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練習が終わったスタジオの帰り道。
夜風に吹かれながら、二人並んで歩いていた。
「今日も一成、頑張ってたなぁ」
純喜が、ふと笑いながら言う。
「純喜くんこそ、ダンスも歌も完璧やから…。僕も、もっと上手くならなきゃ」
豆原はそう言って、はにかむように笑った。
「そんなことないって!一成、すっごい成長してるやん。俺、ちゃんと見てるで」
純喜は優しく豆原の肩に手を置く。その手の温かさに、豆原の頬がほんのり赤くなる。
「…ありがとう、純喜くん。なんか、素直に嬉しい」
しばらく二人は沈黙。だけど、その静けさも心地よかった。
歩道橋の上で立ち止まると、煌めく街の明かりが二人の影を一つに重ねた。
「なぁ、一成——これからも、ずっと隣で頑張ってもええ?」
純喜が、まっすぐ目を見て言う。
豆原はうなずいた。
「…はい。僕も、純喜くんと一緒に進みたいです」
夜風が静かに二人を包み込む。
小さな手がそっと純喜の指を握った。
「…ありがとな」
二人だけの秘密の夜が、そっと始まった。