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好きになる資格
夜。
宿の屋上。
星が、静かに瞬いていた。
×××は、柵にもたれて空を見ていた。
(……キルア……)
胸が、ぎゅっとなる。
思い出すたびに。
でも――
次に浮かぶのは、過去。
血。
命令。
奪った命。
(……私……)
(……そんな人間が……)
(……幸せになっていいの?)
「……ないよね……」
小さな声。
「……資格……」
その時。
「……何が?」
後ろから、声。
キルア。
×××は、びくっとする。
「……聞いてた?」
「途中からな」
隣に立つ。
「資格って、何だよ」
×××は、しばらく黙って――
意を決して言う。
「……私……」
「人、殺してる」
「……いっぱい……」
キルアの胸が、きゅっと締まる。
「……仲間も……裏切った」
「……汚い……」
「……そんな私が……」
「……キルアと……付き合うとか……」
「……おかしい……」
声が、震える。
「……キルアは……」
「優しくて……まっすぐで……」
「……私とは……違う……」
視線を逸らす。
「……だから……」
「……私……距離……」
「……置いた方が……」
最後まで言えなかった。
キルアは、黙って聞いていた。
そして――
いきなり、×××の手首を掴む。
「……っ」
「離すなよ」
真剣な目。
「……なあ……」
「俺もさ……」
静かに言う。
「人、殺してる」
×××の目が開く。
「……え……」
「山ほどな」
「子どもの頃から」
「……仕事で」
「……何も感じないように……されてた」
苦笑。
「……俺も……綺麗じゃねーよ」
×××は、言葉を失う。
「……でもさ」
キルアは、まっすぐ見る。
「それで……」
「好きになる資格ないとか……」
「誰が決めたんだよ」
声が、強くなる。
「俺が……」
「×××が好きって言ってんだ」
「それで十分だろ」
×××の胸が、震える。
「……私……」
「……怖いの……」
「……失うのが……」
「……また……」
キルアは、そっと抱き寄せる。
強くない。
逃げられるくらいの、優しい力。
「……俺は……」
「逃げねーよ」
「お前が……過去を背負ってても」
「一緒に背負う」
×××の目から、涙が溢れる。
「……そんなの……」
「……重いよ……」
「いいんだよ」
即答。
「……重いのが……好きなんだ」
「……ばか……」
泣き笑い。
キルアは、額を合わせる。
「……資格とか……」
「考えんな」
「……俺が……選んだんだ」
「×××を」
×××は、震える声で言う。
「……私……」
「……キルアのこと……」
「……たぶん……」
「……好き……」
キルア、固まる。
「……たぶん?」
「……まだ……怖い……」
「……でも……」
「……離れたくない……」
キルアは、笑った。
すごく、優しく。
「……それで十分」
「ゆっくりでいい」
「俺は……ここにいる」
×××は、そっと胸に顔を埋める。
「……ありがとう……」
星空の下。
2人は、初めて――
“対等”になった。
to be continued…