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星之村の村人は数えただけでも数10人。一人一人の魔力はスカイと同じかそれ以下だが,これだけの人数が居れば十分だ。
「みんなで聖禾様を見つけるぞー!」
「おー!」
魔素中毒にならないようハンカチで口を押える。どんどんあの大木へと向かう。その間、禍々しい魔力に誘われてきた魔物達を村の皆さんに倒して貰った。村から大木まではそれほど距離はないのにすごく遠いように感じてしまう。
「ほひ、ひんは、ほほにはひょふを!(よし、みんな、ココに魔力を!)」
『はひ!(はい!)』
スカイの掛け声でみんなが一斉に魔力を込めた。が、大木はより魔力が禍々しくなった。
「ははは、はひょふをふひほっへふの!?(まさか、魔力を吸い取ってるの!?)」
「ほふひはひは…(そうみたいだ…)」
村の子供たちはどんどん怯えていく。私だって怖い。魔力を吸う木なんて見たことがない。
「あ!ふはは!(あぁ!村が!)」
禍々しい魔力の妖気は村の方へやっていく。
そして、衝撃音と共に妖気は一人の男の子の元に落ちた。
「大丈夫!?」
「あ、ぁ。」
禍々しい魔力はなくなり、なにも変わらない空気、空になった。
「待ってね、今回復をかけるから!」
こんな子供に妖気が入ると身体を乗っ取られるかもしれない。
「高回復(ハイヒール)!」
徐々に身体の模様が無くなってくる。
「零!大丈夫か、!」
「うん。俺はもう大丈夫。」
良かった。この子達にお願いをしておいて,助けることができなかったら私はどうなっていたことか。
そして,あの子が立ち上がった時,緑色の門が大木から現れた。これが私たちが探していた聖禾様がいる場所。
「村の皆様,本当にありがとうございました。」
「いえいえ。」
そして,私たちは村の人たちと別れ,二人で門をくぐった。
この出来事が後に伝説として語り継がれることをこのときの私は知る由もなかった。
「エアリス…これは…。」
「ええ、わかってる。」
門の先にあったのは怪しげな研究施設だった。全体的に暗く、一つ一つのカプセルにはナニカが入ってる。今にも動き出しそうで怖い。
果たしてこんな場所に聖禾様はいらっしゃるのか。
「エアリス、気を付けて。ナニカいる。」
獣のような足音が奥からずしずしと聞こえ、私達は警戒態勢にはいる。
「おやおや、客人ですか?一体どうやって入ってきたのか。ふふ、研究しがいがありますねぇ。」
如何にも研究者だという風な白衣を身に纏った髪の長い男の人。私はこういう男が嫌いだ。
「貴方はだれ?」
「おやぁ、不法侵入しておいてそのたいどですか。」
「誰って聞いてるの。」
「はは、コワイコワイ。」
そして、私は短剣をそいつに向けて走った。
「お嬢ちゃん、調子に乗るなよ。」
行動がはやい。私の攻撃を避けて、魔法をかけるなんて。
こいつはただの研究者じゃない。
「おい!魔化物狼(ウルフリア)!お相手してやれ!」
あの足音はこのカイブツのものだった。