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夫とだけはしたくありません

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夫とだけはしたくありません

41 - 第41話 お互いのスマホ公開

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2024年11月16日

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ギクシャクしたままで晩ご飯を終わらせ、絵本を読み聞かせて圭太を寝かしつけた。


_____圭太だけは絶対に守る!


誰に言うともなく、心の中でしっかりと誓う。


私は女であり妻であるまえに、母親なのだ。


雅史はリビングでテレビを見ていた。


おそらく、私がいない隙によけいなやり取りは隠したに違いない。


冷蔵庫から冷たいビールを出し、グラスに注ぐ。


「あなたも飲む?」


「いい、俺はコレで」


ウィスキーの水割りをもう作っていた。


「ふぅーっ!たまに飲むと美味しいね」


グラスのビールを一気に飲み干し、ソファに向かい合って座る。


「ちょ、テレビ見てるんだけど」


「は?何言ってるの?こんな時に」


テレビの電源を落とした。


「まずは、今日のこと。圭太をほっといて何してたの?」


「ほってないさ、少し離れたところにいて電話してただけ」


雅史の言葉の端々に、苛立ちなのか怒りなのかわからないものがある。


「さっきはやり取りしてたって言わなかった?てっきりLINEでもしてたのかと思ったけど?だから目を離したって思ってた」


「あー、まぁ、それもある」


「どっちでもいいけど、履歴を見せてよ」


「なんでだよ、なんでそんな探偵みたいなことするんだよ」


「あなたの行動がおかしいからよ。ね、あなたの誘いにうまく応えられない私にも悪いところはあると思う。でも、だからってあからさまに浮気してますって見せつけるのは、さすがにどうかと思うよ」


「見せつけてるつもりなんかないしな」


「あら、浮気は認めるのね」


「あっ、だから!!浮気してないのに見せつけられるわけがないってことだよ」


カランと水割りの氷が溶けた。


雅史は、慌てたように次のウィスキーを足している。


「してないならスマホを見せて。早く!」


「じゃ、お前も出せよ」


「いいわよ、どうぞ」


私は遠藤とのやり取りと連絡先を削除しておいたスマホをテーブルに出した。


「ほら、ロックは解除してあるから見ていいわよ。だから、あなたも出して」


私に言われて、嫌そうにスマホをテーブルに置いた。


私は、雅史のスマホのLINEを開いた。


「ね、どれが仕事関係の人?電話もLINEでしたんじゃないの?」


「普通に電話したよ」


「ふぅーん。電話代もバカにならないからって言ってたからLINE通話ばかりかと思ってた」


「……」


雅史は何も答えず、私のスマホをあちこち見ているようだった。


「?!」


スルスルとスクロールして見ていた雅史が、驚いた顔をして、指先が止まった。


きっと、あの京香とのキスの写真を見たはずだ。


わざとわかりやすいところに保存しておいたのだから。


私のスマホの何を見たのかわかるけれど、そこはまだ私は気づかないフリをしておく。



雅史のスマホには、京香とのやりとりどころか京香の連絡先さえも残っていなかった。


ブロックしてブロックリストからも削除したということか。


「はい、何もなかったわ」


「そ、そりゃそうさ、なにもやましいことはないんだから」


ふふん、とドヤ顔。


「何もなさすぎて、おかしいけどね。登録してたはずの人がいないとか、なんでだろ?と思ったけど」


何もなければわざわざ京香の連絡先を削除しなくていいはずだ。


他の女の子の連絡先は、登録してあるのだから。


「は?」


雅史は意味がわかっていないようで、イラっとする。


「で、あなたは私のスマホを見てどうだったの?」


「いや、別に何もなかったよ」


「そう?確かめた?全部?なんならSNSも見る?せいぜい成美の写真が見れるくらいだけどね」


そこでまた、雅史の顔が変わった。


私の浮気写真というやつが、成美とのランチの写真だったのだから。


「まぁ、それはいいや。何もなかったよ。俺のも何もなかっただろ?これで気が済んだか?」


私は私のスマホを受け取り、あの写真を出してテーブルに乗せた。


「ね、コレ、説明してくれる?」


「!」


スマホの写真をじっと見つめる雅史は、何を考えているのだろうか?


ただのおふざけだと言い訳?


それとも京香のことをかばう説明?


なにも答えない。


「この写真、誰から送られてきたかわかる?そこに写ってる京香ちゃんからよ。“ご主人お借りしてまーす”ってご丁寧にコメントをつけてね。あなたが酔っ払ってどこかで寝てたとかテキトーな言い訳をしたあの晩よ」


何も答えない雅史に、京香という女のことを話し続ける。


「ね、あなたに私の浮気写真とか言って、あの写真を送ってきたのは京香でしょ?あなたを誘いやすくするために“奥さんも浮気してるんだからいいでしょ?”ってそれくらいのノリだったんじゃないの?」


「いや、あの写真は……」


「誰が?あの写真を撮ったのも京香じゃないの?だってほら」


私は成美のSNSから、京香が後ろの方に入り込んでいる写真を見せた。


「これ、京香だよね?」


「あ!」


もう言い訳はできないだろう。


「もう一つ言っておくけど。舞花ちゃんの裏垢を作ったり、舞花ちゃんが妊娠してしまうように細工したのもその京香だから。あなたがトイレにこもってる間に、それがわかったんだよ。わかる?京香って、とんでもない女なんだよ」


「そんな、まさか……」


雅史の顔色が変わった、明らかに焦っている顔だ。


「だいたいさぁ、京香と何もないなら、連絡先をわざわざ削除する必要もないでしょ?見え見えなんだって!」


雅史は、うつむいて黙り込んでしまった。


「あのね、少し前にも誰かと浮気したよね?それは見て見ないフリしとこうと思ってたんだよ。私にも責任あるよなぁって思ったから。でもね、今回のこれは違うよね?私のこと、バカにしてるの?京香と二人で」


「それは……」


「何より一番許せないのは、写真とかそんなことじゃなくて、京香と電話とかしてて圭太をほっといて怪我させたことだよ!」


「電話じゃない、その、LINEで……」


「バカなの?どっちでも同じことだよ、我が子より女を取るってどういうこと?ね?それも何を考えてるかわからない、京香、みたいな、女、と……」


雅史に向かって怒鳴っていたのに、涙が込み上げて声が途切れる。


_____もっともっと言いたいことあるのに


なんでこんなに涙があふれるのだろう?











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