はあい、!
続き~!
私に突っ込んで来た其のナニカとは。
「キミは…先の大戦で使われていた、通称【魔狼】…。
『災厄』とさえ呼ばれた狼クンだね」
ツァボライトの様に輝く緑色の体躯。
琥珀色の目。
そして印象的な角と尻尾。
尻尾には、めらめらと燃える炎が宿っている。
「みんなに…何をしようとしたんだ…」
今にも飛び付きそうな出で立ちだ。
「待てって、狼クン、ちゃんと聞いて?」
私は此れ以上警戒させない様、優しく宥める様に諭す。
しかし、其の狼はずっと此方を睨んでいる。
「ボクの大切な友達だ!だから手を出すなッ!」
すると其の狼は、尻尾を振り回し、尻尾に付いているネオン色の輪を私の方に投げて来た。
「うわっとおっ?!」
私はすれすれで其の攻撃を避けた。
すると、ひゅんっ、というブーメランの様な音が背後からした。
「えっ?!」
其の輪が返って来たのだ。
私は飛んだ。
ミコッテ族は人間に比べて跳躍力が比にならない位強い。
其の飛んだ勢いの儘、異能力を発動する。
「ジャバウォックッ!!」
私の体から霧が出て来る。
其の霧は大きなドラゴンという実体を持つ。
ジャバウォックは私の下に潜り込み、私は其の背中に降りる。
ふと下を見ると、子供達が不安そうに私達と狼を交互に見ていた。
「殺さずに捕まえたいな~あの子、ジャバウォック、アレ出来る?」
「案ずるでない、我を誰だと思っておる」
ジャバウォックは狼に向かって泡を吐く。
「、こんなのっ、!」
狼は身を翻し、逃げようとする。
しかし、此の泡からは逃げられなかった。
「っ、うわあっ?!」
泡は網に姿を変え、狼を地面に捕らえた。
此の網の強度は高い。
ジャバウォックが解除しなければ逃げる事は不可能だ。
「動けない…取れない…っ、!」
狼はもがいている。
網を噛んだら、爪で引っ掻いたりしているが、網が壊れそうな気配はない。
私はジャバウォックから飛び降りて、狼に云った。
「ごめんねー其れ無駄なんだ」
「っ…何で、!」
そりゃあそうなるだろう。
口調から、精神年齢は恐らく10歳にも満たないと推測した。
幼い、初めに見た時からそう感じた。
子供達を見ると、恐怖に顔を歪めている。
其の時、1人の少年が、
「ぁ、あの、!」
おずおずと云い出した。
「ん?なあに?」
「そのおおかみはねっ、!ぼくたちのおともだちなの!」
其の小さい体に似合わない大声を出した。
少年の言葉に、狼はぴくりと反応した。
「だからおねがい!もうそんなに13ばんをいじめないでっ!!」
堪え切れなくなったのか、其の少年は泣き出した。
ジャバウォックも、少し不思議そうに首を傾げた。
「仲間…なのか?此奴等…」
少年の隣にいた、少年よりも幼い少女が言った。
「むかしね、ヨコハマで大きなじけんがあったの、!」
少年も息を整え、其の続きを話した。
「そのとき、ぼくたち、おとうさんとおかあさんがしんじゃったんだ」
私は其の「事件」とやらに覚えがあった。
其れは、きっと『龍頭抗争』なのではと。
そのせいで親を亡くした子供は大勢居た筈だ。
「それでね、おとうさんおかあさんがいないみんなであつまったの」
「たくさんのおじさんがね、あたしたちをここまでつれてきてくれたの、
「助けてあげる」っていってくれたの!」
其れを聞いた時、寒さではない何かが背中を走った。
「ここにきたらね、いっぱいごはんくれてね、すっごくおいしかったの!」
「でもね、すこししたらね、おともだちがへったの」
研究の非検体にされた。
「助ける」と言ったのは子供騙しの言葉。
丁度良い子供達だったのだろう。
「何人連れて行かれた?」
私は思わず前のめりになって聞いた。
すると、奥に捕えられていた狼が答えた。
「12人だ、!だからボクは13ばんなの!」
此の子供達には名前が無い。
何故此の研究所の奴等は非検体を探していたのか。
其れを察した様にジャバウォックが答える。
「あの大戦で使う為の兵器が欲しかったのだろう?」
確かに其の通りだ。
でなければこんな悪趣味な生き物を作れる筈がない。
一通り話を聞き終えた後、
「狼クン、此の子供達を安全な処へ連れて行くと約束しよう」
と狼に向かって云った。
「……ほんとう、?」
少し希望を混ぜた小さな声で答えた。
「勿論、此の子達には楽しく、安心して過ごせる場所が欲しいとは思わない?」
「、思う」
ジャバウォックは狼に近付いて、網を剥ぎ取った。
狼がむくりと起き上がる。
「私の知り合いに孤児院を営んでいる人がいるの、其の孤児院には定期的に
お金を入れているから、子供達はいつでも元気に過ごしてるし、環境も良いよ」
私はにこにこして云う。
狼は此方に寄って来る。
「あの子たちを、助けてくれる、?」
今にも泣き出しそうな顔で聞いた。
「当たり前でしょ、任せて」
子供達は、ぱあっ、と顔を明るくして笑った。
ジャバウォックは子供達に近付き、
「我の背に乗れ、全員乗せられる」
と云い、しゃがんだ。
子供達はゆっくり、ジャバウォックの背中に乗って行った。
私は狼に向かって云う。
「君もおいで」
狼は素っ頓狂な表情になった。
「……え、?」
間を空け、此れだけ返した。
「でも君は別、私達の拠点に来るの」
私は狼の足を撫でる。
狼は私の事を潤んだ目で見詰める。
「わるいこと、する?」
此の子は大戦で人造兵器として大勢の敵を殺戮した厄災だ。
でも其れは自分と意思ではなく、操られた上での行為だった。
「しないよ、お仕事するだけ。
やりたくなきゃあ私がやるし!」
「ほんとう?」
狼は大きい目を、もっと大きく開いて云った。
今や其の目に恐怖は無い。
きらきらと輝いている。
「うん、!お姉さんについてく!」
口角を上げ、にいっと微笑んだ。
「ヴァージニア、孤児院に送るぞ」
「うん、お願い、私も今連絡しとくから送って来て~っ!」
ジャバウォックは優しく飛び上がり、ゆっくりと進んで行った。
「寒くはないか」
ジャバウォックは背中に乗っている子供達に向かって聞いた。
「うん!だいじょーぶだよ!」
子供達が凍えぬ様に、背中に水のバリアを張っている。
「もうじき着く、安心しろ」
近くで良く観察しないと分からない程だったが、ジャバウォックは微笑んでいた。
孤児院が見え、ふわふわとゆっくり地上に降りた。
私は拠点に向かって歩き出した。
狼も私にてくてくと着いて来た。
「……あの爆発って、君の仕業かな?」
歩きながら、自然に聞いた。
狼はけろっとして答えた。
「そーだよ、みんなを地下において、上だけばくはつさせたの」
私は素直な疑問をぶつけた。
「何で爆発させたかったの?」
狼は、声を大きくさせて言った。
「ボクをこんなにして、他の子もじっけんに使ってさ、ころしたんだよ!」
其の声には、怒りがこもっていた。
溢れ出す憤怒。
「そんな奴らに、ふくしゅうしたかったのさ、!」
其の狼は、涙を溢した。
とても大切な仲間だったのだろう。
あの死闘で生き残り、孤独となった子供同士の寄り合い。
そんな中で一緒に生きてきた仲間を殺された怒りは、言葉で表せない程だろう。
「…君は、其れで良いと思うよ」
「!」
私は微笑んで狼の方に振り向く。
「君が彼奴等を倒して呉れたお陰で、他の子供達は生き残った。
良くやったね、君は凄く強い子だ」
私は狼の頬を撫でてやった。
「っ、う…」
狼は私にすり寄る。
「私達と一緒に生きていく?」
私は狼の目をじっと見詰める。
其れに呼応する様に、
「うん、!」
とだけ答えた。
いつもよりも暖かい夜の風が吹いた。
おかえりー!
此の話、少し時間かかったっけ…
文ストキャラ登場しなくてごめん…笑
エヴァの2.22(破)を見乍ら書いてたの。
最後の方で「翼をください」って歌が流れるからさ、
昔見た時は「エヴァの歌だ」って思ってた…笑
中2の教科書に「翼をください」って載ってて吃驚した覚えがある…。
そしてこのシーンで毎回泣くのよ…
映像綺麗、歌声綺麗…シンジ頑張れ…初号機恰好良い…って沢山の想いが溢れちゃってね…。
今回のタイトル「Revenge of the wolf 」(リベンジ オブ ザ ウルフ)の意味は
「狼の復讐」。
❤️1000〜1500でお願いします!!
お昼に投稿しちゃってるから❤️の伸び悪いかも………笑
じゃあ宜しく~ッ!!!
コメント
6件
かわゆいんだが…? (?) エヴァ……妹が確か見てたような…結構前に…
皆んなもエヴァ見て欲しい………