sr side
※attention
この作品は卒業メンバーの方も出てきます
また事故の設定や1部病気の話もででくるため苦手な方はお戻りください
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まちこの声が好きやった。
朝、目が覚めてふとそう思った。
少し高くてよく通る、俺のこと呼んでくれるその声が好きやった。そういえば最近まちこの声全然聞いとらん。人って一番最初に声を忘れるって言うよな。聞きに行かんと忘れてしまう。それは嫌や。早く、まちこに会いに行かんと。
そう思ってベットから起き上がろうとしたものの、起き上がれない。まちこに会いに行きたいのに、テープやら管やら色々体に付けられていて、あと何か身体が重くて上手く動けない。
そもそもここ何処や。
俺家におった筈なんやけど。
そんな疑問を持ちつつもただ早く、早く動いて、まちこに早く会いたい。その一心で体に付いているものをとり、立ち上がった。だけどやっぱり上手く力が入らず、すぐに床に倒れ込んでしまった。さっきからずっと身体が重い。結構長い間寝たはずなのに。
やっとの思いで立ち上がって壁伝いに歩く。心做しか足が前より細く、筋肉が落ちたように見える。 ここ最近走りに行かずに家に引きこもっていたのが悪かったんやろな。ちょうどええし、まちこに会いにいくついでに走るか。今は何か体ダルいけど、起きてすぐやからそうなってるだけで、そのうち治るやろ。
そう考えているうちに扉の前まで来れたから取っ手に手をかけようとすると扉が開いた。びっくりして固まっていると、同じように固まっている奴と目が合った。そいつがニキだと分かるまで少し時間がかかってしまった。どうも今日は調子が悪い。挨拶でもしようかと口を開きかけると、ニキにいきなり肩を掴まれた。勢いがあったのと、掴まれた肩が痛くて気が抜けてしまった俺は膝から崩れ落ちるように倒れてしまった。
足、痛ぇ。
ズキズキと痛む足を抑えつつニキに文句を言ってやろうと思ったら、部屋に白衣を纏った男性と白い服を身につけた女性が数名入ってきた。 調子が悪いと言えど流石に分かった。
俺今病院におるんやな。
んで俺が患者。
多分さっき取った管とかは点滴とか、心電図に繋がっとたんやろ。それで心電図の反応が急に無くなったから医者が来たと。
いくら患者でもこれは怒られると思っていたが、医師も看護師もかくいうニキも。誰も口を開かずに俺をベットに戻して、慣れた手つきで点滴とかをつけ直してくれた。若い看護師の眉間に皺がよっていたから怒ってはいたんだろうけど。
作業が終わって礼と謝罪をしようとしたが、喉が乾燥していて声が出なかった。それを察してくれたニキが水を渡してくれた。声が出ない代わりに軽く頭を下げて水を飲んでいると、医者が俺に聞こえない程度の声量でニキになにか言って部屋から出ていってしまった。
どういう事や?普通は説明とか軽い問診とかあるもんやろ。それをせんのはおかしい。というかこの状況自体がおかしいんや。別に俺は至って健康やったし、ちょっと寝不足が続いただけでこうはならん筈や。
そう思って頬をつねると痛かった。
夢ではないらしい。
取り敢えず今どういう状況なのかニキに聞こうと思ったのも束の間、急に眠気が襲ってきた。
ヤバい。頭痛いし、眠すぎるわこれ。
ニキと話したいんやけど。
睡魔を拒みながら何とか目を開けようとしていたが、どんどん瞼が重くなり、頭が眠さに耐えられなくなってきた。
まぁちょっと疲れたし寝てもええやろ。起きたらニキに色々聞けばええし。
そう思ってわざわざ来てくれたのに何も話さずに寝てしまうことをニキに伝えようとしたが、きっと言えてなかったと思う。
目を完全に瞑る前の一瞬。 ニキが泣いているように見えたのは多分気の所為やろな。
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