テラーノベル
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「将来、絵師になりたいんだ」
そう言った彼女に、
フレネミーの少女は笑った。
「へえ。……無理じゃない?」
成績はいつも上位。
テストではほとんど満点。
先生からの信頼も厚く、
将来はきっと明るい――そう言われていた。
だから彼女は、自分の言葉に疑いを持たなかった。
「だって、あなたの絵って変だもん」
彼女は笑う。
「線も変。色も変。
そもそも、何を描いてるのか分からない」
言われた少女は、自分の絵を見つめた。
確かに、上手くなかった。
人物のバランスもおかしい。
色の組み合わせも妙だ。
客観的に見れば、決して上手な絵ではない。
「……そうだね」
少女は小さく笑った。
「でも、描くのは好きだから」
「好きだけじゃ無理だよ」
フレネミーの少女は、そう言い切った。
そして最後に、
「不幸になればいいのに」
と、笑った。
――それから何年か経った。
少女は絵を描き続けた。
上手くなった。
けれど、天才にはならなかった。
有名にもならなかった。
大きな賞を取ったわけでもない。
ただ、小さな場所で絵を公開して、
時々誰かに「好き」と言ってもらえる。
それだけだった。
一方、フレネミーの少女は、
優秀な学校へ進み、
周囲から期待される道を歩いていた。
誰が見ても、順調だった。
ある日、偶然二人は再会した。
「まだ絵なんて描いてるの?」
「うん」
「……変わってないね」
少女は笑った。
昔と同じ笑い方だった。
けれど、今度は何も言い返さなかった。
「あなたは?」
そう聞かれて、
フレネミーの少女は答えた。
「私は、ちゃんとした人生を送ってるよ」
その言葉に、少女は、
「そっか」
とだけ言った。
帰り道。
フレネミーの少女は、
スマートフォンに表示された彼女の絵を見た。
やっぱり、少し変だった。
上手いとは思えない。
なのに――
なぜか、画面を閉じられなかった。
「……なんで」
誰にも聞こえない声が漏れる。
彼女には、学歴がある。
知識もある。
周囲からの評価もある。
それでも、
「好きだから描く」
という、あの頃の彼女の言葉だけが、
どうしても理解できなかった。
不幸になれ。
そう願った相手は、
別に幸せそうでもなかった。
成功しているわけでもない。
ただ、今日も絵を描いている。
そしてフレネミーの少女は、
そんな彼女を見ながら思った。
――私は、あの子より幸せなんだろうか。
答えは、出なかった。
たぶんこれからも、
出ないままだった。
#詩?
ɗคɼﻉᛕค
29
柘榴とAI

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コメント
5件
…やばい古傷が
「好きだから描く」——それだけで何年も続けられる強さって、実はものすごく難しいことだと思うんですよね。フレネミーの方が「私はあの子より幸せなんだろうか」と自問するラスト、すごく刺さりました。表面的な成功と内面の充足が一致しないもどかしさ、その答えが出ないまま終わる余白が、逆にこの物語のテーマを深めてる気がします。後半の「画面を閉じられなかった」シーン、彼女の無意識の嫉妬や憧れが滲んでて好きです。続きが楽しみ。