コメント
0件
其れは、半月に近い月が静かに夜の街を見下ろしていた、11月の寒い日の事だった。
「うぅ、っ、ひッッっく”…」
何処かで少年の泣く声がする。
中「もしかしてこの声、依頼の虎か?」
太「恐らくね。森さんに誘拐を頼まれた少年だよ」
少しずつ静かになった泣き声を合図に、何処かで大人の声が響いた。
?「お前に泣く資格など無い。親にも捨てられたお前のような人間に。」
ジュウと、皮膚の焼かれた音が何度も響く。
敦「う”…ぁ”、…」
そんな様子を盗み見ては呟く。
太「酷いね、まるでマフィアの拷問だ。」
中「何なんだよこの孤児院…。、取り敢えず彼奴が居なくなったら連れていくぞ」
何十分か後、コツコツとあの男が歩き去った音を確認すると、2人は其の少年に近づいた。
中「すまねぇな」
中也は、少年の首の後ろに軽く触れて気絶させた。
そんな少年に繋がれた太い鎖や拘束具をピッキングで外しながら呟く。
太「大分小柄けど、年齢は15くらいかな。」
ふわりと脱力した彼の体を中也が抱えた。
中「有り得ねぇ、俺の異能を発動させてねぇのにこの軽さかよ」
珍しいものを見るような驚いた顔をして中也がそう声をあげる。
太「今日はこれで終了だ、帰ろう」
異能の発生を防ぐために少年をおぶると、さっき中也の言っていた事がよく分かった。
太「…かる、」
呼吸音から、まだ少年が怯えていることが分かった。
可哀想。、可哀想に。
普段、同情などという言葉と無関係な私が、この少年を見て初めに思った言葉だった。
…他人の幸福をさえ嫌悪し、正しさから嫌われた私のような人間は、“地獄の底で藻掻く、日陰者、所謂不幸な者”を見かけた時にだけ、自分でも驚くように優しい、穏やかな心になるのだった。
…なんて可哀想な子なんだろう。
…救われない、悲しい子。
其れだけで、私の心は満たされる。慈しむという、人間らしい感情で飢渇な私の心はこの瞬間のみ、ホットミルクに溺れたような甘い幸福感を味わうのだった。
新しく連載を初めてしまいました…、
まだ書き終わっていない作品が2つあるのにっ、泣
どの作品も続きをなるべく早く出せたらいいなぁと思っているので、他の作品とかも覗いて行ってくれたら嬉しいです…!
今回は太宰さんも中也さんも18くらいという設定、敦くんも15くらいと言う設定です!
黒ですねぇ、って感じにはなると思いますが、続きの気になる方は次回も見てくださったら嬉しいです!
其れでは、また次回お会いしましょう!
ばいばい!