テラーノベル
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「よーし、みんな!今回の主役は僕、らんちゃんですよーっ!気合入れていこうね!」
アジトの作戦室で、ピンク色の前髪を揺らしながら拳を突き上げるらんに、ソファーに座ったなつが「はいはい、うるさい」と耳を押さえる。
モニターに映し出されているのは、世界中のセレブが集まる超豪華メガクルーズ客船。その最上階のスイートルームに厳重に保管されているのが、今回のターゲットだ。
「今回の獲物は宝石じゃない。100年前に作られた、世界に一体しか存在しないピンク色の最高級うさぎのぬいぐるみ『ローズ・ハグ』だ。持ち主の伯爵は、最新の防衛AIだけでなく、元特殊部隊で構成されたエリート人間警備隊『ブラック・ウルフ』を雇って船内を固めてる」
いるまが腕を組んで状況を説明する。
「AIの計算を狂わせる人間の動き、そして屈強な兵士たちか。……らんらん、これ僕たちの連携が試されるね」
みことが微笑むと、らんはニカッと笑った。
「任せて!俺の『超音波ボイス』とみんなの力があれば、どんな堅物な兵士だってイチコロだから!」
漆黒の海を進む豪華客船。
らん、こさめ、みことの3人は、きらびやかなパーティー会場を抜け、最上階の保管室へと潜入していた。
こさめの能力で音を消しながら進んでいたその時、角を曲がった先で、銃を構えたプロの警備兵5人とばったり鉢合わせてしまう。
「侵入者だ!手を挙げ──」
兵士が叫ぼうとした瞬間、らんが一歩前に出て、大きく息を吸い込んだ。
「『 叫 べ(スクリーム) 』(超高音波)!」
LANの特殊能力──
『共鳴拡声(メガフォン)』。
彼の持つ驚異的なハイトーンボイスを、指向性の超音波として爆発的に増幅させて放つ力だ。
「な、ん……あぁぁぁーーっ!?」
人間の耳には聞こえないレベルの、しかし脳を直接揺さぶるような超高周波の絶叫(スクリーム)が兵士たちを襲う。兵士たちは武器を取り落とし、あまりの頭痛にその場に膝をついて悶絶した。同時に、近くにあったAI監視カメラのレンズも、音波の振動でバキバキにひび割れる。
「ふぅ!今のうちに、みこと、こさめ!」
「了解。……みんな、静かに眠ってね」
みことの『魅了の歌声』が追撃となり、兵士たちは完全に意識を失って床に倒れ込んだ。
「さすがらんくん!声の高さギネス級だね!」
こさめが褒めると、らんは「へへん、だてに毎日大声出してないからね!」と胸を張る。
3人はそのまま金庫室へ突入。防衛AIのハッキングシステムをいるまが遠隔で遮断した一瞬の隙を突き、らんがガラスケースを開けた。
そこにあったのは、職人の手で細かく編み込まれた、気品溢れる桜ピンク色の小さなうさぎ。
「あった……!可愛い〜!よし、ローズ・ハグ、回収!」
らんがうさぎを優しく抱きしめた、その瞬間。
『──全エリアに通達。侵入者によりターゲットが強奪された。全兵士、甲板へ急行せよ』
システムではなく、生き残っていた警備隊の隊長が手動で非常事態を発令したのだ。
部屋の扉が閉まり、外からは数十人の足音が近づいてくる。完全に包囲された。
インカムからいるまの焦った声が響く。
「らん!まずい、敵の数が多すぎる。そっちのルートは完全に塞がれた!」
「いるま、大丈夫!僕を誰だと思ってるの?」
らんの瞳に、シクフォニのリーダーとしての熱い炎が灯る。
「みんな、僕の指示に合わせて!すち、なつ、聞こえる!?」
「ん、いつでもいけるよ、らんらん」
「裏の甲板にボート回した。上から飛び降りてこい」
待機していたすちとなつの声が返ってくる。
「オッケー!じゃあ行くよ、みんな!──すち、正面の壁をブチ抜いて!」
「了解──『壊れろ』!」
すちの声が響き、金庫室の頑丈な壁が大爆破を起こしたように崩壊する。開いた穴の向こうは、夜の海風が吹き荒れる船の甲板だ。
そこへ、銃を構えた数十人の『ブラック・ウルフ』の精鋭たちが一斉に押し寄せてくる。
「逃がすか、怪盗団!」
「逃げないよーだ!みんな、耳を塞いで、思いっきりジャンプ!!」
らんはメンバーに指示を出すと同時に、うさぎを片手で抱きかかえ、海へ向かって跳躍した。みこととこさめもそれに続く。
空中、落下していく一瞬の中、らんは客船の甲板にいる全ての兵士たちに向けて、喉が張り裂けんばかりの、人生最大の超絶ハイトーンボイスを解き放った。
「────『 バイバイ、またねーーー!!! 』」
キィィィィィン!!と、夜空を引き裂くような凄まじい音響兵器並みの声が響き渡る。
その衝撃波は、兵士たちの三半規管を完全にマヒさせ、全員をその場にひっくり返した。さらに、客船のメインコンピューターAIさえも、音声入力の過負荷によってショートし、船全体の明かりが一瞬で消灯する。
ザパーン!!と、激しい水しぶきを上げて海に飛び込んだ3人。
すぐに、なつが運転する水陸両用ボートが彼らをすくい上げた。
「ぷはっ!ふぃ〜、最高のダイブだったね!」
らんはびしょ濡れになりながらも、抱きしめていたピンク色のテディベアを掲げて見せた。水に濡れない特殊な袋に包まれていたため、ぬいぐるみは無傷だ。
「ちょっらん、声大きすぎてボートのバックミラーにひび入ったんだけど」
なつが呆れつつも、嬉しそうにハンドルを握る。
「あはは、ごめんごめん!でも大成功でしょ!」
ボートのライトに照らされて、らんの前髪と同じ綺麗なピンク色のテディベアが、まるで怪盗たちの勝利を祝うように優しく微笑んでいた。
コメント
3件

今回もハラハラドキドキしてらんさんの得意技?でみんなで合わせるところがすごいと感じました。 後質問ですけどらんさんの叫び声は高音ですか?
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しずく@病み×鬱