「でも改まって考えると、樹と一緒に美咲の店に行くのも初めてだよね」
「そうだね。向こうで会うのばっかだったしね」
「樹。お店行くのどのくらい? 随分行ってなかったんでしょ?」
「まぁしばらく忙しくて行けてはなかったけど、この前久々行ったかな」
「あっ、そうなんだ? 最近偶然でも会えなかったからさ。あの場所では、なんか会えるかもって、正直ちょっと期待してたとこあったから」
やっぱり気付いてないか、あの日オレが透子に会いに行ったこと。
まぁあの日は気持ち良さそうに眠っている姿見れて可愛かったけど。
そして夢の中のオレにはあんなにも素直に気持ちを伝えてくれたことも嬉しかった。
出来れば夢の中のオレじゃなく、目の前にいるオレにもあんな素直な気持ち伝えてほしいけどね。
だけど、オレと会えると期待してたという透子の言葉が嬉しくて、今はそんな望みも気にならなくなる。
「まぁオレ達の最初の出会いの大切な場所だからね」
「うん。なんかあったりピンチになったら、樹その度駆けつけてくれてたから。別れてからもちょっと無駄に期待しちゃってたんだよね」
「あの店に行く度、オレ恋しくなってくれてたの?」
「そりゃね。あの店に限らずどこに行っても結局樹想い出しちゃってたから」
いつものようにからかう感じで言った言葉に、まさかの素直な言葉を透子が返す。
そんなにずっとオレを想ってくれてたなんて嬉しすぎる言葉で。
そしてそう呟いて恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑む透子にオレはまた満たされる。
だけど・・・。
「それってもちろんオレの前だけだよね?」
そんな顔を見れるのはオレだけなんだと確かめたくなる。
「当たり前じゃん。他の人になんてそんなんなることないし」
「ならいいよ」
その言葉を聞いてホッとして、そう言葉を返す。
「えっ?」
「オレの前だけそんな可愛い透子見せてくれるなら。オレの前でそうやって困ってる透子見るのオレ好きだし(笑)」
「意地悪・・」
「透子だからじゃん。普段カッコイイ何でも出来るクールな透子がさ、オレの前だけそんな姿見せてくれるんだよ? オレにとったらそんなの最高に可愛くて嬉しいでしかないし。だから、別に無理しなくていいよ。透子は今のまま透子らしくいてくれれば」
「樹・・・」
「オレは今の透子のことそのまま好きになったワケだし、透子はオレのこと好きでいてくれるならそれでいい」
「ありがと・・・」
「だからその分オレは今まで以上、透子にもっとこの重い愛情伝えまくるけどね」
「今まで以上!?」
「そりゃそうでしょ。なんだかんだ今までは気持ち我慢してたワケだし、これから隠さなくてもいいのかと思うとマジで嬉しい! だからこれからはオレは透子に嫌っていうほど気持ちぶつけていくから、また透子は困っちゃうかもだけど(笑)」
「・・・困んないよ。樹のこと嫌になるなんてことないし・・・」
「そっ? なら遠慮なく」
オレは戸惑いながらもそうやってオレの想いを受け止めてくれるだけで十分だから。
「でもまぁ透子が素直に気持ち伝えたくなったら、その時は伝えてよ。それだけでオレはすげぇ嬉しいから」
だけど少し我儘言うなら、やっぱりたまには透子からのそんな気持ちも聞きたい。
だから、頭の片隅にそんなオレの望み憶えておいて。
「樹・・・?」
「ん? 何?」
「好きだよ」
「えっ・・? はっ? 何? どしたの!?」
え・・・ちょっと待って。
いきなりすぎて、ただ戸惑う。
え? 透子今、好きって言ったよな・・・。
あまりの驚きで逆に素直に受け取れない。
「樹。大好き」
だけど、透子は戸惑うことなくまたオレをまっすぐ見つめて力強く伝えてくれる。
何これ・・・。
ずっとホントは聞きたかった言葉なのに。
いざこんなにまっすぐ伝えられると、あまりにも衝撃で。
無理せず透子のペースでいてくれればいいと思ってた。
いつか伝えたくなった時でいいと、そう思っていた。
だけど、やっぱり。
素直に伝えてくれるその言葉は、こんなにも嬉しくて、胸がいっぱいになって。
そんな透子がどうしようもなく愛しくなる。
「いや、マジ、いきなりでビックリするんだけど・・・」
「だって今素直に伝えてほしいって言ったじゃん」
「いや、そりゃ言ったのは言ったけど。まさかこんなにすぐそんな嬉しいこと言ってもらえるとは思ってなかったからさ」
「素直に樹のこと大好きだって思ったから伝えただけだよ? ダメ?」
「いや・・その・・はぁ・・。透子のそのイキナリ伝えて来るの心臓に悪いわ」
なんだよ、その破壊級の可愛さは。
何それ。
そんな可愛い魅力まだ隠し持ってたワケ?
なんなの、オレの心臓ぶっ壊したいのかよ、この人は。
「えっ!何!なんで!?」
ホラ、そうやって自分でわかってないとこもクソ可愛すぎるんだって。
「ってか、透子のそのイキナリの可愛い感じは破壊力ヤバくて、オレがどうにかなりそうってことがわかった」
ホントにマジでこれはヤバい。
いや、てか、こんなの知らないから。
どこまで好きにさせるのホント。
「えっ、何それ」
「うん・・・。正直こんなすげぇ破壊力あると思わなかった・・・。これ・・・会社ではヤバいな・・・うん」
もう可愛すぎて愛しすぎて、会社じゃなければ今すぐ抱き締めて押し倒して・・・っていやいや。
「えっ、なんで? 会社では言っちゃダメなの?」
「そう、だね・・・」
この人心許したらこんな素直に可愛くなるとか、マジ会社では勘弁して。
「えっ、なんで!?」
「・・・オレが今すぐ透子どうにかしたくなってヤバいから」
こんなのこれからまたされたらマジ我慢出来そうにないんですけど。
「はっ!?」
「会社じゃなければ絶対今すぐチューして押し倒してた」
オレの理性よく耐えた。
「ちょっ!」
「だから会社では誰もいない二人っきりの時にしようか? また会議室で会う時に言ってよ(笑)」
別にエロいこと言われたワケでもないのに、なんなのこの誘惑された感。
普段とのギャップでここまでなるのこえー・・・。
「いや。そんな別にしょっちゅう言おうと思ってるワケじゃないし・・・」
「え~。ずっと言ってくれないの~!?」
「言わないよ!」
「じゃあ、お楽しみは二人きりの夜でね♪」
「もう・・・」
誰もいない二人きりの時に、またちゃんとそんな透子見せて。
そしたら今度は遠慮することなく愛しまくるから。
だから、もっと可愛い顔をオレだけに見せて。
オレだけにもっと甘えて。
もっとオレを好きだと伝えて。
これからもっと透子の愛を、オレに幸せをもっとちょうだい。
だから、これからちゃんと受け止めて。
大きすぎるオレの愛を。
幸せすぎるオレの愛を。
「でも。ありがとね透子」
「えっ?」
「ちゃんと素直な気持ち伝えてくれて」
「私も樹に気持ち伝えてもらえて嬉しいから」
「ホントに?」
「うん。樹が気持ち伝えてくれる度に幸せな気持ちになる。だから、私も樹にも同じような気持ちになってほしい」
「うん」
「これからは私も樹にもっと幸せあげたい」
「ヤバいね」
「えっ?」
「それだけですげぇ幸せ」
「うん。頑張る」
「ハハッ。頑張らなくていいよ(笑)」
透子が一緒にいてくれるだけで、それだけで幸せだけど。
でも、やっぱり透子がオレに気持ちを伝えたいと思ってくれていることが、オレを幸せにしたいと思ってくれてることが何より嬉しくて。
さぁ、オレはここからまたこれ以上どう透子を幸せにしていこう。
お互い幸せにし合えるだなんて、そんな最高な日がまたこれから始まっていくのかと思ったら、また楽しみで仕方ない。
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