テラーノベル
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「 すっげぇむかつく…!! 」
俺には好きな人がいる。
感染症が世に広まり忙しかった日々にできた時間で趣味程度にはじめた歌い手活動。元々そういう文化には触れてきてずっと昔からこういうのには憧れていたからハマるのは簡単で。会社に出社しなくてもいいとなるとどんどん歌い手活動にのめり込んで行っていて。気がつけば本気に取り組むようになっていた。
リスナーには最初っから歌い手グループを作りたい、なんて豪語をしていたが、半分嘘で半分本当。俺の相棒、Ifという歌い手に出会ってから歌い手グループを作りたい。歌い手としておっきくなりたいって思うようになった。
英語アレンジで歌う彼の声は俺の中でなにか電撃が走るように俺の中に衝撃を与えた。だから声をかけてみたらすぐに仲良くなれた。ボイチャとかするようになってからどんどん彼のことを知れていっていつの間にかこいつとずっと過ごしたい。だなんて思うようになったのは出会って早々の話だ。
「ねー、まろ。今日メシ行かん?」
「そういうのは前もって言ってくれな予定あけられないやん…!」
こいつとずっと過ごしたいから歌い手グループを作ってこいつを俺と一緒に働く環境に引き入れよう。そう考えてから彼に話して、そして彼が肯定してくれたのはそう時間かからなかった。そこから他のメンバーを探し出して勧誘して…今では結成からもう6年が経とうとしている。
もちろん俺達も1人、1人の人間だから意見のすれ違いで何度もお互いの道を歩もうとする決断を仕掛けたことも合った。けれどやっぱり俺はこいつと…こいつらと一緒にいたいからってここまでやってこれた。
「あー…空いてないならいいや。またにきと筋トレ?」
「今日はほとけとメシ」
「うわ、浮気?」
…そして結成して6年。彼と出会って6年が経った最近。ようやく彼への気持ちが友情やメンバーに対する愛情ではないことに気がついてしまった。彼と一緒にいるとやけに胸が高鳴るからなんなのだろうって調べたらこの感情が恋心だということも知ってしまった。
「んじゃ、また明日な。青組デート、楽しんでこいよ」
「あ?デートなわけ無いやろ」
あれから何度も何度も彼との食事を誘ったが運悪くどれも予定が埋まっていたりすることばかり。たまに彼から俺へ誘ってくれることも合ったが…ここ最近では夏ツアーに周年。そして東京ドームとか…あとはいれいす以外のVOISINGとかそこら辺の事務作業もたくさん控えていて基本的には時間をずらして、なんてもできないから本当に、時間が合わないことだらけ。
俺は一緒に飲みに行きたいしそのまま酔った勢いで…なんて淫らな妄想は何回もしてしまう。…全く、いい年した成人男性がなに考えてんだか。って感じだがな。
「なー、まろ〜今日もだめなん?」
「…今日、…いけr…ないわごめん」
…いやいやいやいやいや…!!ちょい待て…!!
いまこいつ「行ける」って言いかけてたよな??え?…これまでの飲みの誘いってもしかして故意的に予定詰めてたりする?そんなに俺と飲みに行きたくなかったんかな。
「マジで無理なん? なんで?そんなにやることある?」
「んー、ダンス練と筋トレ、あとはTikTok撮影もせなあかんな」
「ふーん、そっか」
彼の口から飛び出る数々のこの後のスケジュールに俺は飲みに行けない悲しさよりも苛立ちのほうが込み上げてくる。
…なんか、すっげぇムカつく。
「次はいつ?いつ飲みに行ける? その日は俺も予定空けるからまろが空いている日に教えて。」
「…今月22日とか、?」
「おっけ、なら絶対そこ空けとくからお前も空けといて。」
そう吐き捨てといて俺は部屋を出ていった。…22日こそ、飲みに行けたらいいな。
『ごめん、親戚との予定入ってもうたから行けないわ。ごめん。』
「………は?」
いやいやいや!!意味わからんて…!!よりにもよってなんで毎回、毎回予定が入るん?
「あーッ、ムカつく!!もう知らねぇ!!」
なんて苛立ちをすべてキーボードにぶつけるように荒々しくタイピングしているとそばで仕事をしていた社員にうるさいって怒られた。
最後に約束した日からどれくらいの日時が経ったのかわからない。もう俺がどれだけ誘っても断られて俺の恋心をバカにされているような気分になってしまうのであれば誘い損だ。もう知らない、誘わないって決め込んでから長い時間が経った。俺が引いたら、はいそうですかと言わんばかりにまろも飲みに行く誘いとかしてくれなくなった。
「まろ、今度ないこアニメの収録してほしいんやけどさ」
「あー、台本送っといて 隙間時間に収録しとく」
「…、わかった」
いつもないこアニメの収録はそのアニメの登場メンバーが集まって収録していたというのに、ないふ回だからって、避けやがって。他メンバーが居たところできっとそのメンバーとずっと話しまくって俺となんて目も合わせてくれやしないくせに。…きっと後者の方が俺的にはしんどいから別々収録のほうが全然いいんだがな。
「…ないこ」
「ん? なに?」
「また明日」
「はー?それだけ、? またな、また明日」
なんて言って彼に背中を見せると今度は肩を引かれて、そのまま彼に包みこまれた。…所謂、バックハグみたいな立ち位置。
「…っ、離して」
「離さないよ〜」
「ほんと…っ 忙しいから離せって…!」
「じゃあ今日、飲みに行こ?」
「はいはい、わかったわかった…って、え?」
こいつはさっきから手のひらをくるくると…!!俺の感情を弄んで楽しいか!!……だなんて、本人にも伝えられるわけもなく、俺の言いたいことをまとめて、ぐっと唾を飲み込み彼に問い返すと、だから!と先ほどの言葉を続けた。
「お前、最近ずっと飲みに行ってくれなかったやん。今日も忙しいのかと…」
「最近はお暇のまろです〜」
「ないこ、寂しかった?」
「〜っ、寂しいに決まってんだろ!!ばか!!」
なんて言うと愉快に笑ってみせるまろの唇が俺の唇に触れ合う。
…ここ最近感じられなかった温もりに俺は少しだけホッとしたのは秘密。
end
コメント
1件
あー、読み終わった…!「すっげぇムカつく」ってタイトルからもうないこの感情ダダ漏れでしょw まろに振り回される感じ、めっちゃ伝わってきた…!「行ける」って言いかけてスルーされるとか、心臓に悪いよ。最後のバックハグからのキスで「寂しかった?」って言えるまろ、ずるい。ないこの必死な感じ尊いし、一途な片思い6年って重くて愛おしい…!続き気になるよ〜