はあい!
続きだよー!
私達は拠点に戻って来た。
「てかさ…ずっと狼なの?」
私は狼に尋ねる。
「うん、じっけんが成功したあの日からずうっとコレだよ」
にこにこし乍ら答えた。
私は1つの案を閃く。
「あのさ、元々は人間な訳じゃん?だったら、其の姿から人型になる事は出来るんじゃない?」
狼は少し戸惑った様に言った。
「で、できるかな…」
やった事は無いのだろう。
でも、やってみないと分からない事だ。
「人間の姿をイメージして」
狼はぎゅっ、と目を瞑る。
「んん……ッ」
「人間の様な華奢な手足、そして心をイメージしてご覧」
すると、狼の体はするすると小さくなった。
尻尾も、耳も、角も、手足も。
「ぁ…」
其の姿は、幼女に近かった。
肩に付くか付かないか位の長さのストレートヘア。
大きな狼型の耳。
額から生えている小さな2本の角。
鋭く、長い爪。
炎を宿した尻尾。
きゅるきゅるとした大きな二重の目。
琥珀色をしている。
人間よりも鋭い八重歯。
私も其の姿を見て、一瞬固まって仕舞った。
「……何だ、出来るじゃん、!」
少し間を空け、其の言葉だけが口から溢れた。
狼は、恐らく1メートル弱の小さな子供の姿となっていた。
落ちて仕舞いそうな程大きな目で私を見詰めた。
「できた!ボク、出来たよ!」
まるで鈴を転がすかの様に笑う。
途轍も無く可愛い。
「じゃあ入ろっか」
私は其の子の手を優しく引く。
「うん!」
私の手を強く握り返してきた。
少し、痛かった。
「たっだいまー!」
私は元気に挨拶をした。
フョードルが、私と狼子供を交互に見ていた。
珍しく、驚愕の表情だった。
「あの…其の子供は、何処の子です?」
前のめりになって聞いて来た。
「あの爆発の犯人だよ」
「えっ」
中々に素の声が聞けた。
カレンダーに印を付けておこう。
「ボク、悪い人をやっつけたんだよっ!おにーさん!」
人見知りをしない性格なのか、直ぐにフョードルに駆け寄った。
フョードルは一瞬驚いた様な表情になったが、
「そうですか、其れは偉いですね」
と、子供の頭を優しく撫でた。
其の時、フョードルがぴくりと動き。
「そういえば、此の子の名前は何と言うのですか?」
「ぁえッ」
其れを聞いた子供が泣き出しそうな顔になった。
そう。此の子には名前が無い。
研究所では「13番」と呼ばれていた。
「ボク、ぼく……」
私は反射的に此の子にぎゅう、と抱き付いていた。
「大丈夫だよ」
と何回も言い聞かせてあげた。
「おや…そんな事が」
「名前、覚えてない?自分の名前」
そう問い掛けてみた。
泣き出し、声を引き攣らせ乍らも言った。
「分かんないの、ボク…ちっちゃかったから…ッ」
私はそんな雰囲気を吹き飛ばすかの様に
「じゃあ私が君の名前を考えてあげる!」
「え…、?」
“有り得ない”という様な表情で私を見詰めている。
私はにっ、と笑い返した。
「ん…そうだなあ…」
うーん、と首を傾げる。
「……あ!」
私は頭にとても素敵な名前が浮かんだ。
「バルザック!」
「ばる…?」
「そう、君の名前はバルザック!…如何?」
私はそう伝え、微笑んだ。
するとぱあっ、と表情を明るくし、
「うんっ、!嬉しい!それが良い!」
と、私に強く抱き付いて来た。
とても暖かかった。
「じゃあ、此の子の名前はバルザック、という事で良いのですね」
フョードルは安心した様に微笑む。
「んじゃあ……寝ようか」
私はバルザックの手を引き、自分の部屋に連れて行った。
ベッドは十分な広さなので、バルザックは簡単に収まるだろう。
私が横で寝ても、何の影響も無い。
「何?これ…」
バルザックはベッドを見て、疑問の声を漏らした。
「あれ、知らないの?」
「うん…何につかうの?」
本当に知らない様子だった。
「此れはね、寝る時に使う物なんだよー?」
私はにこにこし乍ら言った。
首を傾げ、
「そうなんだ…ボク、ねる時はいっつも皆んなでくっついて床でねてたから…」
と言った。
酷い。子供にやって良い所業じゃない。
私はベッドに寝転がり、
「おいで」
と手を広げた。
「ん…そこに行けば良いの、?」
バルザックはきょとん、と首を傾げる。
私はこくこく、と頷く。
数秒置いた後、バルザックはとことこ歩いて来た。
「……これで、良い?」
私の隣にちょこんと寝た。
「そうそう、其れで良し…」
私は少し微笑み、其の儘目を瞑った。
…ねてる…。
今まで大人が寝てるの見たことないんだよね…。
「……」
ボクはお姉さんの髪をつついた。
髪すっごくさらさらしてる…、!
「、ん…ッ」
お姉さんが少し反応したんだ。
「!…おもしろい」
ボクはひたすらお姉さんにちょっかいを掛けた。
数分後。
「ん……ぅ」
ぱち、とお姉さんは目を開けた。
「…バル、未だ寝てないの…?」
寝ぼけ眼を擦ってボクを見る。
「うん…お姉さんかわいくて」
ボクは笑顔でそう言ったんだ。
お姉さんは、
「…ッ、?!/」
顔が紅くなってた。
「ほ、ほらッ!寝るよ!」
何か其れを誤魔化す様にボクを無理矢理ぎゅーってして其の儘寝ちゃった。
翌朝。
「おはよお…バル良く寝れた…?」
私は横を見る。
「…あれ?!バルが居ない?」
吃驚して反射で毛布を退けた。
すると其処に、ちんまりと縮こまって眠るバルザックの姿があった。
微かに上下する背中。
頬をシーツに付け、足を胸に近付けて寝ていた。
「余計小さい…」
まるで腹の中に居る胎児の様な姿勢だった。
私の頭にふと、ある話が浮かんだ。
此の様に胎児型の姿勢で寝るのは、
何らかのストレス、疲れ等を持っているから…。
何となく何かが繋がった。
バルザックが起きる様子は無い。
(寝かしておいてあげよう…)
私はバルザックを起こさぬ様に、そっと部屋を出た。
今は朝の5時。
「お早う御座います」
フョードルが先に声を掛けてきた。
「おはよお…」
ふわあ、と欠伸をした。
「珍しく寝坊ですね」
「…30分だけだし」
流石に昨日は疲れた。
そうだ、あの孤児院に行こう。
一夜明けての子供達の様子が気になった。
「御免、ちょっと出掛けて来る」
フョードルは無言で頷いた。
「ジャバウォック〜…連れてって〜」
私はジャバウォックの背に乗り、孤児院まで飛んだ。
「ぁ”~ッ、さぶ…ッ」
朝は寒い。
昼間よりも更にだ。
凍て付く様な空気。
「……へっくしゅ」
私は小さなくしゃみをした。
「…ほら、着いたぞ」
私を孤児院まで降ろして呉れた。
……其の時。
「…おねえさぁーんっ!」
またもや私に突っ込んで来る大きな影。
「ぉわあ”ッ”?!」
…バルザックだった。
「昨夜の狼ではないか、元気で良い事だ」
ジャバウォックはからからと笑った。
バルザックはするすると人型の姿になった。
ジャバウォックは切れ長の目を大きく見開いて、バルザックに釘付けになっていた。
「此奴…人間の姿になれるのか…?」
あ、中々見られない顔だ。
「そーだよっ!まあ耳としっぽはのこっちゃうんだけどねっ!」
まず、何故此処まで着いて来たのか。
いつ起きたのか。
頭の中に沢山のはてなマークが浮かんだ。
「お姉さんが起きたあとすぐにボクも起きたの!」
凄い。
私、人間よりも遥かに耳が良い筈なのに。
気付かれずに此処まで来たと言うのか。
唖然として仕舞った。
「…えへへッ」
バルザックはにんまりと笑った。
「ここだね、みんながいるところ」
孤児院を見つめて言った。
「そう、皆んなの様子を見に来たの」
そう言いかけた時、
プルルルルルルッ
「ッ?!」
電話が鳴った。
「…はい」
電話には、
「ヴァージニアちゃん!」
ゴーゴリが出た。
とても焦っている様子だ。
「何?!」
「今直ぐ其処から離れて!ジャック・ザ・リッパーだッ!」
…は?
聞いた事がある組織名だ。
「…早くッ!殺されちゃうよっ!」
ゴーゴリの声は、半分怒声だ。
「えっ、?」
私は其の勢いに圧倒されるしかなかった。
「サイレントウルフが来るッ!」
其れだけ言って、ゴーゴリは電話を切った。
おかえりー!
数週間も遅くなってごめん…
大会、勉強…言い訳だけど、色々あった。
ちょこちょことしか書けなくて…笑
❤️は1000〜1500でお願いしますっ!
コメント
6件
是非❤️を1000迄お願いします……ッ、! 続きが書きたいのですぅ……