は、ハルカに呼び出されて彼の家へとやってきた。手元の地図を確認しながら、当たりを見渡す。
「ヒスイ!こっちだよ」
こたらに向かって手を振る彼に駆け寄る。
「ハルカ、おはよう。
あの子の様子はどうかな?」
「うん、もう目は覚めたんだけどね。これからどうしようってことで…君を呼んだんだ。」
「そっか、わかった。それじゃあ、向かおっか」
ハルカの案内で、彼の家へと向かった。
***
彼の家のベッドには、3人目の転生者が腰掛けていた。
鮮やかな桃色の髪に、赤みがかった瞳。
どこか遠くの方をぼんやりと見つめる彼女は、私に気づくと大きく目を見開いた。
「こ、こんにちは。私、ヒスイって言うの。
転生者っていうのは、あなた?」
私が自己紹介をすると、彼女はより大きく目を見開く。
「ありえない」とでも言いたげな、そんな顔。
「私、アイラ。」
「アイラちゃんか。よろしくね…!」
「うん。よろしく。」
小さく微笑む彼女、アイラと握手を交わした。
「ヒスイはね、僕の大親友なんだ。
とってもいい人だから、君もすぐに仲良くなると思うよ。」
「大親友」という言葉に、ピクリと反応した彼女は、こんなことを尋ねた。
「大親友…?1番の仲良しなの…?」
「そう!他にも、トウカって言う子もいてね!
ヒスイとトウカも君と同じ転生者なんだ」
トウカ、その名前に彼女の表情が一瞬曇ったように見えた。
「いいな、親友…。私も友達欲しい。」
そう、彼女が寂しげにつぶやく。
彼女には、どんな背景があってこの場所に転生してきたんだろう。
転生者の記憶は、かなり個人差が出るらしい。
私は、全く記憶にないけど、トウカだったり、
この子は、きっと記憶が残っている方なのだろう。
「大丈夫!僕達、もう友達だからね!
きっとすぐ馴染めるよ、」
「本当?ありがとう。ハルカって優しいのね。」
嬉しそうに、アイラは笑った。
ハルカの目を真っ直ぐと見つめて、感謝を伝える。
その瞬間、一瞬だけハルカの表情が撥条の切れた人形のように、動きを止めた。
この時の違和感について、私は辺に探ることもしなかったし、「気のせい」で片付けてしまっていた。
窓の外で風が何かを訴えかけるように唸っている。
「最近、天気良くないみたいだね。」
「そ、そうだね…。この前まであんなに、晴れてたのに。」
「ねぇ、ハルカ?」
「何?アイラ」
「少し、ヒスイさんと2人にしてくれないかな…転生者同士で話したいことがあってね」
そういたずらっぽく笑う彼女に、ハルカは「仕方ないなぁ」と言って、部屋を出ていく。
あれ、ハルカ、あんな言い方する人だったかな。
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