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次の日、颯人は休み時間に明日香に言う。
「ちょっと話あってさ、みんなが帰るまでここに残って貰ってもいいかな?」
「うん。わかった」
そして授業後。みんなが帰った後に颯人は明日香に言う。
「ちょっとトイレ着いてきて」
「え?トイレで話すの?」
「いや。ただ俺がトイレに行きたいだけなんだけど、着いてきて欲しくて」
「うん。わかった」
そして、2人で教室を出る。トイレを済ませた颯人は明日香と一緒に教室に戻る。颯人が席に座ると明日香も同じように席に座った。
「んで、話なんだけど…」
颯人はそこで口を噤み、しばらく黙り込んだ後、再び口を開く。
「俺、明日香が好き」
「え?」
「ごめん。晃河と付き合ってること知ってるのに好きになった」
「ううん。いいんだよ。俺なんかのこと、好きになってくれるなんて嬉しいし」
明日香はそう言ってニコッと笑う。
「ありがとう。でもね、俺、明日香に酷いことしちゃったの」
「酷いこと?」
「うん。最近俺、明日香と距離近かったでしょ?」
「うん」
「それ、晃河を嫉妬させるためだったの」
それを聞いた明日香は驚いた表情を浮かべる。そんな明日香を見て、颯人は続けて言う。
「晃河を嫉妬させて、2人の距離を離れさせて、最後は明日香を俺のものにって」
それを聞いた明日香は驚いた表情のまま、何も言えずにいた。
「失望したよね。俺は明日香が思うようないい友達なんかじゃないんだよ」
颯人のその言葉に明日香は無言のまま、俯いた。
「それで明日香は、まだ晃河の事好きなの?」
颯人がそう聞くと、明日香は顔を上げて言う。
「好きだよ。大好き」
「そっか」
颯人はそう言った後、ニコッと微笑む。
「明日香は晃河の何が好きなの?」
「え?」
「なんでそんなに晃河なのかなって」
「えっと…」
明日香はそこで口を噤み、少ししてからフフッと微笑んだ後、口を開く。
「本当は寒がりのくせに強がって寒くないって言っちゃうとことか、お揃いが好きなところとか、ご飯を幸せそうに食べるところとか、実は結構甘えん坊なところとか、ちょっとした事ですぐ嫉妬しちゃうところとか…なんかもう、全部全部大好き」
明日香はそう言ってニコッと笑った。そんな明日香を見て、颯人もニコッと笑った後、言う。
「だって。晃河」
「えっ」
教卓の裏からそう聞こえた後、晃河が出てくる。
「晃河!?」
明日香が驚いてそう言うと、晃河は恥ずかしそうに目を逸らす。
「あ、あの…」
「何。晃河。盗み聞き?」
「えっと…」
そこで言葉を詰まらせる晃河を見て、颯人が言う。
「俺がやらせたの。これが明日香の本音を手っ取り早く聞く方法かなって」
颯人はそう言ってニコッと笑う。
「えっ…じゃあ、今までのは全部嘘?」
「いや。言った事は全部本当だよ。じゃあ、最低な友達はそろそろおいとまするね」
そう言って颯人はカバンを持って教室を出ていった。教室に残された2人の間にしばらく沈黙が走る。
「…晃河、ごめんね。俺、晃河の気持ちちゃんと考えれてなかった」
「ううん。俺もごめんね。明日香の事信じないで、あんなこと言っちゃって…」
晃河はそう言って俯く。
「さっきので分かったでしょ?俺が晃河をどう思ってるのか」
「まぁ…」
晃河はそう言って顔を赤らめる。
「俺、これからも晃河の恋人でいてもいいかな?」
「いいよ。でも、俺嫉妬深いところは変わらないけど大丈夫?」
晃河はそう言って不安そうな顔をする。明日香は、そんな晃河をそっと抱きしめて言う。
「もちろん。言ったでしょ?ちょっとしたことですぐ嫉妬しちゃうところも好きって」
「明日香のそういうところ、大好き」
晃河はそう言って明日香を抱きしめ返す。明日香はそんな晃河にふふっと笑った後、晃河の頭をそっと撫でた。
「じゃあ、帰ろっか」
明日香のその言葉に晃河はコクリと頷いた。
夕暮れの道を二人並んで歩く。しばらく無言で歩いた後、明日香が口を開く。
「なんか久しぶりだね。こうやって二人で帰るの」
「そうだね。俺は利久と帰ってたし。明日香は颯人と帰ってたの?」
「ううん。一人で帰ってたよ」
明日香のその言葉に晃河は驚く。
「…颯人と帰ってると思ってた」
「なんか、一人で帰りたくなって。晃河と帰ってないのに他の人と帰るのは嫌だし」
「寂しくなかったの?」
「寂しかったよ。晃河がいない帰り道は、なんかいつもより長く感じたし」
明日香のその言葉に晃河は申し訳なさそうな顔をする。
「ほんとごめん。俺のせいで」
「晃河のせいじゃないよ。俺が全部悪いの」
「明日香さ、優しいのはいいけどちょっと優しすぎない?」
「そう?全然そんなことないと思うけど」
「ううん。優しすぎ。もっと俺に厳しくしてよ。じゃないと俺調子乗るよ?」
「調子乗る?」
「うん。わがままな恋人になっちゃうかも」
晃河はそう言ってニヤリとする。
「へぇ〜。でも俺、晃河のわがままなら何でも聞いちゃうかも」
「ちょっと。俺のこと甘やかさないでよ」
「じゃあ厳しくしてみようか?」
「うん。厳しくして」
晃河がそういうと、明日香は立ち止まって晃河の方に体を向け、晃河を自分の体の方に向けさせる。そして、晃河の両肩に手を置き、目をまっすぐ見ながら言う。
「俺以外に興味持つの禁止。俺以外に笑いかけるのも禁止。利久に可愛いって思わせるの禁止。利久と必要以上に仲良くするの禁止。利久に身体触らせんの禁止。分かった?」
明日香がそう言った後、晃河は少し黙った後、口を開く。
「…なんか思ってた厳しいと違うんだけど。あと後半全部利久じゃん。そんなに嫉妬した?」
晃河のその質問に明日香は晃河の肩から手を離し、腕を組んで言う。
「したに決まってるでしょ。俺は晃河と話せないのに、利久は晃河と話せるしお触りもするし一緒に帰るって…結構、いやかなり嫉妬したね」
「なんだよ。明日香にも可愛いとこあんじゃん」
そう言って晃河は明日香の頭をそっと撫でる。
「うわ。今の晃河結構かっこよかったかも」
「え?本当?」
晃河はそう言って嬉しそうに笑う。そんな晃河の口に明日香はそっとキスをする。そんな明日香に晃河は目を逸らした。
「…急になに」
頬を赤らめてそう言う晃河の頭を明日香はそっと撫でた。
「やっぱ可愛い」
「…明日香のバカ」
晃河はそう言って再び歩き出した。そんな晃河に明日香も続く。
「何?晃河。拗ねちゃったの?」
「拗ねてないし」
「いや拗ねてるでしょ」
「拗ねてない」
「どこからどう見ても拗ねてるじゃん」
明日香がそう言うと、晃河は諦めたように言う。
「うん。拗ねてるよ。だから今日は明日香の家でちゃんと慰めてよ」
「わかった。いっぱい可愛がってあげる」
明日香はそう言ってニコッと笑った。そんな明日香に晃河は頬を赤らめながらも歩き続けるのだった。
この二人の物語はこれからもこの先もずっと続いていくだろう。