昼休みが終わって五限目。
「あっぶねぇ、ギリ間に合った…。」
「おつかれぇ。てか、今日古語の単語テストあるけどだいじょぶそ?」
「ぬしかわからん。」
「逆になんでそれだけわかるんだよw」
国語は古典に入ったようで、小テストが増えたらしかった。
「てか、転校二日目でテストはきつい。」
「それはそう。」
先生が入ってきて、慌てて自分の席に着く。
テスト用紙が配られたが、案の定わからん。
「8割以下は直し提出な。」
追試じゃなかったことをありがたく思いながら、十点満点中、2点しか取れなかったことに絶望する。
さすがにやべぇ…。
「え、ひばやばくない?」
「うぅ…。」
奏斗にさらりと言われた言葉が胸に刺さる。
「あとで教えてくれ」
「まぁ、これ暗記なんだけどさ。」
「授業を始めるぞー。」
今日は平安時代のモノをやるらしい。
男が浮気してる。
こういうの多いよなぁ。
「『田舎わたらい』だって。ひばじゃん。」
「俺じゃないですぅ。」
「意味は違うけどさこれ発音どうなるんだ?」
いなかわ↑たらいなのか、いなかわ→たらいなのか…。
「ま、どっちやろね。」
幼馴染を思い続けて結婚した話。
男に新しい女ができたけど、本命はそれに気づかず男に沿い続けていた。
男は疑って本命に嘘をついて隠れてみる。
本命は男を思う歌を詠んでいて、男は浮気をしなくなった。
「今日はこれくらいだ。」
起立、気を付け、礼。
「ありがとうございました。」
チャイムが鳴って授業が終わる。
6限は総合だからそんなに難しく考えることはないだろう。
イブさんに返事しないとなぁ。
知ってる人って誰なんだろう。
俺もわかる人かなぁ。
そんなことを悶々と考えながら時間を過ごした。
「ひば~もう放課後だよ。」
「やっべ‼‼」
「目ぇ開けたまま寝るとか器用だねぇ。」
「寝てないし。」
「じゃぁ先生何話してたか言ってごらんよ。」
「うーん。勉強?」
「全然違う。てか帰ろ?」
「あ、イブさんとこよってっていい?」
「…。いいよ。僕も一緒に行ってもいい?」
「うーん。いいんやない?」
「疑問形www」
奏斗と一緒にイブさんのクラスに行く。
「お、来たぢゃん」
「え?イブまじで告ったん?」
「違うって。」
「告られたん?」
「いや?全然。」
ロレさんも一緒に居て、俺が来たことに驚いている。
告白って。
どんなうわさやねん。
「あの、俺いつでも開いてるんでイブさんの都合がいい時がいいです。」
「いい子だなぁ。じゃ、明日の放課後とかどう?」
「ぜひ。」
「じゃ、それで決まりね。来てくれてありがと。」
「いえいえ。またどっか行きましょうね。」
「んふふwいけたらね。」
イブさんと話をつけて、教室を出る。
「…まじで告白じゃなかったんだね。」
「そういっとるやん。帰ろ。」
「そうだね、」
階段を下りていくと、昇降口のところにアキラとセラおがいた。
「‼アキラ!美園‼」
「あれ、雲雀だ。」
「本当ですね。」
「嘘なことある?」
勢いに任せて、肩を組みに行く。
「一緒に変えろーぜ!」
「…。風楽はいいんですか?」
「?4人で帰ろうってことだったんやけど、やだった?」
「いや、一緒に帰ろ。」
「さっすが奏斗‼行こうぜ!」
競争な!と言って走り出す。
あの頃を思い出して、懐かしんだ。
2日目はこれで終わりだと思っていた。
夜にあんなことが起こるなんて思ってもいなかったのだ。
コメント
1件