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ジミンちゃん上様呼んどるよーw はよ行って上げてーwww 世界観がいかんせん素敵ね♡
jmside
あの日から1週間以上たっても、僕はどこか夢心地だった
“上様に会ってキスをされた”
そんなことが起こるわけが無い、という気持ちの方が強かったけれど、
確かにあの夜、僕は母屋の釣殿で眠っていて、
まだ日の昇らない早朝に目が覚めた。
そして、上様が仰られた通りに、誰にも見つからないように静かに自分の部屋へと戻ったのだ
そのあとは疲れきって、1日寝込んでしまい、
あの夜のことは、寝ている間の夢だったと言われれば、そんな気もしてくるように、不思議な時間だった
🐣「ごめんください〜」
👘「おはようさん。
あれ?ジミン?そこは裏口で汚いからこっちから入ってって言ってあるじゃないか。
急にどうしたの、なんかあったかい?」
ここではいつも笛を作るための木を仕入れている
女将さんはとっても笛が上手な方だ。
いい人だなって思っていて、
臆病がちな僕の気持ちを、シャキッと奮い立たせてくれる人だ
ぼーっとしていたら、入口を間違えてしまったようだった
🐣「ごめんなさい、間違えた、、」
いそいそと玄関に回ると、上がり框に立った
女将さんが僕の顔をのぞきこんで、
頭をぽんぽんっと軽く叩いた
👘「疲れてんのかい?
前も寝込んだって聞いたし、、しっかり休むんだよ、」
🐣「はい、、ありがとうございます」
👘「若くて綺麗なんだからねぇ、
ぼーっとしてちゃ損よ」
綺麗、という言葉にピクっと反応する僕
上様にあの日囁かれた言葉だからだ
ぶつぶつ言いながら木をまとめてくれる女将さんが、また僕に話しかける
👘「そういえば、上様の噂を聞いたかい?」
心を読まれたかのように、上様の話をされてドキッとした
🐣「いえ、、なにも。僕は離れの小さな部屋を頂いてるだけだから、母屋の話は流れてこないので、、
なにかあったんですか?」
👘「そうかい、宮廷住まいなんだから知っていると思ったんだけど。
上様が最近、人が変わってしまったようなんだってさ」
🐣「ど、どんな風に?」
👘「いつもご機嫌がよろしくないように、お顔を顰(しか)めておられるだとか、、
あの方は月夜のように心穏やかなのが評判だったのに、、なにかあったのかねぇ、、」
🐣「そうなんだ、、」
この女将は顔が広いから、その噂も本当なんだろう
僕は彼のことがまたどきどきと気になってしまった
上様は今までの人と何かが違うんだ
僕はいつも人を笛の音で判断する悪い癖があった。この人は笛が上手だからいい人だ、この人は下手だからちょっとよくない、みたいに
確かにそんな目で見ても、上様は格別だった。それは事実。
でも、そうではなくて、
誰かを思い出す時はいつも笛の音から思い出す僕が、
上様の時だけは、なぜか、あの優しい目と、「きれい」と言ってくれた声が、一番最初に思い浮かぶ
不思議だった。なんで僕はこんなに惹かれているんだろう。
あの方の所作のひとつひとつを、思い出す度、胸がつきんと痛むのだ。
会いたい、、、夢だったならそれでもいいから、もう一度あの夢を見させて欲しいな、、
👘「はい、いつもの分だよ
またぽけっとしてっ
ほら、早く帰って寝なさいっ」
家を押し出されるように出て、慌てて礼を言って作業場でもある部屋に戻る
しばらく仕事をしていたけれど、
なぜか疲れきってしまった僕は、まだ早い時間に湯浴み(ゆあみ)を済ませ、眠ってしまった
jkside
心が落ち着かなかった
穴が空いてしまったかのように、不安でどうにかなりそうだった
孤独感に押しつぶされて、
僕はまた、何かから逃げるようにふらふらと釣殿へと向かう
座っていられず、荒い息でぐったりと倒れると、
空に浮かぶ月が、目に入る
満月だ。
僕は嗚咽して涙を流した
ようやくあの人を呼べる。
お願い、早く来て、、
苦しくてたまらない心で、ただ1人を求めて
僕は月を眺めながらそっと笛を吹いた