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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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検査の結果は、外傷以外は問題ない。

との事だった。

だが、未だに湊は目を開けていない。

「とりあえずは…良かったよね…」

最初に口火を切ったのは明日香だった。

湊のベッドを囲むように3人は座っていた。

「そうだね。一般病棟にも移れた事だし」

柊がそう返す。そして、向かいに座っているシンを見る。

シンは湊の右手を握っている。

柊は、シンに近づき

「慎太郎。少し休んだ方がいい」

そう言って肩に手を触れる。

「一昨日から一睡もしてないでしょ」

「俺は大丈夫です…」

シンは片時も湊の側を離れようとはしなかった。

「食事もまともに口にしてないみたいだし」

「…本当に大丈夫です……」

声に覇気はなかった。

柊は、ふぅ、と息をつくと

「鏡、見ておいで」

個室に備え付けてある洗面台を指さして柊が言った。

ほらっ。と両肩を掴まれ立ち上がり、仕方なく鏡をのぞき込みに行く。そこにはクマができ充血した目、やつれた頬の自分の姿が写し出されていた。

「慎太郎のそんな顔を見たら、一番悲しむのは晃くんだよ…」


ひどい顔だ…

顔を覆ってしまいたくなる…

たった2日寝ないだけで…

たった2日湊さんの声を聞けないだけで、自分はこんなにも弱くなってしまう…

情けねえな……



それでも…


「……わかってます…」

写し出された自分の顔を隠そうと鏡に手を伸ばす。

「でも…だめなんです…」

「心配なのは十分理解できるけど、休んだ方が良い。俺と明日香が晃くんの側に居るから」

シンをなだめるように柊が言った。

「ちがう…」

「ちがう?何が?」

柊が尋ねる。

「それじゃ………だめなんだ…」

シンは椅子に戻ると、再び湊の右手に触れる。両手で優しく包み込むように…

「約束したんです…」

右手を伸ばし、そっと湊の左頬に触れる。

「目が覚めたら俺が一番に『おはよう』って言わないと…」

あの日。

誕生日の日に交わした約束をシンはどうしても守りたかった。

「湊さんが目を開けた時、一番最初に俺が『おはよう』って言わなきゃいけないんです……」

だから湊の側を離れるわけにいかなかったのだ。

「大事な約束をしていたんだね」

柊は続ける。

「だけど、最低限の食事と睡眠を取らなければ慎太郎の身体がもたない。固形物を受け付けないなら栄誉ドリンクだけでも口に入れた方が良い。睡眠も取った方が良い。倒れる前に自分の身体を大事にしなさい。医学生なら今の自分の身体の状態わかるよね?」

柊の言ってくれた事は至極真っ当だった。

反論の余地などなかった。

湊が今のシンの姿を見たらなんと言うかなんて、容易に想像ができる。



『なんてツラしてんだよ!シン』

『せっかくのイケメンが台無しじゃねーか』

笑いながら言う湊の顔を…



湊の頬に触れていた手が力なく滑り落ちる。

急激に襲ってきた眠気。

シンの身体は限界値をとっくに超えていた。

意思に反して閉じようとする瞼に抵抗するが、シンの体力はそれを拒む事ができないほど憔悴しきっていた。


«早く見てぇな…湊さんの笑った顔…»


愛しい人の顔がかすれていく…

そのままシンは眠りについた。



続く…


【あとがき】

求む、校閲ガール!


《何が正解か全然わからね〜!》

湊さんのあの場面を思い出しながら同じセリフを叫びたくなりました…笑

冗談は置いといて…


さて

そろそろ?やっと?終盤に入りましたが…

やっぱり、しんみな の、イチャイチャのラブラブ♡が、書きたい病が発動しています 笑

この作品の後日談として書こうか、全く別の作品にするか悩んでいます。

こんなのが読みたい。とか聞いても良いのでしょうか…

感想なんかもお聞かせいただけると今後の活力になります♪

でも、苦情はご遠慮させていただきます…メンタル豆腐なので…


それでは、また次回作でお会いできますように…

月乃水萌


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