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組員に呼ばれた辰巳零士が玄関に着くと、椿恭弥と神楽ヨウの2人は笑顔で対面していた。
神楽ヨウの後ろにいる岡崎伊織を見ながら、椿恭弥は口を開く。
「へぇ、伊織さん。雪哉さんを捨てて、性悪の奴の下に付いたんだ。伊織さんは、雪哉さんから離れないと思ってた」
「相変わらず、嫌味しか言えないのか。俺が神楽組に入った理由ぐらい、想像はついてんだろ」
「僕の事を殺す為でしょ?お前の差金だろ?ヨウ」
岡崎伊織の言葉に返答し、椿恭弥は真顔で神楽ヨウを見つめる。
椿恭弥の真顔を見た組員達の額から、冷や汗が流れ出す。
冷たい張り詰めた空気が、椿恭弥と神楽ヨウの2人の間に流れる中、神楽ヨウが口を開く。
「本当にJewelry Wordsが解けちゃったんだ。僕の事を信用して、このピアスくれたの覚えてる?」
そう言いながら、神楽ヨウは耳につけている小ぶりのダイヤのピアスを見せる。
「お前が信頼の証だとか言って、僕にプレゼントしてきた物だ。そう言うタイプだとは思わなかったよ。わざわざ、何もない日にプレゼントするなんて」
「僕の事が嫌いな割に、まだピアスをつけていたの?偽りの気持ちのプレゼントが、そんなに嬉しかったの」
「まさか、僕がそのタイプだと思う?」
神楽ヨウはつけていたピアスを外し、椿恭弥の目の前で地面に捨て、強く踏み潰す。
バキッ!!!
小さなダイヤが破壊された音が、小さく椿恭弥の耳に届く。
「テメェ、椿さんの気持ちを無下にしてんじゃねーぞ!?神楽組の若頭かなんか知らねーが、調子に乗んなや!?」
「たかが組員が、神楽組の若頭に生意気な口をきいてんじゃねーぞ若造」
しゃしゃり出てきた椿会の組員の言葉を聞き、神楽ヨウの後ろにいた竹が睨みを効かせながら前に出る。
竹のオーラに圧倒された組員が後ろに下がるが、義足の音を鳴らしながら1人の男が椿恭弥の隣に立った。
顔の至る所に切り傷の跡があり、唇の右端の深い切り傷は兵頭雪哉に殴られた時のものだ。
神楽ヨウと岡崎伊織は、現れた男の顔を見て、驚きが表情に出てしまう。
「最初に椿会に喧嘩を売ってきたのは、アンタだろ?嘉助」
「お前、死んだ筈じゃなかったのか?あの時、頭が確実に…」
「へぇ、僕の代わりに伊助を置いたんだ。そのまま死んでれば、楽になれたのにね?誰に助けてもらったの?」
マッシュヘアーだったが、今は髪が伸びて前髪も後ろに流した伊助の姿を見て、岡崎伊織は驚くが神楽ヨウは嘲笑う。
「佐助に助けてもらったんだよ、アルビノの血を飲まさされて…。椿様に義足をつけてくれたんだ。
JewelryWordsを使って、椿様の懐に入り込みやがって」
「ズボンのポケットから銃でも取り出す?お前と僕とじゃ、実力に差があり過ぎると思うけど」
伊助の行動を読んでいたかのように、神楽ヨウは伊助を静かに見据える。
「椿に拾われた伊助に、人の殺し方を教えたのは誰?」
「お前が俺に教えたのは、好意からじゃない。椿様に勘づかれないようにだろ?」
「異様に僕に懐いて来てたし、仕方なくね。再び、生を受けられたんだ。今度は命を大切にしないとね?伊助」
神楽ヨウの言葉を聞いた伊助は、唇を強く噛みしめながら神楽ヨウの胸ぐらを掴む。
ガッ!!!
「すかした顔しやがって!!!」
「やめとけ」
ガシッ。
そう言って、伊助の腕を掴んだのは天音だった。
「今日はヨウが主役の日だ、花を持たせてほしい」
「花を持たせろ?こんな奴に持つ資格ねーよ」
カチャッ。
伊助は睨みを効かせながら、天音の脇腹の右部分に銃口を突き付けたが、同じタイミングで天音も銃口を突きつけていた。
「騒々しいな…、今日は就任式だと言う事を忘れたのか」
「雪哉さん…」
背後から現れた兵頭雪哉の姿を見た辰巳零士は、思わず凝視してしまった。
ほどよくついた筋肉質の体は痩せ、頬も痩せこけていて、着ているスーツも大きく見える。
以前ほどの覇気は無くなり、今は不気味なオーラを漂わせていた。
「おい、雪哉…。お前、大丈夫なのか?」
九条光臣は思わず、変わり果てた姿を見て兵頭雪哉に声をかけてしまっていた。
「大丈夫って、何がですか」
「ここ一ヶ月で、かなり痩せただろ…。ろくに食事をしていないのが見て分かる」
「あぁ…、大丈夫です。少し瘦せましたけど、動けますから」
「少しどころじゃないだろ…、頬が痩せこけてるじゃないか」
その言葉を聞いた兵頭雪哉は、九条光臣をキッと睨み付ける。
「光臣さん、聞こえませんでした?俺が平気だと言ったんですよ」
「何だと?」
兵頭雪哉の背後に立っていた一郎と二郎が、慌て九条光臣に謝罪をする。
「申し訳ありません、光臣さん」
「ここは抑えて頂くと…」
「安心しろ、2人共。雪哉に腹を立てていないさ」
一郎と二郎の謝罪を聞いた九条光臣は、ポンポンッと兵頭雪哉の肩を軽く叩いた。
兵頭雪哉は九条光臣の手を軽く払い、怠そうに本家の中に戻って行く。
「ねぇ、君達のボスは大丈夫なの?今にも死にそうだけど」
椿恭弥は一郎と二郎に声を掛けたのだが、答えのは九条光臣だった。
「おい、椿!!!お前は黙ってろ」
「ふふふ、みんなして雪哉さんに気を使うの面白いな。見るからに疲弊してるし、威厳さはどこに行ったのやら」
「お前さんは本当にっ、昔から何も変わっちゃいない。何で、逆撫でするような言葉を使うんだ…」
「好きじゃない相手に、言葉を選ぶつもりはありませんよ?僕は」
そう言いながら、椿恭弥は九条光臣の顔を覗き込む。
「離れろ、椿」
辰巳零士はすぐに、九条光臣の側から椿恭弥を引き剥がす。
馬鹿にするような笑い方をしながら、椿恭弥は本家の玄関の方に体を向け歩き出した。
***
CASE 三郎
美雨ちゃんが俺とモモちゃんの顔を見ながら、心配そうに口を開く。
「モモちゃんとお兄ちゃん、不思議そうな顔してるけど…。大丈夫?」
「美雨ちゃん、不思議な事がね?今、起きてるの」
「不意義な事?なぁに?」
モモちゃんは美雨ちゃんに、さっきまで起きていた事を話した。
「一瞬で、11月1日まで進んだって事?モモちゃんのお母さんが、美雨達と同じ目を持ってて…。同じように力を使ったって事かなぁ」
「美雨ちゃん、状況分析が早いね」
「へへ、そうかなぁ。ありがとう、お兄ちゃん」
「十分、理解出来てると思うよ。美雨ちゃん、何か変わった事はなかったかな?」
俺の言葉を聞いた美雨ちゃんは、しばらく考えた後で口を開く。
「辰巳とおじいちゃんが話てたの。最近、組の人達が行方不明?になってるって」
「行方不明?」
「お嬢に難しい言葉を使わせるな、三郎」
美雨ちゃんと話ていると、組員に呼ばれて出て行った辰巳さんが戻って来た。
戻って早々に美雨ちゃんを抱き上げ、俺の方に視線を向ける。
「何を聞いてたんだ、三郎」
「あのね、辰巳。モモちゃん達、すごーく不思議な事が起きてるの」
「不思議な事?」
「あぁ、僕が説明しますよ」
俺は美雨ちゃんの代わりに、今までの出来事について説明すると、辰巳さんは納得したような表情を見せた。
「椿に誘拐されていた白雪さんが、今度は四郎を誘拐した…って。10月26日から11月1日に、時を飛ばされた…と言う事か」
「あの女も四郎を連れて、行方をくらました可能性は高いんですよねぇ。こんな事に参加せずに、四郎の行方を探しに行ってるのに…」
「だろうな、お前の姿を見て驚いた。お嬢が言っていた話だがな、10月27日から、うちの組の若い衆が何人か消えてんだ。兵頭会からも何故か、20代前半の顔の良い奴等ばかりだ。消え方も不自然なもので、道端で歩いてて…」
「トリックみたいに消えたって事ですか」
辰巳さんの話に嘘がない事は分かるし、消息不明なのは事実なのだろう。
10月27日なら、休憩なしで走り続けたら、軽井沢から東京に余裕で戻って来れる。
白雪が何かし始めていてもおかしくはないし、あの女なら何かやり始めているに違いない。
ブー、ブー、ブー。
ポケットに入れてあるスマホが振動し、取り出して着信相手を確認する。
画面を見てみるが、公衆電話の文字しか書かれていない。
このご時世、今時公衆電話を使う人の方が少ないし。
「辰巳さん、光臣さんがお呼びです。そろそろ、式が執り行われます。神楽組の若頭の要望で、お嬢とその…、アルビノの女の子も一緒に参加してほしいそうで」
「は?お嬢にも参加させろって事か?」
「はい…」
九条組の組員の言葉を聞いた辰巳さんは、怪訝な表情を見せながら美雨ちゃんを抱き下ろす。
部屋に行けば、自分の事を誘拐した男と一緒にいた椿
恭弥と顔を合わせないといけない。
「お嬢を連れていける訳がないだろ、椿のいる部屋に。連れて行く理由がない」
「辰巳が居るなら大丈夫、モモちゃんもいるから」
「しかし…」
「美雨の王子様は強いもん、大丈夫だよ」
ギュッ。
そう言って、美雨ちゃんは辰巳さんの足に抱きつく。
「分かりました。俺の側を離れないで下さい」
「うん、分かった」
「モモちゃんは、心配しなくても大丈夫だよね?」
辰巳さんと美雨ちゃんの会話を聞き、嫌みのつもりで話したのだが、モモちゃんはニヤリと笑いながらある物を見せてきた。
カチャッ。
ある物と言うのは、見慣れたハンドガンだった。
「あれ?俺、モモちゃんに銃を渡した覚えはないんだけど…?どこから、持ってきたの?」
「これ?すぐあったよ。銃がいっぱいある部屋から持って来たの」
「あー、確かに武器庫があったわ…。でも、あれは商品だからねぇ。持って来たとしも、使えないでしょ」
「三郎が教えてくれたら良いじゃん」
俺とハンドガンを交互に睨み付け、気に入らなさそうに言葉を吐く。
「辰巳さん、マジでそろそろ…」
「分かってる、すぐに行く。三郎も行くぞ」
「モモちゃん、大人しくしててよ」
俺の言葉を聞いたモモちゃんは黙って頷き、辰巳さんと共に広間に向かう。
広間の襖は既に開かれていて、中に入ると椿恭弥と神楽ヨウは対面に座り、ボスは真ん中に座っていた。
神楽ヨウの隣には伊織が立っていて、ボスの背後には一郎と二郎が代わりに立っているのを見て、大体察しがつく。
椿恭弥の右隣に立っている男に見覚えがあった。
そんな事を考えながら見ていると、男と目が合い、男の方がハッとした表情を見せてきた。
「あぁ、三郎君。伊助が世話になったね」
「伊助?あー、あのマッシュの男の事?アキレス腱を切った筈なのに、歩けるようになったんだ」
「本来なら歩く事は無理だけど、義足を着けてあげたからね」
「雑談はそれぐらいで良い。早く始めましょう、雪哉さん」
俺と椿の話に入ってきたのは、神楽俊典だった。
以前の神楽俊典は自分の意見は言うが、ボスの顔色を伺いながら話をする人だった。
集会に出ている誰よりも、護衛に来ている一郎達よりも周囲の空気を読み、言葉を選んで話をするし、自分の感情を表に出すような人じゃなかったような…。
今の神楽俊典は堂々としていて、今のボスとは大違いだ。
四郎がいなくなってからか、ボスもまともな食事を摂っていないのが伺える。
俺達は少し離れた場所に腰を下ろし、美雨ちゃん達は光臣さんの隣に腰を下ろした。
「二郎、客人達に盃を渡してくれ。酒なら、光臣さんが用意してくれた物を出してくれ」
「はい、ボス」
ボスの指示通りに、二郎と組員達は酒の注がれていない空の状態の盃を杯台の上に置いて行く。
兵頭会の傘下に入ってる組の祝い事は、盛大に祝う事が暗黙の了解になっている。
人数分の高級寿司と鯛の御創りまでもが用意され、お祝いムードが作られていた。
「やぁ、美雨ちゃん久しぶり。少し見ないうちに、美人さんになったね?」
「えっ?あ、ありがとうございます…」
「それだけ可愛いんだから、辰巳さんもほっとけないよね?美雨ちゃんに悪い虫がつかないように、常に見張っておかないと…。ねぇ、辰巳さん?」
「お前が心配する必要はない、椿」
美雨ちゃんに声をかけてきた椿恭弥を、辰巳さんは睨み付けながら言葉を吐く。
だが、椿恭弥は辰巳さんの視線を無視して、美雨ちゃんに声をかけ続ける。
「嫉妬深い男が騎士だと、大変じゃない?」
「そ、そんな事はないです。美雨、辰巳以外に興味ない…けど、辰巳が嫉妬してくれるのは嬉しい」
「お、お嬢…。そんな風に、思ってくれたんですか?」
美雨ちゃんの言葉を聞いた辰巳さんは、にやけるのを我慢して美雨ちゃんの顔を覗き込む。
うわー、辰巳さん嬉しそ…。
「えぇ?いつも思ってるよ?辰巳、ヤキモチ妬かないタイプだと思ってたから…」
「そんな事ありませんよ、お嬢に関しては妬きますよ。年甲斐もなくて、恥ずかしいんですが…」
「美雨、凄く嬉しいもん」
2人の仲睦まじい会話を遮るように、神楽俊典が盃を持ち上げながら話し出す。
「この度は、私の息子の若頭就任式を開いていただき、まことにありがとうございます。雪哉さん、お祝いの言葉を頂いても?」
神楽俊典の発言により、空気が一瞬で冷たくなった。
「ねぇ、三郎。あのおじさん、空気が読めないの?」
「読んだ上で、ボスに発言してるんだよ?モモちゃん」
「そうなの?おじさん、怖い顔してるのにね」
モモちゃんは小声で話しながら、左斜め前に座るボスに視線を送ると、物凄い形相をしていた。
眉間に深い皺を寄せて、視線だけで人が殺せそうだ。
「誠にめでたいと思いますよ、本当にね。俺の顔色を伺った上で、進行してるんですからね?俊典さん」
「主役は息子のヨウなんですから、許してくださいよ」
「…、俺の息子が見つかったら、その時は盛大に祝ってもらいますよ」
「息子?雪哉さんの息子は…」
ボスの言葉を聞いた俊典さんは、不思議そうな表情を浮かべて言葉を吐く。
「あぁ、貴方達が知ってるのは、長男の方だろ?俺には、息子が2人いるんですよ」
その言葉を聞いたこの場にいた人間達の間で、どよめきが生まれ、場が騒がしくなった。
中でも伊織とヨウ、椿恭弥の3人だけが表情を険しくさせている。
ボスに腹を立てている、そんな感じの表情だった。
「おい、雪哉は何を言い出したんだ…?息子は拓也だけだろ?」
「俺と三郎、ヨウは知っていますよ。そうだろ?三郎」
光臣さんの問い掛けに答えながら、ヨウと俺に視線を送ってくる。
ザワザワザワ…。
「三郎、どう言う事だ?会った事があるって」
「ヨウ、お前も会った事があるのか?雪哉さんの言っている事が本当なら、次期若頭候補に会っている事になる」
俺は光臣さん、神楽ヨウは神楽俊典に詰め寄られていた。
まさか、この場で言うつもりじゃないだろうな…ボス。
四郎が自分の息子だって事を、この面勢の前で言い出す気じゃないよな。
ズンッ!!!
「「っ!?」」
バッ!!!
俺とモモちゃんは2人同時に、同じように目を見開き、閉ざされた襖の方に視線を向ける。
体に微妙な重圧が掛かり、誰かが部屋に来ようとしてる気配がした。
ドドドッと鼓動の音が聞こえ、視線が襖から離れない。
ガラガラッ。
突然、開かれた襖から現れたのは、喪服姿の白雪と若い顔立ちの良い男達だった。
「ごめんなさい、私達も参加して良いかしら」
「なっ!?あ、貴方は白雪さん!?長年の間、行方不明だった筈では!?見つかっていたのか?」
「椿、お前いつ解放したんだ」
白雪の姿を見て戸惑う俊典さんを他所に、ボスは怒りの含んだ言葉を椿恭弥に投げ付ける。
神楽ヨウも目を大きく見開いて、現れた白雪を見つめていた。
「解放と言うより、自分で逃げ出したんですよ。四郎君と一緒に監禁していたんですけど、この女がね?四郎君を連れて、どこかに消えたんです。今、僕達の前に現れましたけど」
ボスの問い掛けに答えながら、白雪の横顔を睨み付ける。
「何で、白雪さんが消息が途絶えた若い衆と…?一緒にいるんですか…?」
「何でって、ねぇ?私の男達になったの。ただ、それだけ」
「は…?」
辰巳さんの質問に答えた白雪だったが、意味の分からない言葉を並べて行く白雪。
「分からない?この男達は私と出会って、恋に堕ちたから一緒に居るの。ふふふ、お義父様、お久しぶりですね」
白雪は辰巳さんからボスに視線を向け変え、ボスに向かってほくそ笑む。
この女、マージで頭沸いてんじゃないか?
「本当に白雪なのか」
「本物ですよ?何年も会っていなかったら、顔を忘れてしまいました?」
「俺の知ってる白雪とは、随分と違って見えたもんでな」
ボスの言葉を聞いてから数秒後、白雪は大声で笑い出した。
それも周りの人間が引くくらい、白雪は腹を抱えて笑っている。
「アハハハハ!!!アハッ、はぁ…、お腹痛いっ。お義父様、面白いですね?あの頃よりも、少しは面白いですよ?」
「涙を拭いて下さい、姫」
「ふふふ、ありがとう」
笑い過ぎて涙を流している白雪の為に、白雪の背後に立っていた男がハンカチを渡す。
ハンカチを受け取った白雪は、渡して来た男の頬に軽く口付けをし、顎に指を添えながらボスに視線を向けた。
「おい、アンタはさっきから何しとんだ…?俺達の目の前で、気色悪い事しとるのが分からんのか」
「私、貴方に怒られるような事しました?おじ様」
「アンタは拓也の嫁だろ!!?自分の娘がここに居るのに、声もかけない気か!!!」
ドンッと畳を叩きながら、光臣さんは白雪を怒鳴り付けるが、本人には何も響いていないようだ。
「娘とはこの間、会いましたよ?ほら、右手首ないでしょ?娘に吹き飛ばされてしまいまして」
光臣さんや俺達に見せつけるように、無くなった右手を見せつけるように手首を上げる。
「おじさんやお義父様に、もっと分かり易いように話をした方が良いかし…」
「どう言うつもりですか、白雪さん」
この会で初めて、顔に怒りの感情を出した神楽ヨウが口を開いた。
「貴方、僕に言った事を忘れたのか?僕達の前に現れた、この意味は分かってるんだろうな」
「あぁ、12月25日の事?」
「「っ!!?」」
白雪の発言を聞いた神楽ヨウとボスは、驚きの表情がもろに出てしまってる。
四郎達の食事会の後に、神楽ヨウと合流して12月25日の計画、白雪も参加するとも聞いていた。
彼が長年掛けて、築いていた計画実行の日付けを椿恭弥の前で言ってしまった。
勘の良い椿恭弥なら、簡単に答えを出せてしまう。
「12月25日は、大きなイベントを開く予定だよ。あぁ、もしかして…。ヨウ、そこで僕の事を殺すつもりだった?あーあ、可哀想にバレてしまったね?バレたくなかった相手に」
「…、何故。今、この場で言ったんですか?白雪さん」
「貴方が悪いのよ?私に堕ちかなかった、貴方が悪いもの」
白雪から返って来た言葉を聞いた神楽ヨウは、頭を抱えながら顔色を青くさせる。
何とも身勝手な理由だと、神楽ヨウ自身も感じているだろう。
「そんな話をしに来たんじゃないだろ」
若い衆達の間を潜りながら、俺達の目の前に現れたのは全身黒で揃えたスーツ姿の四郎だった。
「玲斗!!!あぁ、良かった…。無事だったか、俺の息子」
「四郎が息子だって…、本当なのか雪哉」
「本当ですよ、光臣さん。玲斗は拓也と腹違いの兄弟なんですよ」
ボスの発言によって、更に場が騒がしくなったが、白雪が空気を一気に冷たくさせる言葉を吐く。
「お義父様にお願いがあって、ここに来たんです。息子さんを私に下さい」
「は…?」
「息子さんの事、欲しくなったんです。拓也さんぼ時のように、また私にください」
「俺が許すと思って言ってるのか?白雪」
カチャッ。
気に入らなさそうな顔をした白雪が手を挙げた瞬間、若い衆達が銃を取り出し、銃口を俺達に向けさせる。
「じゃあ、死んで下さい」
白雪の言葉を聞いた若い衆は、一斉に同時に引き金を引いた。
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