【注意書】
・この作品はnmmnです
・ご本人様とは一切関係ありません
・ヴァン🏺
・3作目
ヴァンさん最後しか出てこないです
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つぼ浦「フフフンフン〜♪」
吐く息も白く凍る12月。目が眩むほどの銀世界に彩りを加える緑と赤の装飾。人々の笑い声。それと少しの恨み言。食欲をそそる食べ物の匂い。ある者は喜び、ある者は憎しみ、またある者は愛し合う……。そう。聖なる夜、クリスマスである。数日かけて降り積もった雪も今日は止み、ロスサントスの大地に暖かな日差しが降り注いだ。レギオンには白も黒もたくさんの市民が集まり、それぞれの時間を楽しんでいた。つぼ浦がレギオンに入ると駆け寄ってくる人が1人。
ここな「ヒーロー!メリークリスマス!」
つぼ浦「よう、ここな。なんか用か?」
ここな「あのね、ヒーロー、これあげる」
つぼ浦「ん?なんだこれ。チョコか?」
渡されたのは赤色の包装紙の丸いお菓子。ほんのり甘い香りが漂ってくる。
ここな「そう!ヒーロー知らない?」
つぼ浦「ああ、初めて見たな」
ここな「これね、友達とか、お世話になってる人とか、大切な人に渡すチョコレートなんだって。だからヒーローにもあげるね」
つぼ浦「へえ、そんなのあったのか。ありがとな!」
ここな「うん!ヒーローは誰かにあげたりしないの?」
つぼ浦「あ〜、まあ、気が向いたらな」
ここな「そっか、じゃあここなは別の人にも渡してくるね。バイバイ!」
つぼ浦「ああ、またな」
ここなはつぼ浦にチョコを渡すと、また別の人の元へと駆けて行った。つぼ浦は早速貰ったチョコを口に含む。中身は至って普通のミルクチョコレートで、甘さが口いっぱいに広がる。チョコを味わっていると、後ろから話しかける人が1人。
成瀬「つぼ浦さん!話は聞きましたよ!」
つぼ浦「うおっ!カニくん!?いつの間にいたんだ!?」
成瀬「つぼ浦さん。まだあのチョコ買ってないんですか?」
つぼ浦「あのチョコ?」
成瀬「友達やお世話になった人、上司に渡すのもよし。はたまたライバルに渡すのもよし。そして、好きな人、大切な人に渡すもよし!カニメイトのクリスマスチョコレート!知らないんすか!?」
つぼ浦「あれカニメイトのかよ!!で?それがどうした」
成瀬「いやいや、買わないんすか?つぼ浦さん」
つぼ浦「ん?あ〜、そうだな。じゃあじゅっ」
成瀬「つぼ浦さん!!」
つぼ浦「なんだよ!」
成瀬「まさか10個なんて言わないっすよね!?」
つぼ浦「….何が言いたい」
成瀬「10個なんて少ないっすよ!まさか、つぼ浦さんに渡す友達がいないなんてこと無いっすよねぇ?」
つぼ浦「あ゙ぁ!?いるぜ、そりゃもうたくさん」
成瀬「じゃあ何個買うんすか!」
つぼ浦「….30個だ!!」
成瀬「まいどありぃ!!!30個で30万円です」
成瀬の口車にまんまと乗せられたつぼ浦は30個購入する。宣言した瞬間送られてきた早すぎる請求書に感嘆しつつ代金を支払う。
つぼ浦「商売根性逞しいな」
成瀬「ちなみに5色展開なんですけど何色がいいですか?」
つぼ浦「そんなにあんのか!何色があるんだ?」
成瀬「赤と青とオレンジと黒と白です」
つぼ浦「じゃあオレンジで頼む」
成瀬「はい、じゃあオレンジ30個です!」
つぼ浦「ああ、ありがとう」
成瀬「あざしたぁ!じゃ!」
つぼ浦「あ、待ってくれカニくん!」
成瀬「なんすかつぼ浦さん」
つぼ浦「カニくんにも1個あげるぜ。はい」
成瀬「ぇ、つぼ浦さん…!ありがとうございます!」
つぼ浦「じゃあな!」
成瀬は感動したように声を上げチョコを受け取る。つぼ浦はレギオンを後にし警察署へ戻った。せっかくだし、無くなるまで配りたいところ。そう考えながら駐車場に入ると、ちょうど雑談中の警察が2人。
つぼ浦「安保くん、ニトロくん!」
ニトロ「つぼ浦先輩!お疲れ様です!」
さぶ郎「お疲れ様ですつぼ浦さん」
つぼ浦「ああ、お疲れ様。2人ともこれあげるぜ」
さぶ郎「チョコ?美味しそう!」
ニトロ「えっ、いいんすかつぼ浦先輩!」
つぼ浦「ああ、いっぱいあるからな」
さぶ郎「ほんと?ありがとござます!つぼ浦さん」
ニトロ「ありがとうございます!」
本署内に入ろうとすると、ちょうど出てくるミンドリーと皇帝と鉢合わせる。
つぼ浦「あ、ドリーさん、こてセン。これ配ってるんでどうぞ」
皇帝「なんだこれ。チョコか?」
ドリー「ん、貰っていいの?」
つぼ浦「はい、皆に配るつもりなんで」
皇帝「おお、ありがとなつぼ浦!」
ドリー「ありがとうつぼ浦くん」
中に入ると署長とキャップが何やら話しているようだった。
つぼ浦「署長!キャップ!おはようございます」
署長「おお、つぼつぼ。おはよう!」
キャップ「つぼつぼか、おはよう。今日は捕まえたか?」
つぼ浦「いやまだっすね。さっき起きたんで。あとこれあげます」
キャップ「あ?チョコか!」
つぼ浦「はい。会った人に配ろうと思って」
署長「ありがとうつぼつぼ!私も何かあげよう」
つぼ浦「署長。俺182番です」
署長「いや金取るのかよ!」
キャップ「そうか、182番か….」
キャップはスマホを取り出すと何か操作し始める。それと同時につぼ浦の口座にお金が振り込まれる。その金額は397円。
つぼ浦「キャップ」
キャップ「どうした、つぼつぼ」
その言葉を聞きつぼ浦は無言でバットを構える。それを見てキャップも無言でバットを構え数秒間睨み合いが続くが、キャップがバットを下ろし手を挙げそれを見てつぼ浦もバットを下ろす。その間署長は「金か〜。仕方ないな」とかなんとかいいながら100万円を振り込んでいた。ちょろい。
キャップ「無抵抗の相手には攻撃出来ないからな」
つぼ浦「はい、そうっすね」
キャップ「ああ、100点だ!」
銀行強盗の通知が鳴り向かうと、銀行前に縦向きに綺麗に車が駐車してあった。この駐車をするのは1人しかいない。案の定、中からはキツネの被り物の犯人が出てきた。
つぼ浦「ようハイライト!やってんな!」
ハイライト「おー、つぼじゃん。じゃあ今日もなんかあげる」
ハイライトは来た警察にいつものように食べ物と飲み物を2個ずつ配る。今日はおそらくダイナーの定食と飲み物だ。
つぼ浦「いつもありがとな。今日は俺も渡すもんあるぜ」
ハイライト「おっ、なになに?」
つぼ浦「はい。チョコレートだ」
ハイライト「あ、これカニメイトのじゃん。俺にくれるんだ?ありがとね」
つぼ浦「なんだ、知ってたか。まあ会ったやつに適当に配ってるからな」
ハイライト「なるほどね。じゃあ俺もつぼにあげる」
つぼ浦「お、ありがとな!」
ハイライト「解放条件は3分アタック禁止ね」
ハイライトを追って走り出す。2分ほど追いかけた頃、電柱に激突し空中に放り出される。バイクでのチェイスは危険と隣り合わせだ。そのまま地面に叩きつけられダウンする。
つぼ浦「痛ェーーー!!!あとは頼んだーーー!!!」
救急隊を呼び空を見上げる。だんだんとサイレンの音も離れていき、つぼ浦の元に静寂が訪れる。
つぼ浦「くそ、痛ェ…..」
そうこうしているうちに救急隊が到着する。車から降りてきたのは救急隊員の1人、ナイチンガール。
ナイチン「大丈夫ですかー?」
つぼ浦「これが大丈夫に見えるか….!」
ナイチン「すぐ運びますからね」
病院に運ばれ治療を受ける。ロビーを通り抜ける時に何やら聞こえたのが気になるが。
ナイチン「事件対応ですか?」
つぼ浦「そうっすね、チェイス中にちょっと」
ナイチン「あらあら、大変!すぐに治りますからね」
つぼ浦「あ゙ー、ありがとうございます」
ナイチン「お大事に!警察署まで送りましょうか?」
つぼ浦「ああ、じゃあお願いします。あ、ナイチンさん!」
ナイチン「はい!…これ、チョコですか?」
つぼ浦「はい。会った人に配ってて」
ナイチン「わぁ!嬉しい!ありがとうございますつぼ浦さん」
つぼ浦「こちらこそ、いつもありがとうございます」
ナイチン「いえいえ!警察の皆さんはいつも大変ですから」
今は患者が少ないのか、病院のロビーには救急隊員が座って喋っていた。さっきの声の正体はおそらく神崎治だろう。その証拠に、つぼ浦がロビーに入った途端に声を上げる。
神崎「つぼ浦ぁ!まーた怪我したのか!まったく、情けねえなぁ!」
つぼ浦「んだと?神崎テメェ!サボってんじゃねぇぞコラ」
神崎「いやサボってねぇよ!患者いなくて暇なんだよ!」
つぼ浦「どうだかなぁ。あ、隊長、ももみさん、葉風邪さん、チョコどうぞ。いつもお世話になってるんで」
ももみ「えー!!ありがとうつぼ浦さん!」
命田「お?俺も貰っていいのか?ありがとな」
葉風邪「ほんとー!?ありがとー!」
神崎「え、俺のは?つぼ浦俺のは!?!?」
つぼ浦「あ?どうしようかなぁ….」
神崎「俺も普段世話してるけどな??俺も起こしてるけどな??」
つぼ浦「ナイチンさん送ってください」
神崎「わー!!!うそうそ!!ごめんって!!俺にもくれよつぼ浦!!!」
つぼ浦「あ〜?んだよそんなに欲しいのか?しょうがねえなぁ!どうしても俺のチョコ欲しいんだもんなぁ!」
神崎「は?いや違うけど?別になくてもいいですー!」
つぼ浦「いやいや遠慮すんなよ、なぁ神崎!欲しいんだろ?ほらやるよ」
神崎「なんか押し付けられたんだけど!?ちょ要らない要らない」
つぼ浦「あ?人から貰ったもん返してんじゃねえよ」
神崎「お前も返してるじゃん!ちょ、」
つぼ浦「じゃあな神崎!ナイチンさん出してください!」
ナイチン「えぇ、わかったわ」
神崎「つぼ浦ぁ!?お大事に!!!」
隊長「貰えてよかったな、治」
そうして出会う人に渡していく内に、30個もあったチョコレートは残り1つになっていた。ポケットは他の人から貰ったチョコやら食べ物やらでぱんぱんだ。特に目的地もなく車で街をパトロールする。そして街の端のガソリンスタンドで、渡したい相手の最後の1人に出会った。
つぼ浦「おい!指名手配犯が何やってんだ?顔も隠さずによぉ!」
ヴァン「わしがどこで給油しようとわしの勝手だろう」
つぼ浦「ああ、別にいいぜ。….ヴァンダーマー。これやるよ」
ヴァン「なんだこれは。チョコか?」
つぼ浦「ああ。まあ、要らなかったら別に食わなくていいぜ」
つぼ浦はチョコを渡すと踵を返して車へ戻ろうとする。ヴァンダーマーはチョコを見ると辺りをさっと見渡しつぼ浦を呼び止める。
ヴァン「つぼ浦」
つぼ浦「あ?なんだ、!」
唇が触れお互いの舌が絡み合う。それは短い時間だったが、つぼ浦の記憶に残るには充分すぎる出来事だった。
つぼ浦「っ、は、」
ヴァン「生憎、1つしか持っていなかったからな」
つぼ浦「…似合わねぇ!」
ヴァン「うるせぇ。じゃあな」
ヴァンダーマーは給油の終わった車に乗り込み去っていく。つぼ浦は察しの悪い方では無い。口元を隠し、顔をほんのり赤くして車に戻っていった。そのキスは甘いチョコレートの味がした。
終わり
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天才すぎる!