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#イケメン
白雪率いる自分を取り巻く若い男性陣が、兵頭雪哉達に一斉に引き金を引き、銃弾は放たれた。
バンバンバンッ!!!
「辰巳、美雨を守れ!!!」
「はい!」
九条光臣の言葉を聞いた辰巳零士は、自分の隣に座っている九条美雨んの体を引き寄せる。
「た、辰巳っ」
「絶対に俺から離れないで下さい」
九条美雨を強く抱き締めながら、辰巳零士は体勢を低くした。
「親父達を守れ!」
「若頭、俺が盾になります!」
「グアアア!!!」
各組の組員達が組長の盾となって、放たれた銃弾が男達の体を貫き、鮮血の小さな花達が咲き誇る。
悲鳴と血液、発砲音が交差する中で、兵頭雪哉は白髪の四郎から目が離せなかった。
部屋の中で逃げ場のない空間、何一つ感情を移さない闇色の四郎の瞳が兵頭雪哉ではなくモモと三郎の姿を捉えていた。
「四郎っ…」
「なっ!?どこに行くの、玲斗!!!」
モモの言葉を聞いて歩き出そうとした四郎の手を、白雪は強く掴む。
握られた手に力で、白雪が四郎の事を行かせたくないと言う強い意志が垣間見えた。
「モモちゃん、頭を下げといて!じゃないと、弾が当た…」
ブシャッ!!!
放たれた弾丸からモモを守る為に、モモの体を床に押し付けるが三郎の右肩に弾丸が貫通する。
「三郎!」
「平気だって、このくらい。組長達、悪いけど殺すよ」
カチャッ。
三郎はそう言って、床に落ちていた銃を手に取り、目の前にいた男の額に向かって引き金を引く。
バンバンバンッ!!!
次々と若い男性陣の額に向かって引き金を引き、モモの身の安全を確保していく三郎。
神楽ヨウの騎士となった天音とノアは、自分の身を挺して神楽ヨウを守らなければならないのだが、率先して神楽ヨウを守っていたのは岡崎伊織だった。
「ヨウ、怪我は」
「ないですよ、2人が庇ってくれたので」
「アンタの側に居ろって、マスターに言われたんでね」
天音の言葉を聞いた岡崎伊織は気に入らなそうな表情を浮かべる。
ブシャッ!!!
「チッ」
「辰巳!」
九条美雨の事を抱き締めていた辰巳零士の肩に弾丸が当たり、傷口から血が噴き出す。
数秒で起きた出来事だったが、九条美雨の目にはスローモーションに見えていた。
「グッ!?」
「頭!!?」
「お、おじいちゃん!?」
放たれた弾丸は辰巳零士だけでなく、九条光臣の脇腹に弾丸が貫き、勢いよく血が噴き出した。
九条光臣は傷口を手で押さえるが血が止まらず、吐血の量も多い。
「頭、俺の後ろにいて下さい!」
「急いで病院に連れて行った方が良い、傷が深そうだ。何としてでも、頭をっ…、グハッ!!!」
九条光臣の事を庇ってい九条会の組員の体に弾丸が当たり、血を吐きながらも九条光臣の側を離れないでいた。
「だ、だめ。お。おじいちゃんが、辰巳がっ、怪我、けが」
「お嬢、この程度の怪我は大した事はありません。大丈夫です、頭の傷も大丈夫ですから」
辰巳零士は自分のお姫様の不安を取り除く為に、必要な嘘を九条美雨につく。
彼の目から見ても、九条光臣が弾丸を受けた場所が悪かったのは分かっていた。
弾丸を受けた衝撃で内臓が破裂し、出血の量も多い、早くこの場を離れた方が良いのは明白。
九条美雨に頭に瞳と同じ色の王冠が現れ、鮮血色の鎖が九条美雨と辰巳零士の体の周りに浮かび上がる。
浮かび上がった鎖の長さは更に長くなり、部屋中に鎖が張り廻られていく。
キンキンッ!!!
放たれた弾丸が鎖の隙間にはまり、その光景を見た辰巳零士は九条美雨の肩を抱きながら声をかけた。
「お嬢、俺が名前を呼ばずに、自分からJewelry Wordsを使ったのか?」
「辰巳…、あのおんな人はモモちゃんのママなの?」
「はい、今まで行方不明だったんですが…」
「どうして、モモちゃんのママはこんな酷い事をするの?おじいちゃんも組のお兄ちゃん達も、みんな、みんな、怪我してる」
「お嬢…」
九条美雨の言葉を聞いた辰巳零士は、優しく九条美雨の体を抱き締める事しか出来ない。
「このままじゃ、おじいちゃんが死んじゃう。どうしたら良いの?どしたら、おじいちゃんは死なない?」
ぽろぽろと大粒の涙を流しながら、九条家美雨は言葉を吐く。
血と弾丸、困惑が交差する中で、四郎とモモの2人は互いの事しか視界に入っていなかった。
「四郎…」
涙で潤んだアパタイトの美しい瞳、漆黒の夜空色の黒い瞳、流れゆく弾丸でさせも動きが止まり、流れる空気は静かなもので、言葉を交わさなくても互いが思い合っている事は白雪の目から見ても分かるものだった。
「行かせないわよ、玲斗。貴方がモモの所に戻る事だけは許さない。貴方は私のモノなのよ?」
四郎の事を離さないように、白雪は力強く四郎の腕を掴む。
「…」
「私とキスしたでしょ?私の血を飲ませてあげたでしょ?私がいないと貴方は生きていけないのよ?その事は、貴方がよく分かってる事じゃないの?」
「…、うるせぇな」
「は?」
四郎の口から出た言葉を聞いた白雪は、困惑の表情を浮かべる。
強い頭痛に耐えながら、四郎は白雪の胸倉を掴み乱暴に唇を塞いだ。
「んっ!?」
「し、四郎…?な、何をしているの?」
四郎が突然の行動を見たモモの顔から血の気が引いて行き、三郎の額からは冷汗が流れ落ちる。
その光景を見て戸惑ったのは2人だけではなく、部屋の中にいる人物達が四郎と白雪の2人に一斉に視線を向けていた。
「ん、んっ!!?」
白雪は四郎の体を押して引き離そうとするが、四郎は白雪の後頭部に手を回し、力強く唇を押しつけて行く。
ブシャアア!!!
数人の若い男性陣の頭が吹き飛び、断裂部分から勢いよく血が溢れ出す。
吹き飛ばされた頭は原型を留めずに、潰された苺の果肉のように畳の上に、ビチャビチャと零れ落ちる。
風が吹いていないのに、モモの髪が浮き上がり瞳の中に嫉妬の炎が燃え上がっていた。
「ちょ、モモちゃん。あの男達全員を殺す気?」
「お母さんだからって、何でもしていい訳じゃない。
私から四郎を取っておいて、右手を吹き飛ばしただけじゃだめだね」
「おー、おー、女の嫉妬は怖いですねぇー。でも?俺としては殺してくれると助かるなぁ」
モモちゃんの言葉を聞いた三郎は、そう言いながら九条組の組員が落としたハンドガンを手に取る。
左手にハンドガンと右手にCz75を握り、銃口を残りの若い男性陣に向ける中、兵頭雪哉が一郎に指示を出す。
「一郎、モモちゃんを止めろ」
「わ、分かりました。二郎、ボスの事を頼む」
ボスの命令を聞いた一郎は、すぐにモモの元に駈け寄ろうとしたのだが、一郎の足元の畳に少し大き目の穴が空く。
突然の出来事に戸惑いつつ、モモに視線を向けると一郎の存在を瞳に捉える。
「邪魔しないで、一郎」
「っ…」
モモと一郎のやり取りをやり取りを見ていた神楽ヨウと椿恭弥は同じ事を考えていた。
『この子のJewelry Wordsの力の強度は、四郎に対する愛情の深さと嫉妬からくるもの』だと。
四郎と白雪が口付けをしている周りに、白雪と瞳と同じ色の鎖が浮かび上がり、現れた鎖は早い速度で腐り始める。
どんなに白雪が四郎の体を引き離そうとしても、病気で弱ってる男の力にはかなわない。
今、モモと三郎、九条美雨の Jewelry Pupiyを持つ3人は、現れた鎖が何を意味するものなのかを本能で感じとっていた。
あの鎖は自分とパートナーを繋ぐ『共鳴線』、目には見えない共鳴線が実現化し、その共鳴線が壊れかけている。
それは神楽ヨウと椿恭弥の2人もまた、白雪と四郎を繋ぐ共鳴線と言う事は察しがついていた。
パリーンッ!!!
四郎と白雪を繋いでいた鎖が音を立てて砕け、白雪は四郎に体を押され、その場に力なく座り込む。
「嘘、嘘…、こんな事って…」
「四郎?」
モモの呼び掛けに応じるように、静かになった部屋の中で真っすぐモモと三郎の元まで歩いた。
「悪い、油断した」
「四郎…、私と三郎の事わかる?」
「分かってるから、呼ばれたから来たんだろ?モモ」
「四郎が帰ってきたっ」
そう言って、モモは四郎の足に抱きつくと、白雪は表情を歪ませながら大声をあげる。
「玲斗!モモの元に戻る事だけは許さないわよ!?貴方は私のモノなのよ!?私のモノになる運命なの、運命がそうさせているの。そのガキの血を飲んで病気を治す?治す為にも戻る。そうなんでしょ?ねぇ、玲斗!!!」
「俺はモモのモノだ、お前のモノじゃない」
四郎の言葉を聞いたモモは、目を丸くさせながら四郎の顔を見上げた。
表情は何も変わっていない、モモの事を見つめる眼差しは不器用ながら優しいものだった。
「モモの血は飲まない、お前の血も飲まない、お前の元に戻る気もない」
「は…、はは。そう、貴方がそう言うなら、仕方ないわね。でも、そうね、簡単に手に入ったらつまらないものね」
そう言いながら白雪は、自分の子供であるモモに、とてもじゃないが、母親が子供に向ける視線ではないものを向ける。
嫉妬と憎悪、この2つが色濃く混ざった視線だ。
「貴方達、いつまで寝てるの?頭を撃たれたぐらいじゃ死なないでしょ?」
白雪の言葉を聞こえていたのか、頭のない死体達が立ち上がり、再び銃口を向け始める。
「化け物だな、アンタ。死体まで動かすなんてさ?すごい執念だ」
カチャッ。
椿恭弥はそう言いながら銃を取り出し、白雪に銃口を向け引き金を引く。
引き金を引いたタイミングで死体達が前に出て、白雪に銃弾が当たらないように自ら盾になった。
「 Jewelry Pupiyに魅入られた者の宿命なのか、それとも運命なのか。そんなのはどうでも良いけど、背中には注意しておいた方が良いよ?白雪」
椿恭弥が言葉を放った直後、白雪の背後からナイフを持った伊助が現れ、そのまま白雪の背中にナイフを突き立てる。
ブンッ!!!
グサッ!!!
「いっ!?」
「椿様の事を騙しやがったな、この糞女が!!!」
「離れなっさいよ!!!」
「ここで殺す、今すぐ殺す。のんきな顔して集会に来るなんて、とんだまぬ…」
「離れろって言ってんのよ」
白雪が語尾を強めて言葉を言うと、伊助の足が畳の上から浮かび上がり、勢いよく壁側に吸い寄せられて行く。
ドンッ!!!
「グハッ!?」
壁から背中が離れず、伊助は苦しみながら自身の体に視線を向けると、さっき現れた白雪の瞳と同じ色の鎖が壁から生え、伊助の体にきつく巻きついていた。
伊助がどうにか抜け出そうと動くが、伊助が動く度に鎖が体に食い込み、身動きが取れない状態になっている。
「頭っ!?」
ドカッ!!!
椿恭弥は自分の組員の言葉を聞かずに、白雪の脇腹に回し蹴りを入れ、乱暴に畳の上に転がした。
「ガハッ!?」
「調子に乗るなよ、白雪」
ブンッ、グサッ!!!
「うっ、あああああっ!!!」
容赦なく白雪の華奢な肩に殺意の籠った刃が刺さり、椿恭弥の頬に血飛沫が付着し、グリグリとナイフの刃で白雪の肉を抉る。
椿恭弥の事を止めようと若い男性陣が動き出した時、若い男性陣の首が畳の上に転がり落ちた。
ボトボトッ。
ブシャアアア!!!
傷口から噴いた血の雨が降りしきる中、刀を構えながら佐助が椿の無言の命令を聞いたように現れる。
「白雪もうざいけど、お前の方がもっとうざいよ、嘉助!!!」
「おっとっ」
佐助は叫びながら刀を構え直し、そのまま神楽ヨウに向かって斬りかかるも、ノアが機転を利かせ、テーブルを蹴り上げて佐助の攻撃を防ぐ。
ガシャーンッ!!!
カチャッ。
刀がテーブルに当たり、佐助の体勢が崩れた瞬間に岡崎伊織はつかさず銃口を佐助に向け、躊躇なく引き金を引いた。
パシュッ!!!
キィィィンッ!!!
岡崎伊織が銃弾を放つが佐助は崩れた体制のまま、刀を左手に持ち替え、飛んできた銃弾を弾き飛ばす。
「そのまま転んだら、神楽組から狙われちゃうよ?佐助」
白雪の体に馬乗りになりながら、椿恭弥は佐助に声をかける。
椿恭弥の言う通り、神楽組の組員達は一斉に佐助に銃口を向けて引き金を引こうとしていた。
バンバンバンッ!!!
放たれた銃弾は佐助の目の前で動きを止め、力を失くした状態で畳の上に転がり落ちる。
「お前等、銃を下ろせ。佐助の視界に入ってる状態じゃ、いくら撃っても止められる」
「だが、お前に怪我をされては…」
神楽ヨウと神楽俊典の会話を聞いていた椿恭弥は、へらへらと笑いながら会話に入り始めた。
「そうそう、可愛い息子の言う事は聞いておいた方が良い。大好きな息子に嫌われたりしたら嫌だろ?」
「貴様に言われる筋合いはないわ、椿」
「おー、怖い怖い。雪哉さんも貴方も、ヤクザってのは息子がそんなに可愛いの?あー、失って初めて気付いたんでしたっけ?遅くないですか?普通、側に居る時から大事にするものじゃ?あぁ、そこまで気が回らなかったんですもんね?」
「お前、いい加減にしろよ!?」
椿恭弥の言葉を聞いた神楽俊典は、顔を真っ赤にさせて怒鳴りつけるも、椿恭弥には何も響いていない。
「ゴホッ」
四郎の咳払いが部屋の片隅から聞こえ、椿恭弥は心配の感情が籠った視線を四郎に向ける。
血色のない唇が吐血した血の陰で、ルージュ色の口紅を塗ったようになった姿は、髪と肌の白さを強調させ、病弱なのにとても美しかった。
「「…」」
椿恭弥の視線に気が付いた四郎は視線を向け、部屋の中で互いの存在を静かに、言葉を発しずに認識している。
その光景を見ていた三郎とモモでさえも、四郎には声を掛けられず、モモは顔色を伺いながら四郎の手を握った。
兵頭雪哉も四郎に視線を向けていたのだが、椿恭弥との間に流れる空気を察して声を掛けられないでいた中、椿恭弥は苦笑いしながら誰にも聞こえない声で言葉を吐く。
「やっぱり、羨ましいな」
「羨ましいなら奪えば良い、あんなガキ如きに躊躇してるの?アンタらしくもない。弱ってくれて助かったわ」
グサッ!!!
白雪がそう言うと、首なしの死体がナイフを持ったまま、椿恭弥の背中に突き刺す。
「「椿様!!!」」
「うあっ!?」
背中を刺された椿だが、無表情のまま白雪の体にナイフを突き立て、白雪は苦痛の声が上がる。
「このばけもんどもが!!!うちの頭に何してくれてんだ!!!」
「アンタッ達、この男の組員をっ、殺しなっ!!!」
椿会の組員がこちらに向かって来るのが見えた白雪は、自分の若い男性陣に指示を出し、守りを固めさせた。
白雪の標的が椿恭弥に変わった事を察知した辰巳零士は、即座にスマホを手に取り、自分の組のお抱えの医者に通話をかける。
騒ぎに乗じて、兵頭会の本家を出ようとしているのは辰巳零士だけではなく、三郎と神楽俊典の2人も同じ考えを持ち、行動に移し始めていく。
「四郎、一旦ここを離れよう」
「一緒に居られるんだよね?四郎。私達、また一緒に居られるんだよね?」
三郎とモモに言葉を聞いた四郎は、答える代わりに2人の手を引いて優しく抱き寄せる。
四郎の中で言葉では表せない感情が沸き上がり、その感情が2人に対して向けられた『愛情』だと言う事は四郎は知らない。
誰からも教わった事がない感情だからだ。
「し、四郎?どうしたの?」
「ま、まさか抱き締められるとは思ってもなかったよっ。嬉しいけど、どうしたの?」
突然の行動に驚きつつも、モモと三郎の表情からは嬉しさが滲み出ていた。
自分達に対して分かりやすい愛情表現を、四郎自らが示してくれた事が嬉しくて仕方がない。
「…、特別な事は何も。ただ…、こうしたくなっただけだ」
最初に言おうとした言葉を飲み込み、モモと三郎の問い掛けに答えた四郎の頬に手を添え、モモは瞳に涙を溜めながら四郎の唇に口付けをした。
その光景を椿恭弥と兵頭雪哉の2人だけが、騒がしい空間の中で見つめている中、白雪は誰も視線が向けられていない状態でスマホを取り出す。
誰にも気付かれないように、白雪はスマホを操作し、薄暗い部屋がスマホ画面に映し出された。
***
11月1日 同時刻 歌舞伎町 バーまどろみ
兵頭拓也が生前に経営していたバー、まどろみが入ってる飲み屋のビル前に一台の車が停車する。
運転席から降りて来たのは、サングラスを掛けた五郎でさりげなく周囲を見渡してからアッタシュケースに積んだ車椅子を降ろす。
車椅子を後部座席のドアの前に設置してから、ゆっくりと後部座席のドアを開けた。
「おい、人がいねーから降りて来ても良いぞ」
「運転ご苦労様、降りるよ?リン」
紫外線カットのフード付きパーカを着た七海の体を抱き上げ、五郎は手際よく七海を車椅子に乗せ、七海は隣に座っていたリンに声を掛ける。
「う、うん…。お姉ちゃん、手を繋いでくれる?」
「良いよ、リンちゃん」
リンの言葉に答えながら六郎は助手席から降り、リンの手を繋ぎながら車から降ろす。
「お前の家族には、ここに来るって話したのか?」
「話してないよ、話してたらここに来れてなかったしね」
「話してないのかよ!?後で怒られても知らねーぞ」
「今からする事は、僕の考えが当たってるかどうかを確かめるだけだから」
五郎の小言をあしらいつつ、七海は車椅子のタイヤを手で回し前進させる。
***
天音とノアを神楽ヨウの元に行かせた直後、七海は六郎に連絡を入れ、リンを連れてとある場所に向かいた
かったのだ。
リンのJewelryWords、物体に宿った記憶をモニターに映し出す事ができる事を知り、七海は兵頭拓也を殺した人物の手がかりを掴みたかった。
自分達の命よりも大事に思ってくれている天音とノアの2人が居れば、止められる事は重々承知している。
2人が自分の側を自然に離れれる環境を作ってから、
七海は六郎に連絡を入れた。
「六郎、神楽組の若頭就任式の日に、リンを連れて行きたい場所があるんだけど」
「行きたい場所?どこ?」
「バーまどろみに。調べたい事がある、その為にリンのJewelryWordsが必要なんだ」
「その日は私と五郎しか空いてないわ、それでも良いの?何かあったら、私と五郎で対処するけど…」
「狙われるリスクが低いのが、その日なんだ。リンが今、椿の興味を引いていないうちがチャンスなんだ」
七海の言葉を聞いた六郎は二つ返事で了承し、五郎とリンを連れて、バーまどろみに向かう事になった。
***
古い飲み屋ビルのエレベーターには五郎と七海の2人が乗り、リンと手を繋いでいる六郎は階段を上り3階に向かう。
リンは六郎と階段を上るのが楽しいようで、鼻歌を歌いながら意気揚々と階段を上る姿を六郎は横目で確認する。
ポーンッと音を鳴らしながらエレベーターの扉が開き、先に3階に到着した五郎と七海は一足さきにまどろみの店内に入り、片付けられていない店内に視線を向けた。
「七海、六郎から聞いたけどよ。こんな場所で、拓也さんを殺した犯人なんかわかんの?」
「分かるも何も、ここで拓也さんは殺されたんだ。リンのJewelryWordswを使えば、犯人が分かるかもしれない。正直、JewelryWordsって存在を知らなかったら、犯人探しをしようとも思わなかったし」
「お前が気にするんだから、重要な事なんだろうな犯人の存在が」
「お待たせ。リンちゃん、中に入って」
「うん」
五郎と七海が話していると、六郎とリンが店内に入ってきていた。
「僕はここで何をしたらいいの?お姉ちゃん」
「リンちゃんにはね?ここの家具を色々と触ってほしいの」
「それだけ?いつもみたいに触ればいいの?」
リンの言葉を聞いた六郎の脳内には、芦間啓成の存在が浮かんでいたいたが口には出さずに頷く。
六郎の反応を伺いながら、リンは次々と店内の家具を触れて回って行くと、七海達の前に古びたモニター達が現れ、ノイズ音を立てながら映像を映し出した。
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あー、もう、第109話めっちゃ熱かった…!四郎が「俺はモモのモノだ」って言い切ったシーン、震えたわ。白雪の執着も怖いけど、それ以上にモモの嫉妬で鎖がバリバリ出てくるところ、女の怒りって怖いし美しいなって思った。九条おじいちゃんの怪我もやばいけど、辰巳が美雨ちゃんを守ろうとする姿にグッときた。次どうなるか気になって仕方ない!