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〜加賀美side〜
帰りが遅くなってしまった、
急いで帰ら、な……
…どこだ、ここ。
目の前には、古い店がある。
店主らしき人もいる。
道を聞こう。
カラン、コロン
「…おや。珍しいね。」
見た目からしてかなり長い年を生きているように見える。
「あの、ここは…?」
「ここかい?…街外れの店さ。あぁ、それと。私はここの店主だよ。」
「……君なら、『彼』を預けられるかもしれない。」
「彼、というのは…?」
「……着いておいで。」
そういい店主に着いて行くと、…そこには紫髪の、目を閉じた美しい人形が座っていた。
見た目からして、高校生だろうか。
「彼の名は刀也だ。…綺麗だろう?」
「……えぇ、とても。」
店主は満足そうに頷いた。
「…彼を引き取ってくれないか?」
「…え、?」
わたくし、が…?
「しかし、よろしいのですか…?」
「あぁ。…この子も、ずっと私とは嫌だろうからね。…お金はいらないよ。」
「うーん…、分かりました。」
半ば強引だったと思うが、私はこの刀也さんを持って帰った。
…なんとなく、さんは付けた。なんとなく。
…彼は抱き枕にちょうどよかった。
不思議と人間のように肌は柔らかく、髪はさらさらで、ほのかに柑橘系の匂いがして、体も柔らかくしっ…かり…し…て…
…待て。これでは人間じゃないか。
……もう一度、刀也さんの姿を見た。
………そこには、頬を桜色に染めた、あの人形…刀也さんがいた。…エメラルド色の瞳が美しい。
「…その…主……?」
主、と呼ばれ、吹きそうになった。
「あ、あるじぃ!?」
「うるさ。」
「急な毒舌」
「僕は人形ですよ。…でも、人の暖かさに触れたり、抱きしめられたりしたらこの通り。人間になるんです。」
「えぇ…?」
「久しぶりに人間になりましたよ。…どうしたんですか主。その間抜け面は。」
「間抜け面って…酷く無いですか…??」
刀也さんはんははっ、と鈴を転がしたように笑う。
いや何が面白いんだ。
「改めまして。加賀美インダストリアル代表取締役、加賀美ハヤトです。」
「え、社長じゃん。すごい人じゃん。」
「そんなにか……?」
「まぁ僕はご存知の通り、刀也。剣持刀也です」
「けんもち…??」
「ェ、苗字教わって無かったんですか?」
「そうですね…名前しかしりませんでした。」
「…そうですか。…というか、珍しいですね。僕を買うなんて。…いや、…無理矢理押し付けられた?」
「…ハイ」
「あー…すいません、あの店主そういうところあるんですよね……でも、ごめんなさい。僕は返品不可ですので。」
「あ、はい。わかってます。」
「わかってるんだ」
「…とりあえず、今日は寝ましょう、主。」
「あるじ…慣れないですね…」
「慣れろ」
「はい」
コメント
1件
うわ、めっちゃ好みの始まり方…!加賀美さんが人形を引き取るところから、まさか刀也さんが動き出すとは思わなくて、ちょっと鳥肌立った。しかも社長と人形の掛け合いが軽快で、毒舌なのに可愛い。柑橘系の匂いとか、抱き心地の描写が生々しくて、もうこの2人の関係性が気になって仕方ないです。続き、絶対読みたい…!
黒神 鈴
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#東方project
黒神 鈴
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