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毎日が平和で、幸せで嬉しいと、渡辺は、老婆の墓の前で、手を合わせる。ただ、老婆のことはまだ、悲しくて来れば泣く。

渡辺の、携帯に電話がかかってきた。

出ると、相手は、樋口志奈子。

田代さんの孫。




渡辺ーどうやって、番号知りました?

樋口ーお婆ちゃんの家に、メモ書きがあって。坊って渡辺さんのことだと、田代のお婆ちゃんから聞いて。

渡辺ー何か用事でも?

樋口ーお婆ちゃんの家、もう誰もいないから、壊すんです。

渡辺ーえっ?

樋口ー解体工事するんです。来週末から。

渡辺ー1度行きます。





あの家が無くなる。目黒はまだ仕事だろうか?

電話してみると、今終わった、晩ご飯の材料買って帰るからスーパーに寄るとのこと。





渡辺ーお婆ちゃんの家、解体するんだって。

目黒ーそう、行きたいんだね?

渡辺ー工事が、来週末からなんだ。それまでには行きたい。

目黒ー俺、今マネさんと、一緒だから、スケジュール調整してもらうよ。家で待ってる、気をつけて帰ってきてね。




渡辺は、墓を振り返る。

また、泣けてくる。家が無くなる。この墓しか老婆を感じられなくなる。





渡辺ーただいま。

目黒ーおかえり。

渡辺ー…。

目黒ーおいで。

渡辺ーんっんっ〜。

目黒ー寂しいね。

渡辺ーあの、あのね。

目黒ーん、ゆっくり。

渡辺ーあの家、欲しい。

目黒ーだめ。

渡辺ー何で⁈

目黒ーあの海のそばにあるから。

渡辺ー…。

目黒ーだからだめ。

渡辺ー…分かった。

目黒ーごめんね。

渡辺ーんっ〜んっ。




目黒は、老婆の家の近くの海が嫌い。渡辺を連れて行くから。家が無くなるのは、寂しいけど、あの海があるから、買取は困る。

渡辺も、分かっている。2人で、来週の火曜日に行けることになった。渡辺は、午前中仕事だから、昼から向かう。





火曜日。





渡辺ー行ってくる。

目黒ー仕事終わったら電話して?迎えに行くから。

渡辺ーん。





NG出さないで終わりたい。

早く行きたい。渡辺は、集中して収録に臨む。





渡辺ー目黒?終わった。

目黒ーもう、駐車場にいる。

渡辺ーすぐ行く。

目黒ー大丈夫、気をつけてゆっくりでいいから。




駐車場で待っていると、渡辺が走って来る。

助手席に座ってホッとひと息。

目黒が、コーヒーを差し出す。ありがたくいただきゆっくり飲む。




目黒ー行くよ?

渡辺ーん。

目黒ーお通夜以来だね。

渡辺ーんっ。

目黒ー仕事終わりで、疲れてたら、寝てていいから。

渡辺ー大丈夫。

目黒ー田代さんには、連絡したから。家の鍵借りないとね。

渡辺ー樋口志奈子は?

目黒ー仕事中。

渡辺ー教えてくれて嬉しいけど、やっぱり会いたくない。

目黒ーん、大丈夫。

渡辺ー俺、やなやつ?

目黒ーいや?ところで、翔太くん、お婆ちゃんの名前知ってるの?

渡辺ーえっ!知らない。

目黒ー表札掛かってるのに?

渡辺ーだって、お婆ちゃん。

目黒ー出会ったときも?

渡辺ーん、お婆ちゃん。

目黒ー芝田由乃さん。

渡辺ーお婆ちゃん?

目黒ーそう。

渡辺ーどんな字?

目黒ーこう。これで、よしのさん。

渡辺ー芝田由乃さん。いや、お婆ちゃん!

目黒ーふふふ。




出会ってだいぶ経つのに、亡くなっても、わりと時間経つのに全然知らなかった。

眉間にシワ寄せ、ぶつぶつ言ってる。




久しぶりに、老婆の家に来た。

今にも玄関戸を開けて、「よう来たの、坊」と声が聞こえてきそう。少し待ってると、田代さんがやって来た。




田代ー遠いとこ、すまんね。

目黒ー解体はいつから?

田代ー金曜日から。

目黒ーお邪魔していいですか?

田代ー何か欲しいもんあったら、持って帰んなせ?

渡辺ーいいの?

田代ー全部壊してしまうけ、持って帰ってくれたら、婆も喜ぶ。

目黒ーじゃあ、ちょっと。鍵はまた持って行きます。





人が住まなくなった家は、あっという間にカビ臭くなって、渡辺は窓を開ける。

2人でゆっくり見て回る。持って帰るものはあるだろうか?





渡辺ー目黒。

目黒ーん?

渡辺ーこれ、だめかなぁ。

目黒ー花瓶?手作りみたいだね。いい味出してる。田代さんに聞いてみる。





渡辺は、花瓶を持って底を見た。そこには、「3ーA 芝田正志」とある。

息子さんのだ。息子さんが作った花瓶だ。





目黒ー持って帰る?

渡辺ーいいのかな?

目黒ーいいと思うよ。

渡辺ー田代さん、なんて?

目黒ー是非、もらってやってくださいって。

渡辺ーお婆ちゃん、大事にしてたんだね。ん、もらう。

目黒ーそれだけでいい?

渡辺ーお前は?

目黒ー翔太くんだけでいいよ。

渡辺ーん。




そんなに大きな花瓶じゃない。

細長いけど長すぎることもない。帰りに百合を1本買って家に帰る。




目黒ーダイニングテーブルに置くね。

渡辺ーん、香りがしていい。

目黒ー百合は香り強いね。

渡辺ー目黒…。

目黒ーいいの?

渡辺ー百合の香りの中で…。

目黒ーん、ソファに行こう。




1本の百合、花が2つついている。どちらも、開いてる。

家の中が香りに包まれる。





渡辺ーはぁ…いい…今日は…もたない。




目黒ーふふふ、いいよ。





渡辺ーはぁはぁ…いい…いい…。





目黒ー締めつけ、キッツ〜。





渡辺ーはぁ…はぁ…あっ…。





渡辺ーかじって…むね…はぁ…。





渡辺ーくる…もう…くる……やっ…まだ…。




目黒ー何度でも。





渡辺ーはぁはぁ…いい?…いい?…はぁ…んっんっ〜。





小休止。





百合の香りが強い中。

2人は、もう一度抱き合う。渡辺の目には涙。目黒が優しく舐めてくれる。





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コメント

10

ユーザー

お婆ちゃんの家がなくなるのは寂しいね🥺 買取たいって思うのはわかるけど、あの家の側の海は… めめには怖い海だよね…

ユーザー
ユーザー

翔太君にはだいじな場所だけど 目黒君には辛い場所だよね。 持って帰るのが翔太だけって刹那かったわ。

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