この作品はいかがでしたか?
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朝から憂鬱だ。今日こそは決着をつける。
毎朝、有佳は玄関まで見送ってくれる
「今夜は遅くなるから寝ていていいよ、クスリが効かないようなら他の病医院へ行ってみるといいよ」
「うん、そうする」
今夜のことを考えると仕事が手につかない。このままでは成績も落ちていくし家庭でも些細なことに神経質になってしまう。
どこで誰に見られてしまうかわからないから、目的地に着くまでの行動はこの関係になったときに決めていた。
Hホテルは初めて二人が使ったホテルで、この近くには大型複合施設がありそこのフードコートに向う。
ざっと見渡すとすでに彼女が到着していた。
彼女が気付くように横を通過して複合施設を出てホテルへ向かう。
途中、ショーウィンドウを見ると後ろから彼女がついてきているのが分る。
廻りを確認してからホテルに入ると彼女も入ってきて腕に抱きついてくる。
いつも最初は彼女の強い香水に顔をしかめたくなるが、不思議と少しすれば気にならなくなる。
「賢也くん会いたかった、部屋はこれにしよう」
ランプの消えていない部屋のリストから壁やベッド、照明までが赤い部屋のボタンを押した。
「わぁ~真っ赤ね、やっぱり赤って興奮する色なのかしら、お風呂のお湯を入れてくるね」
彼女は荷物をベッドの脇に置くとバスルームに消えていった。
オレはどう話を持って行くかをソファに座って考えていた。
「賢也くんどうしたの?」
バスルームから下着姿でソファに座る俺の前に跪くとスラックスのファスナーを下ろし始めた。
「大森さんちょっと待って、少し話がしたいんだ」
「いいよ、話をしていて」
そう言いながら彼女は、まだ柔らかく小さいモノを口に含み舌で刺激を与えていく。
ダメだと思いながらも、あらがえなかった
イク寸前で止められ「健也くん、今日はお風呂でしてあげる」と言われ、バスルームに移動して奉仕してもらった。
結局ベッドで一緒に絶頂に達し、始末をしていると
「ソープごっこしてみたかったの、気持ちよかったでしょ?奥さんはこんなことしてくれないでしょ?」
「大森さんって彼氏とどうなってるの?」
「あまり会えないし、身体の相性は賢也くんの方がいいし、賢也くんもそう思うでしょ」
「だから、やっぱり私達が一緒になるべきなのよ」
言わないと・・・
「そのことだけど」
「私、別れないよ。裏切ったら桑原部長に言うから」
え?部長?どうしてこんなことに・・・
「早く奥さんと離婚して」
何で、脅されてる?
「もう少し待って欲しい」
そう言うだけで精一杯だった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
二ヶ月前のあの夜に戻りたい。
二次会に出れば良かった、残業せず田中と斉藤と共に休日出勤をすれば良かった。
彼女の痕跡を洗い流していく。
どうして、何で部長にバラすとか・・・
部長に話せば自分だって不利になるだろう、既婚者を誘惑したんだから・・・
いや、そんな風に言うわけが無い。どうせオレが誘ったとでも言うのかも知れない
丹念に身体を洗ったあといつものようにベッドルームに戻って肌着とスウェットを着てベッドに入った。
「賢也」
「ごめん、起こしちゃった?体調はどう?」
「うん、平気・・・だから・・・しよ?」
いつもは断るのに、どうしてこんな時に・・・
あんなことをしてきた後なのに・・・
「ごめん、疲れちゃって」
「そうだよね、ごめんね」
そう言うと有佳はベッドルームを出て行った
ごめん、ごめん、ごめん
やっぱり、有佳を追いかけようか
抱きしめてキスをしてそして・・・
いや、ダメだ
さっきまで彼女の中に入っていたモノを有佳に入れることはできない。
明日はどこかに誘ってみよう。
「あのさ、今日はどこかにでかけない?」
「ご飯食べたら、友人と待ち合わせしているから、賢也は好きにしていていいよ」
心なしか好きにしていいという部分を強調された気がする。
昨夜のことがひっかかってるんだろうか。
自分が、彼女を抱いたあとに有佳を抱けないと思っているだけで、そんなのは自己満足にすぎない
そんな自己満足で有佳を傷つけてしまっているのは本末転倒だ。
もうそんな考え方をやめて、有佳が求めてくれたなら素直に応じよう。
無性に有佳がほしい、
ソファに座りテレビ画面を見つめる有佳を見つめる。一目惚れから結婚をしてオレの妻になってくれた。今だって有佳を誰よりも愛してるし幸せにしたいと思っている。
視線を感じたのか有佳が振り向いた所で肩を抱き寄せて顔を寄せていこうとするも何かがつかえている、有佳がオレの胸を手で押さえていた。
「体調が悪いから無理、しばらく書斎で一人で寝るね」
やはり昨夜の事が尾を引いているんだろうか、先週もそうだった。
「それなら、オレが書斎で寝るよ。有佳がベッドで寝るといい」
「大丈夫、言っていなかったけど書斎にソファベッドを入れたの」
「ソファベッド?いつ買ったの?」
金曜日の夜、ベッドルームから出て行った有佳は書斎で寝ていたのか?
なんでわざわざ・・・胸がざわつく
「ダメだった?そうよね、毎週金曜日に遅くまで残業してくれているのに無駄遣いとかダメだったよね。ごめんなさい」
何故わざわざそんな話を持ち出すんだ?
オレは疑われている?
動悸がする
声が震えないようにはっきりとした発音で「そんなこと無いよ」とだけ答えた。
疑われているのかもしれないと思うと、有佳の言動が気になってくる。
確かに体調も悪そうだが、オレが有佳を不安にさせているせいで胃が荒れているのかもしれない。
簡単につまめるように有佳がサンドウィッチを作ってリビングのテーブルに置いた。
テレビでは情報番組が愛妻家で売っている俳優の不倫問題を話題にしていた。
なるべくなら避けたいが、センセーショナルな話題だったためなかなか終わらない。
疑われているのに、ここで立ち上がるのはマズい気がして素知らぬふりで座っていると
「浮気をするのって、奥さんの事はどうでもよくなったってことなのかな?浮気相手のことが好きなら、もう元に戻らないよね。そうでしょう賢也?」
喉から心臓が出てきそうだった。
声がうわずらないように一度つばを飲み込む。
「え!!いや・・オレは・・・・浮気をしても奥さんを好きって事もあるし」
明らかに動揺したようになってしまったが、オレは有佳が好きだ、そのことには嘘は無い。
「ふ~ん、でも私はダメかも。同じ空間にもいられないかも」
もう無理だ。 一度深呼吸がしたい。
「そうなんだ・・・何か飲む?淹れてくるよ」
「いらない」
有佳の返事を聞く前に歩き出していた。
なんとかしないと・・・
今はまだ怪しまれているだけだろう、本当にオレが浮気をしていることがバレてしまったら有佳はもうオレの隣にいてくれない。
今度こそ本当になんとかしないと・・・
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