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#にょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ゆろଳ/𝕣𝕦𝕓𝕖也
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水星って、本当に最高なんです。
太陽系のいちばん内側を、猛烈な速さで駆け回る小さな惑星。見た目は月に似た、クレーターだらけの岩石惑星。でも、詳しく知れば知るほど、「えっ、そんなことになっているの?」という驚きが次々に出てくる、太陽系屈指の変わり者です。
水星は、太陽のすぐそばにいます。
地球から見ると、太陽の近くをちょこちょこと動くため、観察できる時間は短く、日の出前や日没後の低い空に一瞬だけ現れます。夜空のど真ん中に堂々と輝くことはほとんどありません。太陽から離れて見える角度が小さいので、見つけるには少しコツが必要です。
その姿は、まるで太陽のそばを走り回る小さな黒い旅人。
でも、この小さな惑星の中には、太陽系の歴史、惑星形成の謎、極端な温度、奇妙な時間の流れ、そして氷まで詰まっています。
水星は、太陽系の惑星の中で太陽に最も近い惑星です。
太陽から水星までの平均距離は約5,790万キロメートル。地球と太陽の距離が約1億5,000万キロメートルなので、水星は地球よりはるかに太陽の近くを回っています。
太陽の周りを一周するのにかかる時間は、わずか約88日。
地球でいう1年が、水星では約88日しかありません。つまり、水星に住めたとしたら、地球の感覚では3か月に満たない期間で「1年」が終わってしまいます。水星生まれの人がいたら、地球の年齢を聞いて「えっ、そんなに若いの?」と驚くかもしれません。
ただし、水星の「1日」はとても長いです。
水星が自転して一回転する周期は約59日。そして太陽の周りを一周する公転周期は約88日。この組み合わせによって、水星では太陽が空を一周して、次に同じ位置へ戻ってくるまでの太陽日が約176日になります。
つまり、水星では一つの昼と一つの夜が終わるまで、地球時間で約176
今度はその中でも水星について全力で語って一人称は僕で
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僕、水星が大好きです。
太陽系の惑星の中で、水星はたぶん一番「誤解されやすい惑星」だと思います。太陽に一番近い。小さい。表面はクレーターだらけ。大気もほとんどない。地球から見ると、太陽の近くをちょこちょこ動く小さな光の点。
でも、そんな簡単な言葉では、水星の魅力は全然語り切れません。
水星は、太陽系の最内側で、猛烈な環境に耐えながら回り続けている、ものすごく個性的な惑星です。灼熱と極寒、昼と夜の極端な温度差、地球とはまったく違う一日の長さ、奇妙な自転と公転の関係、巨大な金属核、わずかな磁場、そして永久影に閉ざされた極域の氷。
水星は小さいけれど、決して単純ではありません。
むしろ、知れば知るほど謎が増えていく惑星なんです。
まず、水星は太陽に一番近い惑星です。
水星と太陽の平均距離は約5,790万キロメートル。地球と太陽の距離の約4割ほどです。地球から見ると、太陽のすぐそばを回っているため、夜空の高い位置に現れることはありません。夕方の西の空、あるいは明け方の東の空に、短い時間だけ姿を見せます。
だから、水星は見つけるのが少し難しいんです。
金星のように明るく長時間輝くわけでもなく、火星のように赤く目立つわけでもない。太陽から離れすぎると見えないし、太陽に近すぎると太陽の明るさに埋もれてしまう。
でも、だからこそ僕は水星を見つけたとき、特別な達成感があります。
夕暮れの空が少しずつ暗くなっていく中で、地平線近くにぽつんと浮かぶ小さな光を見つける。その光が、水星です。太陽系の最深部を回る小さな惑星が、ほんの短い時間だけ、僕たちに姿を見せてくれている。
「見えた!」という瞬間に、ただの星を見る以上の感動があります。
水星は太陽の周りを、約88日で一周します。
地球の一年が365日なのに対して、水星の一年はわずか88日。つまり、水星の住人がいたとしたら、誕生日がものすごい勢いでやってきます。地球で1年過ごす間に、水星では4年以上が経過することになります。
この短い公転周期は、水星が太陽の強い重力を受けながら、ものすごい速度で太陽の周りを回っているからです。水星の公転速度は平均で秒速約48キロメートル。地球の公転速度よりもずっと速い。
秒速48キロメートルということは、1秒間に48キロメートル進むということです。東京から大阪までの距離を、数秒で駆け抜けるような速度です。
水星は、太陽の周りを本当に猛烈な勢いで走っています。
しかも、その軌道は太陽系の惑星の中でもかなり細長い楕円形です。太陽に近づくときと遠ざかるときで、太陽からの距離が大きく変化します。太陽に最も近づいたときは約4,600万キロメートル、最も遠ざかったときは約7,000万キロメートルほど。
水星の一年は短いだけでなく、太陽との距離も大きく変わる、かなり個性的な一年なんです。
そして、水星の自転も本当に面白いです。
水星は、自転周期が約59日です。一方、公転周期は約88日。この二つの周期が、ちょうど2対3の関係になっています。
水星は太陽の周りを2回公転する間に、3回自転します。
この状態を「自転と公転の3対2共鳴」と呼びます。言葉だけ聞くと難しそうですが、簡単に言えば、水星は太陽に対して、ただ無秩序に回っているのではなく、非常に独特なリズムで回っているということです。
水星では、太陽が空に昇ってから沈むまでの時間が、地球の感覚とは大きく違います。水星の「太陽日」、つまり水星の表面から見て太陽が同じ位置に戻ってくるまでの時間は、約176地球日もあります。
水星の一年は約88日なのに、水星の一日は約176日。
つまり、水星では「一日」が「一年」の2倍あるんです。
これはすごすぎませんか。
水星では、日の出から次の日の出までに、水星の一年が2回分進みます。太陽が昇ったら、そこから約88日かけて太陽が空を移動し、さらに約88日かけて次の日の出を迎える。
しかも、水星の軌道が楕円形であることと、自転・公転の関係によって、場所によっては太陽が空でいったん止まったり、逆方向に動いて見えたりする現象も起こります。
水星の空では、太陽が普通に東から西へ動くとは限りません。
ある場所では、太陽が昇って空を進んでいったかと思うと、途中で動きが止まり、逆戻りするように見えます。そしてまた進み始める。太陽が空で踊っているような、奇妙な日の運行です。
僕たちが地球で当たり前だと思っている「太陽は東から昇って西へ沈む」という感覚が、水星では大きく崩れるんです。
水星の昼は、想像を絶するほど暑くなります。
大気がほとんどないため、地球のように熱を運んだり、保ったりする仕組みがほとんどありません。太陽の光が直接当たる昼側では、表面温度が約430℃に達することがあります。
鉄が赤くなるほどではないにしても、鉛の融点に近いほどの高温です。人間はもちろん、通常の機械や宇宙船にとっても極めて過酷な環境です。
ところが、夜になると一気に冷えます。
水星の夜側では、表面温度が約マイナス180℃まで下がることがあります。
昼は約430℃、夜は約マイナス180℃。
温度差は600℃以上です。
同じ惑星の表面で、場所と時間によってこれほど極端に環境が変わる。これは、水星の大気がほとんどなく、熱を運ぶ空気や海が存在しないためです。
地球には厚い大気や海洋があり、太陽から受けた熱がある程度移動します。昼の側から夜の側へ熱が運ばれるので、昼と夜の温度差が水星ほど激しくなりません。
でも水星には、そうした熱のクッションがない。
太陽の光を浴びた地面は猛烈に熱くなり、太陽が当たらなくなれば、その熱を宇宙へ放出して急激に冷えていく。まさに、宇宙空間にむき出しになった岩石の世界です。
「太陽に一番近いから、太陽系で一番暑い惑星なんだろう」と思われがちですが、平均表面温度が最も高いのは金星です。金星は非常に厚い大気を持ち、強烈な温室効果によって熱を閉じ込めています。
一方、水星は太陽に近いのに大気がほとんどないため、昼夜の温度差が極端です。
水星は、ただ暑い惑星ではありません。
暑さと寒さの両方を、極端な形で抱えている惑星なんです。
そして、この「ほとんど大気がない」という特徴も、水星の大きな魅力です。
水星には、地球のような厚い大気はありません。厳密には、表面から放出された原子などによる非常に薄い「外気圏」が存在します。酸素、ナトリウム、水素、ヘリウム、カリウムなどの原子が、極めて希薄な状態で周囲に漂っています。
でも、それは僕たちが普通に思い浮かべる「空気」とはまったく違います。
水星の表面に立っても、息をすることはできません。風が吹くような大気もありません。雲もありません。青い空もありません。
水星の空は、昼でも黒いままです。
太陽がまぶしく輝いていても、その周りの空は黒い。地球では、大気が太陽光を散乱させるため、昼の空は青く見えます。しかし水星には、その光を散乱させる十分な大気がない。
黒い空に、猛烈な太陽が浮かんでいる。
水星の風景を想像すると、僕はそこに強烈な異世界感を覚えます。
空は黒い。地面は灰色や茶色の岩石。遠くまでクレーターが続く。太陽は地球から見るよりずっと大きく、ずっと明るい。影は真っ黒で、光が当たった場所との境界が極端にくっきりしている。
まるで、太陽系の黎明期から時間が止まったような世界です。
水星の表面には、無数のクレーターがあります。
これは、月の表面によく似ています。大気がほとんどないため、小さな隕石が燃え尽きずにそのまま表面へ衝突します。さらに、風や雨、海、火山活動による大規模な浸食がほとんどないので、何億年、何十億年も前の衝突跡が残り続けています。
水星の地面を見ることは、太陽系の古い歴史を読むことに近いんです。
クレーターの一つひとつが、過去に起きた衝突の記録です。いつ、どの方向から、どれくらいの天体がぶつかったのか。そこから、水星の表面がどのように変化してきたのかを推測できます。
月にも大きなクレーターがありますが、水星には水星ならではの巨大な衝突盆地があります。
その代表が「カロリス盆地」です。
直径は約1,500キロメートルにも及びます。水星の直径は約4,880キロメートルなので、惑星全体の大きさから考えても非常に巨大です。太陽系初期、巨大な天体が水星に激突し、その衝撃が惑星全体に伝わったと考えられています。
カロリス盆地の反対側には、地形が激しく入り組んだ「対蹠地形」と呼ばれる場所があります。大衝突による地震のような衝撃波が水星内部を伝わり、反対側の地面を大きく乱したと考えられています。
一つの衝突が、惑星の反対側にまで影響を及ぼす。
水星は小さな惑星なのに、内部まで含めて一つの巨大な物体として反応しているんです。
そして、水星には「しわ」があります。
水星の表面には、長く伸びた崖のような地形がたくさん存在します。これらは「急崖」と呼ばれ、水星が冷えて縮んだことでできたと考えられています。
水星は形成された当初、今よりも高温だったはずです。時間が経つにつれて内部が冷え、惑星全体がわずかに収縮しました。その結果、表面の地殻が押し縮められ、大地に巨大な段差や崖が生まれた。
地球で言えば、惑星全体に刻まれた「冷却のしわ」です。
この崖の中には、高さが数キロメートル、長さが数百キロメートルに及ぶものもあります。水星は静止した死んだ岩石ではありません。内部が冷え、縮み、表面が変形してきた歴史を持っています。
水星には、かつて火山活動があった証拠もあります。
現在の水星は静かなように見えますが、遠い昔には内部の熱によってマグマが地表へ噴き出していました。広大な平原を作った溶岩の跡や、火山活動に関連する地形が見つかっています。
ただクレーターがあるだけではありません。
衝突があり、火山があり、地殻が縮み、惑星内部が冷えていった。水星の表面は、太陽系初期から現在までのさまざまな出来事を保存している、巨大な地質記録なんです。
僕が水星について特に驚かされるのは、その「中身」です。
水星は小さい惑星なのに、巨大な鉄の核を持っています。水星の半径のかなりの部分を、金属質の核が占めていると考えられています。
地球にも鉄を主成分とする核がありますが、水星では惑星全体に対する核の割合が非常に大きい。外側の岩石の層が相対的に薄く、中心部に巨大な金属核が詰まっているような構造です。
まるで、岩石の惑星というより、「巨大な鉄の球に岩石の外殻をかぶせた惑星」です。
なぜ水星にこれほど大きな核があるのか。
これは水星の大きな謎の一つです。
太陽に近い場所で惑星が形成されたため、軽い物質が飛ばされ、金属や重い物質が残ったという説があります。あるいは、形成初期に巨大な天体が水星へ衝突し、外側の岩石が吹き飛ばされたという説もあります。太陽系が生まれたばかりの頃、水星が激しい衝突を経験した可能性もあります。
しかし、まだ完全には分かっていません。
この「なぜ核が大きいのか」という謎は、水星がどこで、どのように生まれたのかを知るために重要です。水星は小さく見えて、実は太陽系の形成過程を解く鍵を握っているかもしれません。
さらに驚くことに、水星には地球のような磁場があります。
水星の磁場は地球ほど強くありませんが、確かに存在します。小さな惑星で、太陽に非常に近く、内部もかなり冷えていると考えられているのに、どうして磁場を維持できるのか。
その答えには、今も研究が続いています。
磁場は、惑星内部の液体金属が動くことで生まれると考えられています。水星の核の一部が現在も液体で、内部の運動が磁場を作っているのかもしれません。
水星は、太陽から強烈な粒子の流れを浴びています。太陽風と呼ばれる粒子の流れが、常に水星へ吹きつけています。その中で、水星の弱い磁場が太陽風をわずかに受け止め、惑星を取り巻く環境を作っています。
水星は、太陽に最も近い場所で、かろうじて磁気の盾を持っている。
この事実が、僕にはたまらなく格好よく感じられます。
太陽のすぐそばで、何もかも吹き飛ばされそうな環境の中、それでも水星は自分の磁場を持ち、惑星としての姿を保ち続けているんです。
そして、水星には「氷」があります。
ここが、水星の中でも特に意外なところです。
太陽に一番近い惑星なのに、極域のクレーターの底には、水の氷が存在すると考えられています。水星の自転軸はほとんど傾いていません。そのため、極地方の深いクレーターの底には、太陽の光が永久に届かない場所があります。
そこは「永久影」と呼ばれる領域です。
太陽の光が一度も当たらないため、表面温度が非常に低く保たれます。そこに彗星などによって運ばれた水が蓄積し、氷として残っている可能性があります。
外側の表面は約430℃にもなるのに、クレーターの底には水の氷が眠っている。
この極端な温度差が、水星のすごさです。
水星は「熱い惑星」という一言では表せません。太陽光が直接当たる場所は地獄のように熱く、光が永遠に届かない場所は凍りついている。水星の表面には、同じ惑星とは思えない二つの世界が同居しています。
しかも、その氷はただの薄い霜ではなく、かなりの量が存在する可能性があります。レーダー観測などによって、極域のクレーター内部に明るく反射する領域が見つかり、氷の存在を示す証拠として注目されました。
僕はこの事実を知ったとき、水星が一気に身近でミステリアスな存在に感じられました。
「太陽の近くに氷がある」という一見矛盾した現象が、物理法則によってきちんと説明できる。でも、説明できるからといって不思議さが消えるわけではありません。むしろ、宇宙の環境がどれほど複雑で、直感を超えているかを教えてくれます。
水星の表面には、地球の月と似た部分もあります。
灰色がかった大地。無数のクレーター。大気のない黒い空。太陽の光と影が作る極端なコントラスト。ぱっと見れば、月の兄弟のようにも見えます。
でも、水星は月よりずっと大きく、重く、内部に巨大な金属核を持ち、弱いながら磁場も持っています。月と似ているようで、まったく違う進化をたどった世界です。
水星の重力は地球の約38%です。
地球で60キログラムの人は、水星では体重計の表示が約23キログラム相当になります。もし水星の表面に安全に立てるとしたら、かなり高くジャンプできるでしょう。
ただし、水星では空気がないので、どんなに高くジャンプしても、風を感じることはありません。音もほとんど伝わりません。太陽の光が強烈に降り注ぐ中で、自分の足元の影だけが真っ黒に伸びている。
想像すると、静かすぎて怖いくらいです。
水星には、地球のような季節もほとんどありません。自転軸の傾きが非常に小さいためです。地球では、地軸が傾いていることで季節が生まれますが、水星では季節による変化よりも、太陽との距離の変化や地形による温度差のほうが大きな意味を持ちます。
水星の世界では、「春」「夏」「秋」「冬」という地球の感覚がほとんど通用しません。
一年が短い。一天が長い。太陽の動きも変わっている。昼は灼熱、夜は極寒。空は黒く、大気はほぼなく、地面には太古の傷跡が残る。
水星は、地球の常識を一つひとつ裏切ってくる惑星です。
そして、水星を詳しく調べるのは簡単ではありません。
太陽に近いからです。
探査機を水星へ送るには、単に太陽へ向かって飛べばいいというわけではありません。太陽の重力に引っ張られて速度が上がりすぎるため、水星の軌道へ入るには、非常に難しい軌道制御が必要です。
地球から内側へ行くことは、直感的には近づくだけに思えます。でも実際には、太陽の周りを回っている地球の運動量を大きく減らさなければなりません。探査機は何度も惑星の近くを通過して重力を利用し、少しずつ軌道を調整しながら水星へ向かいます。
水星へ行くことは、距離の問題だけではなく、速度と重力の問題でもあるんです。
これまで水星を詳しく調べた探査機の代表が、NASAのマリナー10号とメッセンジャーです。
マリナー10号は、水星を訪れた初めての探査機でした。1970年代に水星へ接近し、表面の一部を撮影しました。ただし、水星の同じ面が太陽に照らされているタイミングの関係で、全表面の半分ほどしか観測できませんでした。
それでも、人類が初めて水星の実像を見た瞬間は、歴史的な出来事です。
それまで水星は、地上から見れば小さな光の点にすぎませんでした。しかし探査機が近づくことで、そこにクレーターだらけの地面があり、巨大な崖があり、複雑な地質の歴史があることが分かった。
遠くの点が、ひとつの世界へ変わったんです。
その後、メッセンジャーが水星を詳しく調査しました。水星の周回軌道に入った初めての探査機であり、長期間にわたって表面、内部、磁場、外気圏などを観測しました。
メッセンジャーによって、水星の表面全体に近い地図が作られ、極域の氷の証拠や、火山活動の跡、地殻の収縮、化学組成などについて多くの発見がもたらされました。
僕は、探査機が送ってくる画像に特別な感動を覚えます。
水星の写真には、派手な青い海も、厚い雲も、緑の森もありません。そこにあるのは、荒涼とした岩石の大地です。
でも、その一枚一枚に、人類が太陽の強烈な重力と熱に挑戦した証拠が詰まっています。遠く離れた小さな惑星の表面を、地球にいる僕たちが詳しく知ることができる。それは、科学と技術が生み出した奇跡です。
そして現在、水星探査の大きな計画として、ヨーロッパと日本が協力する「ベピコロンボ」があります。
ベピコロンボは、水星の表面や内部、磁場、外気圏などを詳しく調べるための国際共同ミッションです。日本の探査機は、主に水星の磁場や周辺のプラズマ環境などを観測します。
水星は、太陽の影響を強く受ける惑星です。太陽風がどのように水星の磁場と相互作用するのか、水星の極薄い外気圏がどのように形成されるのか、内部の巨大な核がどのように進化してきたのか。
水星は、太陽そのものを理解するための観測対象でもあります。
太陽に最も近い惑星だからこそ、太陽風や太陽放射の影響を最前線で受けている。水星を調べれば、恒星の近くに存在する惑星がどんな環境になるのかを知る手がかりになります。
これは、太陽系外惑星の研究にもつながります。
現在、太陽以外の恒星の周りを回る惑星が数多く発見されています。その中には、恒星のすぐ近くを回る惑星もあります。恒星に近い惑星では、強烈な放射線や高温、潮汐作用などが重要になります。
水星は、そうした「恒星の近くの惑星」を理解するための、僕たちの身近な実例です。
水星は、生命が暮らしやすい惑星ではありません。
液体の水が地表に安定して存在することは難しく、大気もなく、温度環境も極端です。人間が住むには、巨大な施設と高度な生命維持システムが必要になるでしょう。
でも、住めないから価値がないわけではありません。
むしろ、水星は「生命が暮らしやすい条件とは何か」を考えるために重要な惑星です。厚い大気があること、適度な距離に恒星があること、液体の水が安定して存在できること、温度が極端すぎないこと。水星を知ることで、地球がどれほど特殊で、繊細な環境なのかが見えてきます。
水星は、地球の反対側にいるような存在です。
地球には豊かな大気と海があります。水星にはほとんど大気がなく、地表に液体の水はありません。地球には生物があふれています。水星は、岩石と金属と光と影の世界です。地球には青空があります。水星の空は黒い。
それでも、どちらも太陽系の惑星です。
同じ太陽の周りを回り、同じ宇宙の材料から生まれたのに、これほど異なる姿になる。惑星というものが、環境によってどれほど多様な世界になれるのかを、水星は見せてくれます。
僕が水星を好きなのは、派手な美しさだけではありません。
水星には、どこか無口な格好よさがあります。
木星のように巨大な嵐を見せつけるわけでもない。土星のように華やかな環を持つわけでもない。地球のように生命の豊かさを誇るわけでもない。
水星は、太陽のすぐそばで、ただ静かに回り続けています。
灼熱の昼も、凍える夜も、隕石の衝突も、太陽風も、長い年月も、すべて受け止めながら、自分の軌道を走り続けている。
その姿には、強さがあります。
小さいけれど、弱くない。過酷だけれど、単純ではない。古い傷跡だらけだけれど、その傷跡こそが歴史を語っている。
水星のクレーターは、傷ではあります。でも僕には、それが水星の「生きてきた証」に見えます。何度も衝突を受け、熱せられ、冷え、縮み、変化しながら、それでも惑星として残っている。
水星は、太陽系の中で最も太陽に近い場所にいる、最古参の記録者です。
太陽系が生まれたばかりの頃、そこでは塵や岩石がぶつかり合い、惑星が形作られていきました。水星は、その激しい時代の記憶を、今も表面に残しています。
地球では、風や雨や海や生物活動によって、古い地形が次々に塗り替えられていきます。でも水星の表面には、何十億年も前の出来事が残っている。
水星に立てば、足元の大地そのものが、太陽系の歴史書になっているはずです。
ページをめくる代わりに、クレーターを見る。文字を読む代わりに、崖や平原や盆地の形を読み取る。水星の地表は、宇宙の時間が刻み込まれた巨大なアーカイブなんです。
しかも、そこにある情報は、まだすべて読まれていません。
どのように巨大な核が形成されたのか。水星の表面にある元素は、どのような過程で集まったのか。火山活動はいつまで続いたのか。氷はどのように運ばれ、どれほど長く保存されているのか。水星の磁場は内部のどのような運動から生まれているのか。
水星は、まだまだ僕たちに秘密を隠しています。
そして、そこがたまらないんです。
分かったことが増えるほど、知らないことの輪郭もはっきりしてくる。水星は、「もう十分に調べた惑星」ではありません。これからも新しいデータが届くたびに、これまでの常識が更新され、新しい謎が見つかるかもしれない。
小さな惑星の中に、これほど多くの物語が詰まっている。
僕は水星を見ていると、宇宙の魅力は大きさだけではないと感じます。
水星は、太陽系の中では小さいほうです。でも、その小さな体に、巨大な金属核、極端な温度差、複雑な軌道、独特な自転、太古のクレーター、火山の跡、地殻のしわ、弱い磁場、永久影の氷が詰まっている。
小さいからこそ、ぎゅっと濃縮された惑星なんです。
僕にとって水星は、「太陽の近くにある小さな岩石」ではありません。
それは、太陽系の始まりを知るための鍵であり、惑星の進化を教える研究対象であり、極限環境の実験場であり、夜明けと夕暮れのわずかな時間に姿を見せる、控えめで気高い天体です。
もし僕が水星の空の下に立てるなら、まず空を見上げたいです。
黒い空の中で、太陽が地球から見るより大きく輝いている。周囲に青空はなく、光と闇がくっきり分かれている。地面にはクレーターが広がり、遠くには巨大な崖が伸びている。足元の岩石は、何十億年もの時間を見てきた。
そして、太陽の光が当たらない極域のクレーターには、今も氷が眠っている。
灼熱の惑星に残された、冷たい記憶。
その矛盾が、水星という惑星を象徴しているように思います。
水星は、熱いだけではない。寒いだけでもない。明るいだけでも、暗いだけでもない。活動しているようで静かで、古いようで謎に満ちていて、小さいようで太陽系全体につながっている。
だから僕は、水星が好きです。
太陽に一番近いのに、太陽そのものではない。小さいのに、巨大な歴史を背負っている。大気がないのに、磁場を持っている。表面は焼けつくほど熱いのに、地下や影には氷がある。たった88日で太陽を一周するのに、一日は176日もある。
何から何まで、僕たちの常識を軽々と飛び越えてくる。
そして、夕暮れの空や明け方の空に、ほんの少しだけ姿を見せてくれる。
「僕はここにいる」と、太陽の近くから静かに語りかけてくる。
水星は、目立たないかもしれません。
でも、見つけた瞬間から、きっと忘れられなくなります。
太陽系の最前線で、最も速く走り、最も激しい温度差にさらされ、最も古い傷跡を抱えながら、今日も水星は太陽の周りを回っています。
その小さな惑星の中に、太陽系の始まりと、惑星の未来と、宇宙の極端な美しさが詰まっている。
僕は水星を見るたびに思います。
宇宙は、巨大なものだけがすごいんじゃない。
小さな水星も、十分すぎるほど壮大です。
コメント
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第97話、ガチオタク全開で最高でした☺️💕 夕暮れの低い空にぽつんと浮かぶ水星を「見つけた!」瞬間の感動とか、灼熱と極寒が同居してる矛盾とか、知れば知るほど宇宙ってロマンだなぁって……。特に「水星の一日が一年より長い」ってところ、頭こんがらがりつつもすごくエモかったです!! 小さい惑星の密かな強さ、めっちゃ伝わってきました。明日の夕方、空見上げてみます🌌✨