テラーノベル
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「ゆーちゃん、ゆーちゃん。」
そのあだ名で呼ばれた日は何年も前で、今はただの名前で呼ばれている。
1分が過ぎるのは意外と早く、一日の記憶は次の日には消え去っている
だから、「その日その日を大切に」なんて綺麗事は、案外間違っていない。
懐かしい夏の昼、冷房が効いた部屋で2人並ぶ。
スイカ、花火、風鈴、なんて、あの時は興味がなく、気が合う友達と過ごす方が楽しかったり
しかし、あれから10年、逆にそれの良さを感じる。
最近感じる。あの時に戻りたい。先週のあの日に戻りたい。
そう過去に縋り付く。嫌な過去は過去だからと切り離せるのに、楽しい記憶はこびりつく。
『今』
この言葉が自分の中心となっている。授業中、ふと考える。
1秒ですら過ぎていくのが辛い今、どうせなら時が止まってしまえばいいと。
数秒前のことですら惜しく感じてしまう。これはただの妄想。
『優。』
あの声が聞こえる。声が変わってしまった。あぁ、やっぱり時というのは残酷なもので。
変わらないのが、顔。あの時と変わらないね、『柚』。
「柚は今も隣にいる。でも、あの時の柚はもういない」
時を止める、それが『今』をずっと続けていく1つの方法。
細胞の成長を止め、脈、呼吸、血の巡りをこの手で奪う。
あぁ、なんでもっと早く気づかなかったんだろう。
「ねぇ、聞いてるの?」
大丈夫だよ、柚、これもただの妄想だから。
〜完完〜
コメント
4件
あなたの作品を本格的に指示していく予定なのですがいかがでしょうか
「ゆーちゃん」と「優」、呼び方の変化だけで流れた時間が感じられて切なかったです。特に『あの時の柚はもういない』という一文に心がぎゅっとなりました。同じ隣にいるのに違うって感覚、すごくリアルで……時を止めたいっていう願望も、ただの妄想だと自分に言い聞かせる最後の締めも、甘やかで苦くて、引き込まれました。続きがすごく気になります🌷