テラーノベル
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男は俺の襟を掴み、服をナイフで切り裂いた
「‥‥っ‼︎」
「あ‥‥ごめんね?少し切れたかな」
「‥‥‥‥」
服を切り裂いたナイフが俺の胸の皮膚の上を滑る
軽く触れたそこからプツプツと血液が浮き上がった
それなのに痛みは感じない
それどころかなんだかフワフワと気持ちが良くなっていく‥‥
「どうしたの?そんなに笑って」
「え‥‥?」
「気持ちよくなって来た?もうどうでも良くなって来ただろ?」
「あ‥‥そんな事‥‥」
そんな事ない?
何が?
あれ‥‥何の話しだっけ?
男が手にしたガラスのパイプ
それを口に入れると俺の足を広げた
「あんまり締めると割れちゃうかもな」
「あ‥‥‥‥」
「ここでイブラヒム様をどうやって慰めたんだよ」
「んっ!‥‥あっ‥‥」
丸まった先を俺の中に入れるとグルグルと回しながら滅茶苦茶にかき混ぜられる
それすらも気持ち良い
真っ白な部屋の中
俺が腕を伸ばすと男も笑った
「そんなに気持ち良い?そんな気持ちのまま一緒に連れて行ってやるよ」
「んぁ‥‥そこ‥‥」
気持ちが良い
なんでこんなに気持ち良いんだろう
考えがまとまらない
そんな事どうでもいい
その時後ろの扉が開けられた
ボーッとしている頭にバンっと強く開いた音が聞こえた
それすらも気にならないほどに俺は自分を見失っている
「お前‥‥本当に死にたいのか?」
「あ‥‥イブラヒム様?イブラヒム様も一緒に」
「一緒になんてありえないだろ。行くならお前1人で行けよ。コイツを連れて行け。俺の目に触れる事がない様に」
「はい!かしこまりました!」
部屋の中が静まり返る
そしてイブさんが俺の側で膝を着く
「ロウ‥‥」
「んっ‥‥誰?」
「‥‥‥‥‥‥」
イブさんは何も言わずに体の中に入ったガラスのパイプを地面へと投げ捨てた
そして頭に付けていた長い布を解くと俺の体を覆った
「早く出よう。ここの空気は最悪だ」
「っや!‥‥なに?」
「ごめんな‥‥こんな事になって」
俺を抱え上げると急いで部屋を出る
そして車に乗せると水を飲ませられた
「んっ!‥‥水要らないっ‥‥」
「飲むんだ。もっと‥‥ほら」
「んんっ‥‥ゴクッ‥‥ケホッ‥‥」
「アイツ‥‥アヘンなんて使いやがって」
そう言いながら車の窓を全開にする
まだ暑くない風が心地良い
「アヘン‥‥?」
「そうだ。あの部屋で焚かれていた物がそれだ」
「‥‥でもイブさんの部屋でも同じ様な物‥‥」
「あれは麝香だ。お前達の国ではムスクって言うかな」
そんな事言われてもまだ俺の頭ではピンと来ない
でも少しの間風に当たりながら走っているうちに大分考えもクリアになって来た
「イブさん‥‥俺‥‥」
「どうした?」
「気持ち悪いかも‥‥」
「車を止めて少し休もう」
イブさんが車を止めさせ、下車してまもなく俺は吐き戻した
それはすぐには落ち着かない様だった
「もう少しすれば治るだろう」
「すいません‥‥」
「アヘンのせいだ。初めてだろうからすぐに落ち着くはずだ」
イブさんは俺の背中をさすりながら落ち着くまでそうしていてくれた
そして帰り道
どうしてこうなったのか話を聞かせてくれた
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コメント
6件
うわ、すごい緊迫した回だったね……。最初のアヘンの煙の中で思考が溶けていく感じ、読んでいて自分もふわふわしてしまいそうになったよ。イブラヒムが現れて「一緒になんてありえない」って突き放すところ、あの温度差が切ない。でも最後に布をかけて抱え上げてくれる優しさに、やっぱり彼なりの想いがあるんだろうなって思った。ムスクとアヘンの違いの説明とか、世界観の作り込みも好き。何度も読み返したくなる話だった。