テラーノベル
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「あ〜、目ぇ覚めたぁ?」
目を開けると眼鏡をかけ髭と髪は手入れのしてなそうな無気力な男がいた。そうだ。私は敵軍へのスパイ任務中にこいつに見つかったんだった。ぶん殴られたとこまで覚えてるんだけど。
「だいぶ寝てたけどクマすごいしやつれんてんね〜そっち側の訓練厳しいんだ〜」
ヘラヘラ笑いなが言っている。久しぶりに人に小馬鹿にされた気がした。手が椅子に縛り付けられてることにも気づいて憤りを感じ、危機的状況の中いつの間にか敵軍に対して
「…るっさい クソボケ」
と言ってしまった。
「だいぶ肝がすわってるじゃん。クソボケは酷くな〜い?え〜なんて言ったらいいかな。今から君を拷問して情報を聞き出すものだ。名前はね、『田沼剣之介《たぬまけんのすけ》』ってんだ」
勝手に悠長に自己紹介を始めたこの男。いけすかないので睨んでやった。
「は〜。ま、そんじゃとりあえず始めるね。お前を派遣した奴はどこのどいつだ?」
私は言わなかった。
「ま、ソウデスヨネー」
男はため息をついて、陽気な言葉とは裏腹に私の細く白い手首をガシッと掴んだ。そして手をガリっと噛んだ。痛みを我慢し顔を上げると彼はまっすぐ見つめてきた。
「女子だから手加減しなきゃだし綺麗な手をあんまり傷つけたくない。でも殴るのも良くないし〜?」
「早く自白してもらえるといいんだけど。」
滲み出る血をズルッと吸った彼と目が合った。真っ黒で光のない飲み込まれそうな目だった。スパイとして情報を漏らさないのは基本的なことだ。言わなければ一晩中拷問するのだろうか。これから始まる長い夜を想像し少し血の気が引くも、私はニヤリと笑い、
「言う訳ないでしょクソ野郎」
と言った。男も笑い
「やっと表情が変わったね。どこまで耐えれるかな?」
屍と死神の宴が始まった。
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