あぁ、なんだこの香りは…
何も見えない、冷たい
なのに、まるで奥深い森のようであたたかいこの香り
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眩しい…
KM「ここは…?」
?「お目覚めですか」
そこには、まるでホテルのコンシェルジュのような格好をした男性の姿があった。
背は俺より少し小さいくらいで、髪は白髪混じりの60代後半から70代くらいだ。
KM「あなたは…」
そう言って身体を起こすと胸がズンと痛む。
?「ご無理はなされないようにしてくださいね。」
「……ここは死後の世界と申しましょうか…」
KM「まっ…待ってください、死後……って、俺は死んだんですか?」
そう問うと、意味ありげな笑みを浮かべてぐんっと俺に近づいてくる。
?「でもね、生まれ変わるかそうでないか貴方は決められるんです」
KM「そうでないか…?」
?「えぇ、もう一度やり直すことです。」
「もう一度やり直すということであれば……」
KM「やり直します…!!」
自分でもびっくりするほど大きな声が出た。
でもそれほど嬉しかったのだ。
だって、あの香りがもどかしくてたまらないんだ。
?「ですよね、ですから貴方にはこの選択肢があったんですよ。」
「大切なモノを貴方が見つける為に…」
KM「え…?」
そう言ったのも束の間、痛いほど眩しい光に包まれた。