テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
放課後。
羅刹学園の訓練場に、いつもとは違う緊張感が漂っていた。
玲は教室で教師から告げられた言葉を思い返していた。
「今回の任務は、近隣区域に現れた桃太郎機関の捜索だ」
初めての実戦。
訓練とは違う。
相手は本気でこちらを倒しにくる。
「……怖くない」
玲は自分に言い聞かせるように呟いた。
「嘘つけ」
隣から声がする。
「……四季」
「顔、めちゃくちゃ緊張してるぞ」
「してない」
「してる」
「してない」
「してるって」
「……うるさい」
四季が笑う。
「でも、俺がいるから大丈夫だろ」
玲は四季を見る。
「……なんでそんな自信あるんだよ」
「知らねぇ!」
「お前な……」
「でも、玲より先に倒れるつもりはないから」
その言葉に、玲は少しだけ目を細めた。
「……俺も」
「ん?」
「お前より先には倒れない」
四季が一瞬黙る。
そして――。
「それ、いいな!」
拳を軽く突き出してくる。
玲も拳を合わせた。
「行こう」
「おう!」
――数十分後。
二人は指定された区域へ到着した。
静かだった。
人の気配がない。
「……静かすぎない?」
玲が周囲を見る。
「確かにな」
四季も警戒する。
その瞬間。
#ちょい死ネタ
綾音
12
𝚈𝚄𝙼𝙴𝙽𝙾
158
317
アウラウラ
519
「下!」
四季が叫んだ。
玲が飛び退く。
地面が大きく抉れた。
「……っ!」
「来たぞ!」
建物の影から、桃太郎機関の人間が現れる。
「鬼か」
その声を聞いた瞬間、玲の身体が強張った。
「……俺たちを狙ってる」
「当たり前だろ」
四季が前に出る。
「玲、下がってろ」
「嫌だ」
「危ないぞ」
「俺も戦う」
四季が一瞬だけ玲を見る。
「……分かった」
敵が動く。
四季も同時に駆け出した。
拳と攻撃がぶつかる。
玲はその隙を狙い、血を操る。
「――血蝕解放」
赤い血が形を変える。
「いけ……!」
血が一直線に伸び、敵の動きを止める。
「今!」
四季が飛び込む。
しかし――。
「甘い!」
敵の攻撃が四季へ向かう。
「四季!」
玲が咄嗟に血を盾のように広げる。
攻撃を防ぐ。
「玲!」
「大丈夫!」
「助かった!」
「礼は後!」
二人は同時に敵へ向かう。
四季が前から攻める。
玲が後ろから援護する。
「右!」
「分かった!」
「今!」
「おう!」
二人の動きが、少しずつ噛み合っていく。
まるで最初から一緒に戦っていたかのように。
敵が玲へ向きを変えた。
「黒瀬玲……!」
「……!」
攻撃が迫る。
玲は避けようとする。
しかし、足が動かない。
「玲!」
四季が玲の前へ飛び込んだ。
「四季!」
攻撃を受け止める。
「……っ!」
四季が膝をつく。
「四季!」
玲の頭が真っ白になる。
「お前……!」
怒りが込み上げる。
血が一気に溢れ出した。
「……俺の仲間に」
血が地面を走る。
「手ぇ出すな……!」
玲の力が敵を押さえ込む。
その隙に四季が立ち上がった。
「玲!」
「……!」
「一緒にやるぞ!」
玲は四季を見る。
「……ああ!」
二人は同時に駆け出した。
最後の一撃。
敵が倒れる。
静寂が戻った。
「……終わった」
玲が息を吐く。
「やったな」
四季が笑う。
玲も小さく笑った。
「……四季」
「ん?」
「さっき、俺を庇っただろ」
「そうだっけ?」
「誤魔化すな」
「別にいいだろ」
四季は前を向いた。
「仲間だから」
玲はその言葉を聞いて、少し黙る。
「……そっか」
「おう」
帰り道。
二人は並んで歩いていた。
今までとは違う。
ただ一緒にいるだけじゃない。
戦いの中で、互いの背中を預けた。
玲は思った。
――こいつになら。
自分の背中を任せてもいい。
そして四季もまた、同じことを思っていた。
「なぁ、玲」
「何?」
「次も一緒に行こうぜ」
「……もちろん」
二人の距離は、少しずつ近づいていた。
コメント
1件
読ませていただきました! 初めての実戦、二人の息が少しずつ合っていく感じがすごく良かったです。「自分の背中を任せてもいい」って玲がようやく思えるようになったのが、たった一つの任務の中での大きな変化でじんときました。四季の「仲間だから」の言い方も、軽くてかっこよくて好きです。次も一緒に行く約束、楽しみにしてますね!