テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「…..え?」
病院からの電話。
私はスマホを耳に当てたまま、しばらく動けなかった。
医師「先日の検査のことなんですが、もう一度詳しく検査を受けていただきたいんです」
「…..もう一度、ですか?」
医師「はい。今後の治療についても、直接お話したいので」
「…..わかりました」
電話を切る。私は大きく息を吐いた。
「…..怖いな」
病気のことを知ってから、何をしていても頭の片隅にその事がある
テレビを見ても、ご飯を食べても、6人と話していても。
ーーあと3ヶ月かもしれない
その言葉が頭から離れなかった。でも、昨日決めた。
泣いているだけじゃなくて、残された時間でできることをしようって
私はスマホのメモを開いた。
『やりたいことリスト』
その中には、昨日追加した項目があった。
『6人に、ちゃんとありがとうを伝える』
私はその文字をじっと見つめる。
「…..いつ言おう」
そう呟いたけど、すぐに首を横に振った
「…….まだ、言えない」
みんなに話したら、絶対に心配する
慎太郎なんてきっと泣く。
ジェシーも無理して笑おうとするかもしれない。
樹は何も言わずにずっとそばにいてくれるだろう。
大我も、高地も、北斗も。
みんな優しいから。だからこそ、言えなかった。
ピロン
突然、LINEの通知が鳴った。
グループLINEだった。
慎太郎『今日みんなどっか行かない?』
ジェシー『うみも来る?』
樹『急だな笑』
大我『俺は暇』
高地『俺も行けるよ』
北斗『うみは?』
私は画面を見つめた。
少しだけ迷ってから、
『行くっしょー!!』と送った
直ぐに返信が来る
慎太郎『よっしゃ!!』
ジェシー『どこいく!?』
樹「とりあえず集合な』
私はスマホを見ながら笑った
「……ほんと、変わらないな」
病気になったのは私。でも、みんなとの関係は何も変わっていない。
それが嬉しかった。そして、少し怖かった。
ーーいつか、この日常がなくなる
そう思うと、また胸が苦しくなった。
でも今日は考えない。
今日は、みんなと笑う。
それでいい。
ーーーーーーー
夕方。
待ち合わせ場所に行くと、すでに6人が集まっていた。
「うみ遅い!!」
慎太郎が手を振る
「まだ時間前なんだけど(笑)」
「細かいことは気にすんな!!」
「意味わかんない(笑)」
みんなで笑う。その笑い声を聞いているだけで、なんだか安心した。
「今日どこ行く?」
ジェシーが聞く
「うみが決めていいよ」
樹が言った。
「え、私?」
「最近うみが行きたいとこ多そうだから」
「…..!」
一瞬、心臓が止まりそうになった。
「…..じゃあ」
私は少し考えて、「海行きたい!」といった。
「海?」
高地が笑う。
「名前と一緒じゃん」
「ホントだ!AHAHAHA!!」
ジェシーが笑い出す
「うみが海に行く!」
「ややこしい(笑)」
みんなが笑う。私も笑った。
でも心のなかでは
ーーやりたいことリスト、一個目。
そう思っていた。みんなと過ごす時間を、一つずつ増やしていこう。
そう決めた。
ーーーーーーーーーー
帰宅してから、私は今日撮った写真を見返した。
6人で撮った写真、くだらないことで笑っている写真、変なポーズをしている写真。全部、大切だった。
私は写真を眺めながら、またリストを開いた。
一つずつ、叶ったものにチェックを付けていく。
そして一番下にある、
『6人に、ちゃんとありがとうを伝える』を見つめた。
「……まだ」
私は小さく呟く。
「まだ、言えない」
スマホを閉じる。
その瞬間、また通知が鳴った。
北斗からの個人LINEだった。
『今日、なんか元気なかった?』
「…..え?」
私は画面を見つめたまま、動けなくなった。
『大丈夫だよ!』
そう打って、送信する
すぐに既読がつく。
『そっか』
それだけだった。
私はスマホを胸元に置いた。
「…….バレてないよね」
でも私はまだ知らなかった。
この日から少しずつーー
6人が私の小さな変化に気づき始めていたことを。
640
やかんちゃん🍟🍄🟫
679
ぴざぶどう。
56
コメント
3件
うわああああ、もうこの第3話、胸がぎゅってなったよ〜!!😭💔 うみちゃんの「まだ言えない」って気持ち、痛いくらいわかるよ…。みんな優しいからこそ、言ったら壊れそうで怖いんだよね。でも、最後の北斗くんの『今日、なんか元気なかった?』で一気に泣きそうになった…!気づかれてるの、切なすぎる〜😢 ゆきのさんの描く6人の優しさとか、うみちゃんの強がりの奥にある感情が本当にリアルで、続きが気になってしょーないです!次話、絶対読みますね🌸✨