美味しい焼き肉やご馳走をたらふく食べて、みんなで騒ぎまくっていたら午後になった。食べ過ぎたのか、はしゃぎすぎて疲れたのか、眠くなってきた。
俺があくびをして手で口を覆うと、気づいた照兄さんが微笑んで声をかけてくれた。
💛「片付けとかは俺らがやっとくから、蓮は寝ててもいいよ」
🖤「ん、ありがとう」
家の中に入って革張りのソファに寝転ぶと、何故か眠気が一気に消えてしまった。目は完全に冴えている。みんなは気を使ってくれたけど、眠れないなら後片付けを手伝おうかな。
そう思って玄関に向かい、散歩ついでに広い家の中をひとりで歩き始めた。しばらく歩いていると、見慣れない白いドアが不意に視界に映った。
ドアノブを回して部屋を覗いてみると、そこには数えられないほどの写真立てやアルバムが置いてあった。
壁にもたくさん写真が貼られている。ここは、思い出を飾っておく大切な部屋とでもいったところか。
古い写真も、みんなが幼くあどけない姿を映した写真もある。
木目調の額縁の中に収まって笑う兄弟たちは、どの写真も幸せそうだ。それらは窓から差し込む陽光に照らされて、輝いて見えた。
そうだ。
心に深く根付く傷があっても、この家族が幸せだった瞬間も、辛かった時と同じくらいたくさんあるんだ。
そう実感できると、自然と頬を雫が伝った。
🧡「蓮?どないしたん」
声が聞こえて振り向くと、そこには康二が驚いたような、心配そうな顔で俺を見て立っていた。
🖤「いや、何ともないよ。嬉し涙、かな」
この写真たちはきっと康二が撮ったんだろう、どれも良い出来に現像されている。
🧡「なんでそんな蓮が泣くん~」
目から零れ落ちる涙は依然として止められない。康二は優しく笑いながら、そんな俺の肩を撫でた。
康二は、俺が泣き止むまで隣を離れないでいてくれた。ようやく落ち着いた俺は、扉の向こうからこちらの様子を伺っていたラウールに気がついた。
🖤「ラウール?どうしたの」
🤍「蓮が泣いてるから…康二兄ちゃんがなんかしたのかなって」
🧡「なんもせぇへんわ!」
🖤「えっとね、慰めてもらってた」
唇を尖らせてじとーっと康二を睨むラウールが可愛らしくて、俺は思わず笑ってしまった。
🧡「ラウさみしいんかー?」
🤍「いや、別に…」
満面の笑顔を浮かべる康二の腕に、ラウールは少し躊躇ってから収まった。
🧡「蓮もおいでや」
康二がラウールを抱いたまま手招きしてきた。俺は素直にそれに応じると、ふたりとの距離が完全に無くなった。3人で顔を密着させて笑った。
❤️「何してるの、さっきから…笑笑」
扉の方を振り向くと、涼太兄さんがくすぐったそうに笑っていた。その後ろには、みんないる。
💙「ここにいたのか」
💛「蓮は寝なくていいの?」
💜「部屋にいないから、ちょっと探したよ」
きょとんとする俺たちに、兄さんたちは笑いを含んで口々に言った。
🖤「どうしたの、兄さんたち」
💚「蓮に渡したいものがあってね」
そう言って亮平兄さんが持っていた物を、俺の右手に握らせた。掌を開いてみると、小さなペンダントが俺の手に入っていた。
黒地に雪の結晶の模様が入っていて、銀色のチェーンによく映えている。真ん中には2月の誕生石であるアメジストの装飾が施されていた。
嬉しさと驚きと感動と、名前のよく知らない感情で俺はまた泣きそうになった。さっき泣いたばかりだからかな。
兄弟たちは俺の反応を嬉しそうに見つめた後、順番に話し始めた。
💜「そのペンダントは、俺たちが小さい頃に作って、みんな色違いの持ってるんだ」
💚「実は、今日は俺たちのお父さんと蓮のお母さんの結婚記念日なんだ」
💛「俺らが兄弟になった記念日でもあるってこと」
🩷「だからみんなでお揃いにしたいって思ってな!」
❤️「今日のバーベキューはお祝いパーティーでもあったつもり。そのペンダントはこの前みんなで作ったんだ」
💙「ちゃんと着けてよな。俺たちが兄弟って証のペンダント」
🧡「今着けてみよーや!」
そう言って、康二が俺の首にペンダントを着けてくれた。
🤍「ほら!これでみんな一緒だよ!」
みんなの首元に目を向けると、みんな同じようなペンダントを提げていた。
辰哉兄さんは紫
亮平兄さんは緑
照兄さんは黄色
大介兄ちゃんはピンク
涼太兄さんは赤
翔太兄ちゃんは青
康二はオレンジ
ラウールは白
そして、俺は黒
兄弟たちはみんな違う色の、同じデザインのペンダントを着けて幸せそうに笑っている。
涙はいつの間にか俺の目から消えていた。
小さい頃からこの心に染み付いた孤独と寂しさも、一緒に消え去っていた。
この先、どんなことが起こるかなんてわからない。それでも兄弟みんな一緒なら、なんだって乗り越えられるだろう。
生まれて初めて、俺はひとりじゃないと思えた。
この幸せがいつまでも続きますように。
笑いあう兄弟の輪の中で、ペンダントをそっと握りしめて俺は強く願った。
~主からのお知らせと感謝~
「Snow Manが兄弟に!?」のシリーズはこれにて完結となります。ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!ゆきりんごによる次の作品にも是非ご期待ください!
from⛄🍏
コメント
3件
今回の作品最高でした! 次の作品も楽しみに待っています