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「俺には…お前しかいないから…亅
「イザナっ…」
死に際の私の愛しい人はそう言った。
私の友人に。
私には彼氏がいた。彼は育ってきた環境が複雑で、
愛に飢えていた。そんな彼と添い遂げる覚悟と自信があった。添い遂げるだなんて、彼はそんな事思ってもなかっただろう。私は所詮その程度の女だった。
ねぇ、貴方の目には何が映っているの?私?それとも別の人かしら?もし後者だったなら私との時間は?あの言葉は何だったの?全部嘘だって言ってよ。
もう彼が動くことはなかった。
彼が死んだ。撃たれそうになっていた友人を庇って。
彼を殺した犯人も車に撥ねられて死んだらしい。
でも実際そんなことどうでも良かった。
迷惑だったとしても私は彼の元へ逝きたい。
「もうすぐ行くからね。」
私はかつて彼と共に来た海辺の崖に立つ。
そして音も無く漆黒の海へと身を投げた。
私の体が深海へと沈んでいく。
「バッカじゃねぇの?」
音一つしない海の中で懐かしい彼の声が
聞こえたような気がした。
肺に残った空気を全て吐き切ると、私ははっきりとしない意識を手放した。
これでずっといっしょだね、もうはなさないよ。