赤い月がますます濃さを増し、廃墟の街には血のような光が降り注いでいた。
雨宮は傀儡と融合し始め、ねじれた黒い糸と異形の目が彼を覆っている。その姿はもはや人間のものではなかった。
「……僕は……主だ……!!」 雨宮の声は歪み、必死に自身を保とうとしている。
だが――
「……主ねぇ。」 吉田が静かに歩み出た。
その手には――一本の傘。
日哉が目を丸くする。「お、おい……なんで傘なんか――」
「黙って見てろ。」 吉田は軽く傘を肩に担ぎ、雨宮を見据えた。「こっからは俺のターンだ。」
「……何を――」 雨宮が言いかけた瞬間、吉田の姿が消えた。
「――ッ!?」
次の瞬間、雨宮の視界が大きく揺れる。衝撃。地面を蹴る音。
そして――
「……お前、ほんと悪趣味だな。」 吉田の声が背後から聞こえた。
バゴォン!!
傘の一撃が、雨宮の背中に炸裂した。
「ぐっ……!!」
雨宮は数メートル先の瓦礫に叩きつけられる。
「な、なんだ今の速さ……!」 日哉が呆然とする。
吉田は淡々と傘を振り直し、ため息をついた。「いやー、武器に迷ったんだけどな。結局これが一番しっくりくるんだよ。」
雨宮が立ち上がる。だが、その動きは焦りに満ちていた。
「ふざけるな……!! 貴様ごときが……!!」
傀儡の糸が吉田に向かって伸びる。
しかし――
「……遅い。」
シュバッ!!
吉田の傘が回転する。次の瞬間、雨宮の糸はことごとく弾き飛ばされ、地面に突き刺さった。
「なっ……!?」
「お前の技、読めてんだよ。」 吉田は冷ややかに微笑む。「コピー魔法? 観察力? そんなもんに頼るから、こうなるんだよ。」
雨宮は苛立ち、異形の目をぎょろつかせた。
「……ならば――!!」
――月が、さらに赤く染まる。
「Ⅳ式――“血月ノ傀儡狂宴”!!」
「……来たか。」 吉田は目を細める。
雨宮の周囲に無数の人形が出現する。だが、それは今までのものとは違った。
――顔がある。
――笑っている。
そして、全員が一斉に「アハハハハハハ!!!」と狂ったように笑い出した。
「……うわ、キモ……」 日哉が顔をしかめる。
「行け!!」 雨宮の叫びとともに、人形たちが一斉に襲いかかる。
しかし――
「……さあ、踊ろうぜ。」
吉田は傘を広げた。
次の瞬間。
「――“傘舞・千華乱嵐”!!」
吉田の動きは、まるで舞うようだった。傘が回り、跳ね、空を切り裂く。人形たちは弾き飛ばされ、斬られ、砕かれていく。
「なっ……なんだ、あの動き……!!」 雨宮の目が見開かれる。
「これが……傘だよ。」 吉田は静かに微笑む。
赤い月の下、戦いはなおも激化していく――。
――続く。
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁ!!! 押してる押してる!いいぞおおおおぉ!!!!!((( にっちーも流石によっしーのあの速さには唖然とするみたいだ、、、流石よっしーだ( ということでうちはあの人形チャァンと雨宮タァンにナンパしてくるよ(は?? 次回もめっっっっさ楽しみいいいぃ!!!!!!!