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シンが泣き止む頃合いを見計らったかのように柊がやってきた。
「慎太郎。大丈夫?」
柊が声をかけるとシンは黙って頷く。
「警察の人と話してきた。晃くんの事故の原因。道路に飛び出した子供を助けようとして車と接触したらしい…」
えっ…
シンは柊の方に顔を向ける。
「ぶつかった車はそんなにスピードを出していなかったから直にブレーキをかけて止まったらしいけど、相手は鉄の塊だからね生身の人間は軽くぶつかっただけでも相応の傷がつく…これ位の怪我で済んだのは奇跡だろうって…」
「目が覚めないのは…?」
「多分どこかの拍子で頭を打ったのかもしれない。って、お医者さんが…詳しい事は明日の検査次第になると思うけど…」
「助けた子は…?」
「かすり傷程度で済んだらしい。親御さんにさっき下で泣きながらお礼を言われた」
「…そう…ですか…」
少し間があった後、シンは俯き
「まったく………後先考えずに助けるとか…あの人らしいですね…笑える………」
そう言って口元だけ微笑む。
「晃くんらしいね」
柊が答える。
顔をあげたシンは遠くを見つめるように前を見る。
何か思い出したかのように…
何か懐かしむように…
「……躊躇なく人を助ける…」
以前、湊に言った言葉を口に出す。
「えっ?」
柊が聞き返すが、シンは独り言の様に続ける
「あんたの好きな所だけど……」
自分を助けてくれた日の事を思い出す。
「だけど……」
悔しい気持ち。
嬉しい気持ち。
色々な感情が込み上げてくる。
それでもやっぱり今の湊の姿を見て残った感情は
「あんたの欠点でもあんだよ……」
悔しい気持ちだった。
「慎太郎…」
そんなシンの姿を柊は優しく見守る。
暫くの後、
「塾講あるから行かないと」
時計を見ながら柊が口を開く。
「すみません。俺、しばらくは…」
「わかってる。こっちは大丈夫だから心配しないで」
そう言うなり、柊は足早に去って行った。
続く…
【あとがき】
えっと…こんな作品でも大丈夫なんですかね…
すんごい自分よがりな内容なんですが…みなしょーファンの方に怒られやしないかドキドキしながら書いてます…
この作品はもう少し続きますが、よろしければ引き続きお楽しみください。
月乃水萌