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攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある、たぶん。
あとセンシティブにしてるけど全然センシティブしてない。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
酒を飲んだ。
浴びるように、という言葉は適切ではないけれど、それでも俺たちはたしかにあの日、長い時間飲んでいた。久しぶりにみんなで集まって、思い出話に花を咲かせながら、笑いながら、何本もワインを開けた。
穏やかな空気が流れていた。気心知れた家族と何度もグラスを重ね、脳の奥がふわふわしていた。
それでも何処か俺は、頭のどこかで冷静だった。酔いながらも、酔いきれてはいない自分がいた。それは、俺と、彼。あの日2人はきっとそうだった。ときたま互いに交わる視線の奥はなにかを語るには十分な色をしていたのに、気づかないフリをして笑いあっていた。
「……ジヨン」
さすがに寝ようとみな腰を上げたのは深夜2時をとっくに回ったところで。ホテルの各々の部屋へ帰る最中、後ろから呼ばれた。振り返らなくたってわかる。心の奥に響くようなその低音を、俺はいつだって聞いてきたのだから。
「…とりあえずシャワーあびて、そのあと来たら?」
何も思うところがなかったかと聞かれたら嘘になる。聞こえるか聞こえないかの声で答えた。それでもきっと彼には聞こえていた。彼の沈黙はあのときも肯定だったと思う。
控えめなノックが聞こえる。空いてるよ、と声をかければ、ゆっくりとドアが開いて彼の顔が見えた。まだ乾ききっていない髪を見ると、本当にシャワーを浴びてきたらしい。
「…悪いな。さすがにもう眠いんじゃないか?」
「全然。タプヒョン、俺が夜行性だって知ってるでしょ?」
微笑むように笑えば、彼も釣られるように笑った。いや、笑ったはずだった。けれど微かに眉を下げるその顔はまるで泣いてるように見えたのは気のせいか。
ベッドに腰掛け、トントンと隣を叩けば、少し迷った表情をしながらトップは近づいてきた。でも座らずに、目の前に立ったまま。ただでさえ身長が俺より高いのに、ベッドに座ったまま見上げるとより大きく見えた。
「………」
口を小さく開けては閉じ、また開ける。けれどなにも声を発することなくまた閉じた。何かを言いたいけれど、どう伝えていいか分からない。そういったときの彼の表情を、今まで何回見てきたのだろう。俺はしばらくその彫刻で掘ったような綺麗な顔を見つめたあと、腕を掴んで引き寄せた。あっけなくベッドに倒れる彼を押し倒す。さっきとは逆転し俺を見上げるその瞳は、いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざってマーブル模様をしていたように見えた。
「…………わかってるよ」
それが決定打だったように思う。そう、俺は分かってた。彼が何を考えながら酒を飲み、こちらを見て、そして今ここに来たのか。全部分かってて、分からないふりをしていた。
「…全部、わかってる。タプヒョンが言いたいこと」
言い終わるや否や、その大きな目がカッと見開いて、あれよあれよと水分が溜まっていく。そして耐えきらず零れた一粒を筆頭に、彼はボロボロという表現がぴったりのように泣いた。それでも声を上げることはなく、ただ静かに、綺麗な瞳と顔を歪めて泣いていた。
俺は分かっていた。こうして彼と繋がるのは、最初で最後になるということが。いや、繋がるだけじゃ無い。君とこうして話したり笑ったり触れたりすることが、この夜を最後にもう二度とこないということが。
俺は小さく頷くと、ゆっくりとその体に触れた。服をはだけさせると、いつも見えない彼の綺麗な肉体美が見えた。恥ずかしそうに身を捩った。彼は病的に露出を嫌う。それはあの日を境にして急激に加速したように思う。
そう、俺が彼に触れたのは、今日で2回目。
あれはいつだったか。
コンサートが終わり、まだ熱の冷めやらぬときだった。全てを出し切って身体はくたくたなはずなのに、とめどなく溢れるアドレナリンのせいで心だけは異様に高まっている。
もう一歩も動きたくないほど疲れきった足を引きずるように向かったトイレに、彼はいた。
「タプヒョ〜ン、お疲れ様〜」
ビクッと背中が跳ねたあと、ゆっくりと振り返る。合わさった視線の先、綺麗な瞳は何処か不安げに揺れていた。
そう、彼はBIGBANGの中でも最年長、高い身長とがっちりとした体格とは裏腹に、心は酷く繊細で弱い。ファンの前でパフォーマンスしているときは全く出さないのに、一歩裏に入ればそのポーカーフェイスは剥がれ落ちる。まるで子どものような顔をしていた。
ここ最近彼の精神がやや不安定なことには気付いていた。それは今回だけではなく、過去に幾度も見てきたから。理由は分からない。何か不安になることが少しでも顔を見せれば、いとも簡単に彼の心を蝕んでしまう。
「…どーーーしたの、そんな顔して。なんかあった?」
「…」
「………自分でも、わからない?」
沈黙は肯定。きっと彼は自分で自分が分からなくて混乱している。何が不安で何がこわいのか、今何が自分の心を蝕んで不安定にさせているのか。
彼は一度落とした視線を再び上げた。その瞳を見た瞬間、俺の口から声が零れていた。
「俺が、忘れさせてあげようか?それ」
ぇ、と小さく開いた口を見たところまでは覚えている。そのあとは気づけばその口を塞いでいた。胸ぐらを掴み引き寄せ、背の高い彼を少し屈めさせて、その唇に噛み付くようにキスをした。
「…ん、!?」
何故そうしたのか自分でもわからない。でもずっとこうしたかったような気もした。
驚いて後ろに下がろうとする彼を逆手に取り、強く押して固い壁に少し乱暴に押付けた。鈍い痛みが走ったのだろう、ギュッと瞑った目には涙が滲んでいた。抵抗が弱まったのをいいことに、その柔らかい唇を舐めた。そして硬直する彼の身体を服の上から撫でその感触をしばらく楽しんだ後、ゆっくりと上着の裾から手を入れた。直に触る肌は汗で濡れていて、手のひらに酷く馴染んだ。割れる腹筋をなぞるように、徐々に上にあげていく。
「ん、ぅ……ぁ、じ、じよ、ん…!」
その声に我に返った。いや、今までだって別に我を忘れていたわけではない。触れたくて触れていたのだけれど。彼が俺の名を呼ぶその声が、警告音のように耳の奥に届いたのは確かだった。バッと急いで身体を離す。手のひらに感じていた体温も一気になくなった。
「…っは、は、はぁっ……」
上がる息遣いだけが響き渡る。新たな汗がコメカミを伝った。
「…………タプヒョン…、」
「……」
「…………………こわかったよね、ごめん」
謝罪の言葉と同時に、その目から涙が零れ落ちた。次々と溢れ出すそれを拭うことなく、彼は小さく顔を横に振った。どうしていいか分からず動けない俺の横を、彼は無言のまますり抜け、そしてそのままトイレを出ていった。
あのあと、その日だけは彼と言葉を交わさなかった。このまま気まずい空気になるのは、今後の活動を考えても避けたくて、どうしようかと悩んでいたが、次の日にはいつもの彼に戻っていたから些か拍子抜けしたのを覚えている。
けれども確実に、彼はあの日から人前で肌を晒さなくなった。俳優業をしているから、仕事上致し方ないときは見せたが、それ以外は一切。汗だくになるコンサートだって必ず長袖を着て、なんなら分厚いジャケットや手袋までしているときも。風呂だってみんなと入ることは絶対になかったし、同じ部屋で着替えるときだって、隅の方でなるべく見られないようにその大きな体を隠しながらササッと着替えていた。
トラウマになってしまったのだろうかと今でも思う。無造作に触れてしまったことが引き金で。それでも後悔はしていなかった。やっぱり俺はずっと彼に触れたかったのかもしれない。
グチュリ、と中に入れた指を動かす度に音がなる。途方もない時間をかけて解かすそこは熱くてキツくて、指ごと食いちぎるかのようだった。
「……ぁ、あ、」
決して女性のような高い声ではないのに、上がる嬌声がなんとも艶かしい。指を抜いて、自分のそれをあてがった。酷く熱い。それは自分なのか、彼なのか、わからなかった。一息ついたあとに、グッと押し入るように入れる。ローションを駆使して散々解かしたが、やはりそこは想像以上にキツかった。
「ひ、ぃ…ぁ、あ…っ!」
「ぐ…っ、」
それでも切れてる様子はなかったので、一気に押し進めた。ビクンッと身体を跳ねさせ、トップの顎が上に上がる。後頭部を枕に押し付け、音にならない声と涎が一筋口から零れた。これでもかと眉間にシワが寄っている。それもそうだ、受け入れるところではないところに無理やり入れているのだから。相当苦しいし痛いだろう。
「…た、ぷひょ…ん……はっ、」
「ぅ、あ、あ…!」
「い、いたいよね…ごめん、ごめんね、」
行為に夢中で止まっていた涙が、また彼の瞳から零れ落ちた。ポロポロと、とめどなく。泣かせたいわけじゃないのにその涙を止める術を俺は知らない。それが歯がゆくて、なんとももどかしかった。
「…はぁ…はぁ…っ、ね、タプヒョン…、」
「ぅ、ん……ぁ、あ、」
カーテンの隙間から除く空はもう既に明るい。今果たして何時なんだろう。
「…ほんとは、こう…言いたかったんでしょ。言いに来たんでしょ?……今日がさ、これがさ、」
俺たちの最後だって。
それは、どうしたって言葉にできなかった。思わず顔が歪んだ。でも俺の目から涙は出なかった。
でも、きっと君には伝わってるよね。きっとわかってる。そして、その沈黙が肯定だってことも、俺もわかってた。
熱を吐き出したあと、しばらく2人は何も言葉を発しなかった。ただ上がる息を抑えるようにしばらく深呼吸をした。
そしてゆっくりと彼の中から抜け出したと同時に、トップは起き上がった。投げ捨てられていた上着を急いで羽織って、今更恥じるみたいに、そそくさとズボンを履いて、ぐちゃぐちゃの下着とインナーで前を隠すように持つ。
「……もう、戻るの」
小さく頷くその顔は、身体を動かす度に歪んでいた。きっと痛いに違いない。乱暴にしつもりはなかったけど。
「…………ジヨン」
ドアノブに手をかけて、こちらも見ずに彼は俺の名を呼んだ。小さく、でも確実に。
「…今まで、ありがとう」
バタン、と扉がしまって、その背中が見えなくなる。痛いくらいの静寂がうるさかった。
「………は、ははは」
乾いた笑いが漏れた。それを境に、俺は大声を上げて笑った。思わずベッドに倒れ込む。そこにはまだ彼の温もりも匂いも残っていて、まるであれは夢だったんじゃないかと思う自分に現実だったと知らせるようだった。
「ははっ、は………はーあ」
仰向けに転がった。心の奥が重たくて痛い。それでもやっぱり涙は出なかった。
「そんな言葉が聞きたかったんじゃねーっつーの」
じゃあなにを聞きたかったのか。
考えたけどわからなかった。
「……ン…、ヒョン!」
「!」
ハッと目を覚ました。心地よく揺れる車内。変な姿勢で寝ていたのか、首がちょっと痛かった。
「ジヨンヒョン、大丈夫ですか?」
「……あー…、なんか寝言言ってた?」
「あ、いえ。ただすごい魘されてたので、つい…」
隣に座るテソンの眉が情けないほど下がる。兄を心配する弟のこの顔は、出会ったときからあまり成長してないように見える。
「………そう」
長い夢を見ていた気がする。携帯で時間を見れば、ほんの20分くらいの睡眠だったというのに。とても長くて、酷く、懐かしい夢だった。
「ごめんね、心配かけて。ありがとう」
「いやいや、それよりも…本当に大丈夫ですか?今にも泣きそうな顔してましたよ」
「泣きそう?俺が?」
思わず頬を触る。そこには伝う涙…なんてものはなく。
「ええ、それはもうすごく…」
「………はは、それは気のせいだよ」
フッと小さく笑った。テソンはまだ納得のいっていない顔をしていたけど、それ以上は何も言ってこなかった。よいしょ、と軽く座り直して、窓の外を眺めた。
俺はあの日から、初めてトイレで彼に触れた日から、うまく泣けなくなった。悲しいことも感動することもたくさん経験してきたのに、涙が一粒も零れないのだ。
懐かしい夢だ。もう何年も、なのについ最近のようにも感じた。俺がトップに触れるとき、必ず彼は泣いていた。大きくて綺麗な瞳から、涙を零し続けていた。
「……俺は、泣かないよ」
小さく呟く。まるで俺の分まで泣いているように、彼は泣いていた。
「…………俺は、ね」
俺が涙を流せないでいるのは、きっとこの世界のどこかで俺の代わりに君が泣いている証拠だね。
夢を見たせいなのか、そういう運命だったのか。普段運命なんてものあまり信じないけど、それでもどこか信じたくなるほど、最近の俺はトップのことばかり考えていた。
彼がBIGBANGを抜けて何日、何ヶ月、何年経つのだろう。突然姿を消して、経歴からBIGBANGを消し去ったあと日から。俺の前から忽然と姿を消した日から。
今どこでなにをしているの。
その瞳に何をうつして、何を考えているの。
心は不安定になってない?
「…どうして、俺の前から姿を消したの」
連絡をとりたいと、会いたいと思い続けてそれも叶わず。繋がっていたSNSも切れてしまって、連絡の方法が分からないまま、そして行動を起こせぬまま、ズルズルと時が経ちすぎてしまった。
久しぶりに携帯の電話帳を開く。そこにはいつまでも消せないでいた電話番号。受話器のボタンをタップしようとする指が震える。
着信拒否されていたら、それこそ全て終わりな気がして、確認する勇気もなかった。
「………ふぅ」
拒否されていたならされていたで、それこそ諦めがつくのではないか。いい機会だと思った。どうせ電話をかけてもかけなくても、俺はあの日から一歩も前へ進めていないのだから。
覚悟を決め、画面をタップする。永遠のように感じる呼出音が、唐突に止まった。
「…っ、」
思わず体が固まって、口から変な息が漏れた。のも束の間、無機質な音声が流れる。
『ただいま電話に出ることができません。ピーッという発信音の後に…』
留守電に繋がるということは、着信拒否はされていないということなのだろうか。そういったことにはあまり詳しくない。が、そうに違いない。そう思うとなんだか急にいてもたってもいられなくて、そわそわして、いろんな感情がごちゃ混ぜになって、思わず立ち上がって1人部屋をぐるぐると歩いた。
ピーッという音に我に返る。そうだ、何か話さなければ。
「ぇ、あ……た、タプヒョン、」
久しぶり、元気にしてた?俺のこと覚えてる?ジヨンだよ、ジヨン。なんか急に声が聞きたくなってさ。どうしてるかなって思ってかけてみたんだけど今忙しいかな。
なにしてた?俺は部屋にいたよ。最近どうかな。風邪ひいたりしてない?仕事忙しくやってるかな。ニュースとかではよく見るんだけど。
言いたいことが頭の中をあふれて仕方ないのに、どれ1つ言葉にならない。沈黙のまま時だけが過ぎる。留守電て何秒間なんだっけ?今何秒たった?残りどれくらい?
「……………あいたい」
気づいたら終わっていた。時間切れになったのか、自ら切ったのかわからなかった。
「はーーぁ…」
思わず大きなため息をついてソファに転がった。名前呼んで、しばらく黙って、最後に会いたいって。
「……あーあ。情けねー」
話したいことはたくさんあったはずなのに。情けない。実に情けない。でも、情けないほど、君に会いたい。
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