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前書き
今回の話には、
『12.安置とアンチ (挿絵あり)』
の内容が含まれております。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います。
意気揚々と交番に向かって歩いて行くコユキ。
目指す交番は幸福寺から実家の茶糖家を経由した二キロ程先に位置していた。
直線的に進むにはコユキにも馴染み深い、実家直近のコンビニの前を通る事になる。
丁度コユキがコンビニの前に差し掛かった時、チャリンコに跨って鼻歌混じりに地域の巡回をしているポリスマンがこちらにやってくる姿が見えた。
過去に自ら立てたシバリ、ドグマを乗り越えようとしたタイミングでのニアミスに、コユキはどこか運命的な物を感じて声を掛けるのであった。
「おーい! お巡りさーん! 丁度良かったわぁ! 相談したい事があったのよぉ!」
キキィー!
「おや、茶糖さんのコユキさんじゃないですか、相談、ねぇ…… 何ですか、一体」
おお、早速話を聞いてくれるらしい、流石はコユキ曰く『優秀な公僕』と言った所であろうか。
コユキは自転車に歩み寄って話し始める。
「実はね、今世界は未曽有(みぞう)のピンチに陥っているんだけどね、悪魔や魔獣が跋扈(ばっこ)している事にも注意が必要なんだけどさ、それよりも恐ろしい事があってね、石化の危機がすぐそこまで迫ってんのよ、ここまでオケイ?」
「うん流行ってますよね、呪術何とかとか悪魔はチェーンソーですよね? 石化って言うと何とかストーンでしたっけ、ああ言うのがお好きなんですね、コユキさんは非鬼滅派って事ですかぁ…… それで相談てのは何なんですか?」
「うんそれでね、石化を未然に防ぐためにね、皆に魔法を教えようと思ったのよ、幸福寺でね、魔法学校みたいにするのよ、オケイ?」
「ああ、なるほど、ユ〇バーサルスタジオとかでまだまだ人気ありますもんねぇ、ホグワ〇ツ、いや日本だからマ〇ウトコロごっこですね、それで本官にどう言ったご相談が?」
「うん、そこに参加して欲しいのよ、お巡りさん独りじゃなくてなるべく沢山の警察官の人達にさ、ねえお願いよぉ」
「本官や同僚達がですかぁ? こう見えて結構忙しいんですよ、警官って? 近所の子供達でも誘ったらどうですか? その方が楽しいんじゃないですかね? そうして下さいよ、ではっ!」
ポリスマンは自転車をこぎ始めようとしている。
コユキは慌ててハンドルを掴み再度の説得を試みる。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 冗談じゃ無いのよ! このままでは世界は終り、滅亡なのよぉ! 見捨てるって言うの? 駄目よ駄目、アタシが信じられないとしても、自分を信じて頂戴、諦めないでぇ!」
「んもう離してくださいよコユキさん! また変な妄執(もうしゅう)に取り憑かれてるんですか? 変な薬とかやって無いでしょうね? あんまりしつこいと交番まで来てもらう事になりますよ?」
「く、薬なんてやってないわよ、アタシは只お巡りさんたちが持ってるから、沢山集まって欲しかった、だけなのよ……」
「? 持ってるって何をです?」
「ほらスミスアンドウェッソンのSAKURAとかシグザウエルのP230とか持ってるでしょ、あっ、勿論ナンブだって良いんだけどね、チャカ持ってる人が必要なのよ」
ピクッ
「ゴホンッ、少し話を聞かせて頂く必要がありそうですね、今から交番に戻って聞かせて頂けますか? いいや是非聞かせて貰いますよ…… ニートやコドオジ、コドオバの関わる事件も昨今増えていますし(ボソ)」
「おお、漸(ようや)く聞いてくれる気になったのね、だったら、交番じゃなくて幸福寺に向かいましょうよ、その方が話が早いし――――」
「いいえ、まずは交番で…… どうしても同行するのが嫌だと言うなら一時的に拘束させて頂きますが? 大人しく付いて来て下さいませんか、手荒な事は本官も本意ではありませんし、あくまでも任意ですから、ね!」
何故交番に拘(こだわ)るのか? コユキとしては幸福寺に来て貰って、実際に悪魔や魔獣を目にして貰った方が緊迫感と緊急性が伝わると感じているのだが。