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女の子と二人で山道を歩く。周りは木々や竹で覆われている。

「あ、そういえば名前言ってなかったなぁ」

「あ、俺も言ってなかったな」

「私は結月(ゆづき)、よろしく」

「俺は勇気(ゆうき)っていうんだ」

「ふーん、勇気ね?」

「な、なんだよ!」

「いや、なんも?」

「絶対なんか思ったろ」

「いや、強いて言うんじゃったらどっかで聞いたことあるんよねあんたの名前」

「なんでだ、俺ん家知ってるの?」

「いや、多分知らん」

「俺ん家武市って苗字だぞ」

「あ、待って知っとる笑」

「あ、え、マジ?」


「というかじゃとしたら私勇気に一回会っとる」

「ええええ!」

「覚えとらん、4歳か5歳くらいの時に屋根の上から侵入してあんたのためにって切ってくれとったスイカ全部食べちゃったじゃろ?」

「あ、あれ君だったのか!座敷わらしかなんかだと思ってたのに」

「あんた寝ぼけとったけんそう思っとったんじゃろ、美味しかったで笑」

「くっそ〜、その分も含めて勝ってやる」

「ほう、楽しみじゃな笑」

そんな話をしていると

「着いたぞ」

「ここかあ、大きいな」

ゆづきの家は大きな古い家だった。リードに繋がれている犬がこっちに向かって吠えている。

「ちょっと待っとってな」

「はいよ」

待つこと5分後、体操着に着替えたゆづきが出てきた。帽子はなく、髪はポニーテールになっていた。勇気は彼女の可愛さにまた見惚れてしまった。

「ごめんな、待った?」

「へ、あ、いや待ってないよ」

「なにをそんな腑抜けた声を上げとるん?」

「まあええわ、はいこれ」

「ありがとう。ん、これって」

ゆづきから体操着と白い帯のようなものが渡される。

「それはまわしじゃ」

「まわし?!」

「そうじゃ?」

「ずいぶん本格的だなぁ」

「当たり前じゃろ、適当な勝負は勝負じゃない!」

「お、おう」

「ほれ、とっとと着替えてやるで」

「え、どこで着替えりゃええん?」

「そこの物置の隅で着替えてきい、まわしは後で一緒に締めるけん」

「わかった」

すぐに着替えてくる。

「はいよ」

「じゃあさっきのお宮行こ」

「ここでもうまわしつけないか?」

「あれ。意外と乗り気じゃなぁゆうき」

そしてゆうきとゆづきはまわしを締め、お宮に着いた。土俵の円をゆづきが描く。

「ほんじゃあ始めるよ」

「おう、負けないからな」

「ふん、力で私に勝てるじゃろうか」

「な、なにをぉ」

「じゃあいくよ、はっけよーい」

お互いに見合う。ゆづきに見つめられてるゆうきは少しドキッとしていた。

「のこった!」

ゆづきの合図と共にぶつかり合う。が、

「え、相撲って手押しみたいに手で押し合うんじゃないのか?」

「あんた本当の相撲を知らないんじゃろ、本当の相撲はこうやって組んで、こうするんよ!」

そういうと先にゆうきのまわしを取っていたゆづきが押していく。

「ほれほれ、そんなもんか?」

「ま、まずい!」

ゆうきの足が土俵際にさしかかる。

「あんまり女子と組むのは好きじゃないんだけど、、、よし取った」

ゆうきもゆづきのまわしを取り、お互いにがっぷり四つになる。

「お、ようやく本気を出したか笑」

「負けたらここ取られんだから、本気でやるのは当たり前だ!」

「やっぱり武道やってるだけあって、強いな」

「ナメるなよ?笑」

土俵の中央までゆうきが押し戻す。だが、ゆうきは驚いていた。こんな細身の女の子がこんな強い力を出せることに。

「疲れてきたんか?」

「そんなわけないだろ、まだまだこれからだ」

「私長々と勝負するの嫌いなんよ、そろそろ決めさせてもらう」

「なに、ぐっ」

そう言い始めた瞬間、ゆづきがさらに強い力でゆうきを押す。必死にゆうきも抵抗するが、さっきとは比べ物にならないくらいに強く、押せない。

「もう土俵際か、あんたも大したことなかったみたいじゃな」

だがゆうきはまだ諦めていなかった。

「力が強いのは認めよう、だけどこうされたら元も子もないだろ?」

そういうと同時にゆうきがゆづきを投げに仕掛ける。

「あ!」

これには流石にゆづきも対応できなかった。2人は組んだまま倒れる。

「あ〜いたたたた」

ゆづきにゆうきがかぶさるようにして倒れたため、ゆづきは頭を打ち付けてしまった。

「大丈夫か?!」

「う、うん。大丈夫じゃ」

「なら、良かったけど」

お互いに立ち上がるとゆづきが言った。

「約束通り、ここはあんたのものじゃ。私は帰る」

「….」

「ほいじゃあな」

帰ろうとするゆづきにゆうきが口を開く。

「…いや、いいよ」

「は、なにを言いおってん?」

ゆづきは訳がわからないといった顔でゆうきを見つめる。

「一緒に使おうよ」

「何言っとん、あんたが勝ったじゃろ?」

「そうだけど、ゆづきだってここ使いたいだろ?」

「それはそうじゃけど….」

「じゃあいいじゃん」

「いや、ほいでも私はあんたとの約束を破ることになる」

「いや、一緒に勝負して楽しかったから。一緒に遊びたい」

「本当に、、、ええん?」

「うん、ゆづきさえよければね笑」

「じ、じゃあ。ここにいてええか?」

「いいよ、一緒に遊ぼうぜ」

「ありがと〜!」

ゆづきがゆうきに抱きつく。

「おい、やめろよ恥ずかしいって」

「そんなこと言わないでや〜」

「まあ、誰も見てないからいいけどな」

するとゆづきがゆうきのまわしを掴む。

「油断してたじゃろ?」

「え、は、おいちょっと待てよ!」

「2回戦目開始、のこったのこった!」

「ちょっと〜!」

それからゆうきとゆづきは夕方まで相撲を取って遊んだ。その日の夜、2人とも早く寝たのはいうまでもない。

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