jmside
ビクッと我に返ると
僕は寝ていたはずなのに、なぜか鏡の前で綺麗な薄緑の着物に袖を通して、袂の紐を結んでいるところだった
🐣「なんで、、、」
僕は本当におかしくなってしまったのかと頭を抱えてうずくまる
もう深夜で、月の光が部屋を照らしていた
月、、
はっ、、と鏡を見つめると、不安そうな顔をしる僕の顔が、月の光に照らされて青白く浮かび上がっていた
🐣「上様、、」
無意識に呟いた僕は
ふわふわとした頭で、御簾を持ち上げ、廊下に出る。
満月がこちらを見ていた
かすかに笛の音がする
僕はまた、引き寄せられるように歩き出していた
🐣「上様、、?」
次に我に返ったときにはもうあの釣殿で、目の前には
泣いているのだろうか、御顔を袴の片袖で隠して、仰向けに寝転んでおられる上様がいた
笛の音がもうなっていないのに、前と違って息苦しくなかった
🐰「こんな弱い音でも来てくれたんだね、」
顔を袴の袖で隠したまま彼は話し始める
その声に、ああ、この声を聞きたかったんだ、と僕は心が満たされていくのを感じた
🐰「ジミン、、ここへおいで」
顔を覆っていない方の手を、こちらに伸ばす上様に、引かれるように近づいて傍らにぺたんと座り、その手を握る
二回目だからだろうか、
御顔が隠されているからだろうか、
何故か僕は落ち着いていた
🐣「ご様子が変わってしまわれたと聞きました。どうなさったのですか?」
🐰「分からない、、、。お前を見つけてしまってから胸が苦しい。ずっと探していた人を見つけられたのに、どうして苦しくなる?
月に聞いても答えてくれない。私はどうしたらいい?」
泣いているように声を震わす上様に、
僕はその心のざわめきが収まるようにと、そっと彼の胸に手を当てた
はっと息を飲んで、上様が固まった
🐰「あったかい、、、」
🐰「もっと、、もっとあたためて、、」
🐣「え?」
急に起き上がった彼は、
座ったままの僕を、正面から衣の中に包みこむように覆いかぶさって、きつく抱きしめてきた
🐣「く、、くるし、、」
大量にあの花の香りを吸って、またぼうっとしてきてしまう
🐰「ジミン、、、?
あぁ、そういう事か。」
僕の身体の力が抜けたことに気づくと、
彼は僕の額を自分の肩にもたれかけさせて支えた。
そうして袂(たもと)から折りたたまれた黒い布を取り出したかと思うと、
布を振って開き、細く折って
そのままそれで僕の目を塞いだ
不思議と怖さはなかった
彼が僕を胸に抱き寄せるようにして、頭の後ろで布を結んでいる間、
顔に近づいた、優しい温もりを感じて、
僕は甘えるように、そこに顔を埋めて預けた
きゅっと少し締め付ける感覚がして、縛り終えたらしい彼は、
ふらふらと揺れておぼつかない僕の身体を、背中に手を回して支えてくれる
🐰「痛みはない?」
🐣「はい、、大丈夫です、、」
🐰「そうしているのが、心地いいのか?」
🐣「上様は、、あたたかいです、、」
胸元に抱かれてくぐもった自分の声が、ふわふわと蕩けてしまっているのが分かった
体をそっと離されて、耳元に上様の御顔が近づくのがわかった
耳のすぐ側に吐息を感じて身体に甘い痺れが走る
🐣「ぁ、、、」
🐰「私はもう、今夜お前を返すことはできない。どうか抵抗はしないで。
誰かに気付かれたらあなたの命が無くなる」
視界を塞がれて上も下もわからなくなり、支えて貰わないと座ってることすらままならない僕に、
彼の言うことを拒否することなど、もうすでに手遅れだった
抱き上げられ、ふわっと体が浮く
🐰「掴まって。」
促されるままに、首に手を回す
小さく僕にだけ聞こえる音で口笛を鳴らしながら、静かに歩き出した上様。
それはあの前の夜、僕を眠らせた音色と同じだった
彼が歩く度に心地いい振動が僕を揺らし、眠ってしまうまでに、そう時間はかからなかった
コメント
3件
次の展開がすごく気になります💕
これさ私的には やっぱりうえ様お戯れを⇒ふっふっ良いでは無いかw⇒あーれ〜的な展開を期待……これじゃあ悪代官になるかな?