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太「森さん、虎の少年を確保しました」
此処はポートマフィアビル本部の首領室であり、目の前の中年男性、森鴎外が主として滞在する部屋でもある。
中也と並んで礼儀正しく頭を下げる私達に、顔を上げ給え、と呼びかけてから、ニコりと自然な笑みを作った。
森「2人ともお疲れ様。虎の少年は先程目を覚ましたみたいだよ。38階の階段を左に曲がって突き当たりの部屋に彼が居るから、様子を見ておいで」
両手を組んで顎に添えている森さんが笑みを消すこと無く告げて返事を待っている。
太「森さん、何か企んでる?」
森「…企んでいるなんて、嫌だなぁ。まぁ結局話すことにはなるだろうし、行っておくよ。」
勿体ぶって早々に理由を口にしない森さんに少々呆れながら、少しばかり楽しげな其の声色を耳に入れた。
森「君たち2人にはあの少年の面倒を見てもらおうと思っていてね。」
中「面倒って、…部下にすると言う訳ですか?」
今まで黙って首領の言葉を聞いていた中也が少し驚いた声でそう問うた。
森「そうだね。君たちにはあの子の上司になって貰いたい。呑んでくれるかな?」
太「何故、私達が?」
森「…君の飢渇も、少しは癒えるのではないかなと思ってね」
私の方だけを向いて、優しく呟いた首領に少しばかり驚いて、何も言えなくなった。そんな私をも見越してか、空気を切り替えると、私達に再び視線を投げて話した。
森「あの少年は…白虎の異能力者だ。きっと人手不足のポートマフィアにとってより大きな助けとなる。…君たち二人の指導があればね。頭脳の鍛えも体術武術の鍛えも君たち二人に任せておけば問題無いだろう?」
先程の理由と違って余程納得出来る理由に、了解しました、としか言葉が返せなくなった。
中也も納得したように返事を返すと、首領に失礼しますと告げて部屋を出ていった。
私はそのまま部屋に留まって先程聴き逃した疑問を首領に問う。
太「ねぇ森さん。何で知っているの」
“太宰くんにも分からないことがあるとはね”と愉快そうに笑ってから私の視線に合わせた。
森「君の瞳は濁っているよ。…太宰くんの飢渇がそうしたんだ。」
そう言われて、何故か腑に落ちたような気がして無意識に微笑みながら視線を落とした。
太「そうですか。、まぁいいです。」
ひらひらと手を振って首領室のドアに手をかけた。
太「あ、そうだ、。」
太「森さん、次の任務は殺しの出来るものを頼みますね」
私の明るい声に一つも顔色を変えず首領も笑顔で返事をする。
森「ふふっ、いいよ?」
森「君はもう手遅れみたいだからね。太宰くん」
“はい、ボス”
と微笑んで軽く頭を下げた。
私の飢渇は殺しでしか満たされないから。
これでいいんだ。
これで、いい。
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