赤い月はなおも不吉に輝き、狂気に満ちた笑い声が廃墟の街を包む。
無数の顔を持つ傀儡たちが吉田を取り囲み、波のように押し寄せる。
だが――
「――はぁ。」 吉田は、わずかに溜息をついた。
次の瞬間。
「千華乱嵐――」
傘が一閃。
「――終ノ舞。」
バシュッ――!!!
音もなく、傀儡の大群が一瞬で裂かれた。
無数の笑顔が血のように散り、地面に崩れ落ちる。
「……なん、だと……?」 雨宮は目を見開いた。
吉田は淡々と傘を閉じる。
「お前の“芸術”は、ちょっと俺には合わないな。」 吉田の声は静かだったが、その瞳は鋭かった。
「――ふざけるな!!」 雨宮は叫ぶ。「Ⅳ式を突破しただと!? 貴様如きが――!!」
「お前の芸術は見た目だけの張りぼてだ。」 吉田は冷ややかに言った。「本物の“意志”がねぇんだよ。」
「貴様ァァ!!!」
――バキィィン!!!
雨宮の体がひび割れ、黒い糸が暴走し始める。
赤い月はさらに深紅を増し、雨宮の姿がゆっくりと変貌していった。
「日哉、下がれ。」 吉田は低く言う。
「おいおい、マジかよ……」 日哉はごくりと喉を鳴らしながら、後ろへと後退する。
そして――
「Ⅴ式――“血月ノ魔操神”!!」
雨宮の体が完全に崩れ、人形と一体化した。
巨大な異形が姿を現す。無数の顔、無数の手。
それらが一斉に、狂ったように笑い声を上げた。
「――踊ろうぜ、吉田ァァァ!!!」
吉田は静かに傘を構える。
「……ああ、踊ってやるよ。」
そして、戦いは最終局面へと突入する――。
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