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聖次
415
#復讐
すっこ
2,148
心
54
[第1章 偶然]
僕が命をかけて助けた彼女。
感謝の一言くらい言われると思っていた。
でも彼女は、一切口を開こうとしなかった。
……喋ろうとしないではなく、口を開こうとしない。
何か、考えているのだろうか……
もしかして、恐怖のあまり、動揺してるとか………?
でも、どう考えても、あれは、………
自ら望んでいたようだった…………
ただ、……
綺麗だと、また思ってしまった。
彼女が、何を考えているのかはしらないが
それでも、彼女には何か惹くものがある
こんな子に、「ありがとう」
なんて、言われたら…………
はぁ…………
僕は助けたから、彼女に何か求めようとしているのか………
心の隙間は、埋まるわけないのに。
「あの…………」
気まずくなって、声をかけると
声をかけると、彼女は、ビクリと肩を震わせた。
ゆっくり顔を上げ、僕と目が合った
………絶望、……
しているようだった……
目を開いて、僕を見つめて、何かを訴えているようだった。
僕の声が漏れる前に、彼女がスマホを僕に見せた。
『なんで助けたんですか』
『私は、死にたかった』
『こんな私、命をかけて助ける意味ないのに』
……唖然とした……
ほとんど、僕と一緒だったから
死にたいと思っていたことも、間違ってなかった。
ただ咄嗟に、出た言葉は、
「なんでだろ……」
彼女は、また、目を見開いた。
『理由がないのに助けたんですか?』
「うん……」
……間違ってないはず……
『そうですか』
想像していた彼女とは違うし、そっけないし
でも、気が抜けたように眉を下げた
『もう会うことはないでしょうが、感謝だけ』
『助けていただきありがとうございました。』
……いや、もうちょっと無いの?
って言っちゃ駄目だけど、それでも命をかけて…………
彼女も何か気がついたのか、またスマホを見せてくれた。
『命の危険にさらしてしまってすみませんでした』
『ただ、一つだけ』
『私は、助けてもらいたかったわけではありません』
……なぜそこまでして、死にたいのだろう
「なんで死にたいんですか」
踏切の前で、座り込む僕たち。
その横を涼しい風だけが通り過ぎていった。
『病気のせいです』
『声が出ないのも、病気のせいです』
僕には分からないけれど、彼女にとっては、大切なことなんだろう。
病気のある人と元気な人。
彼女にとっては、病気がないだけでどれだけ嬉しいだろう。
『だからね、死にたかった』
『いつ死ぬか分からない自分なんて』
『先にいなくなったほうが楽なんです』
『まだ大丈夫って思いながら生きるのが辛いんです』
僕だったら、こんな事実受け止めきれない。
それこそ、彼女みたいに…………
「言いたくないことかもしれないのに、すみ
ません………」
「……僕、帰りますね………」
気まずくて、帰ろうと線路に向かったら後ろから何かに引っ張られた。
「えっ」
勢いのまま、後ろに倒れ込んだ。
後ろにはさっきの彼女。
「あっ、えっ、どっ……どうしたんですか……」
恐る恐る声をかけると、彼女は慌てた様子で口をパクパクさせていた。
もちろん声は聞こえないけど
彼女は、服にしまっていたスマホを取り出し
急いで文字を打っていた。
『何か、お礼をしたいです』
『危険な目に合わせてしまったので』
……別に、お礼なんて、いらないのに
まぁ、彼女なりに勇気を出してくれたんだろう。
受け取っておこう……
『何が欲しいですか』
『あなたは』
彼女は、急に掌返しをしたように言った。
欲しいもの……?
てっきり、勝手に用意されてるものかと……
それに、僕に欲しいものなんて………
「優真!これからよろしくな!」
「ありがとう、優真」
「頑張ったな、優真は!」
「……じゃあ、僕のお願いを3つ聞いてくれますか………」
そう言うと、彼女は頷いた。
「……新しい友人をつくりたいです…………」
「家族と仲良くなりたいです…………」
「誰かに、生きてる意味を教えてほしいで す……………」
自分勝手な、願いだ。
彼女にしか、できないことではない。
でも、してほしいことなんて、それくらいだ
なかなか、返事が返ってこないので、諦めようとまた立ち上がると、彼女も立った。
『分かりました』
『それで、あなたへのお礼になるのなら』
『私は、病人なので叶えてあげられるかは、 分かりませんが』
「えっ……君はいいの?それで……」
『いいですよ』
『別に』
『ただ、あなたはここの住民ではなさそうな
ので、会いに来てもらわないといけません
けど』
彼女が提示してきたのは、僕にとってはいい話でしかなかった。
1,2ヶ月に一度は必ず会いに来る
2,僕の願いに関する出来事を伝える
3,命の恩人設定にする
4,僕の気分でいいが、外へ連れて行ってほし
い
僕は、
命を助けただけ。
ただの自己満。
消えたかった。
それだけだから。
「……本当にいいの……?」
「僕にとっては都合のいい話だけど、君にと
っては大変じゃない?」
『つまんない日々に、大変も何もないです』
『逆に、外へ行けるんですから、嬉しいです』
………こんな願い、叶うのだろうか……
『そういえば、名前聞いてませんでした』
別に、あなた呼びでいいけど
…………君って呼ばれたくないのかな……
「僕は、幸野優真」
『竹山かえでです』
『ひらがなで、かえでです』
「へー……」
「僕は、…………」
「……幸せに野、優しいに真です」
………いつ聞いても嫌な名前……
幸せじゃないのに、優しくないのに、
『素敵な名前ですね、幸野優真って』
僕の心を見たみたいに、言ってくれた。
彼女の、優しく微笑む横顔を見て、思わず僕も笑ってしまった。
はい!
え〜……前回の続きとさせていただきました!
不思議な女の子、かえでとの大切な出会いのシーンを書いてみました!
次回は、第二章とさせてもらいます!
読んでくださると嬉しいです!
コメント
1件
おお、第2話読了!まず、かえでちゃんの「死にたかった」って告白がめちゃくちゃ刺さったわ…。でもそこで優真が「なんでだろ」って咄嗟に言っちゃうの、めっちゃ人間らしくて好きだな。名前の由来「幸せに野、優しいに真」がまた切ない効き方してるし。あと、同意なしで線路に引き戻すかえでちゃんの慌て方にちょっと和んだ💡 次章も楽しみにしてるよ🔥