(咲花視点)
「じゃ、またね。」(咲)「うん。また明日ね!」友達と別れて田んぼの間の小道に入る。この道をまっすぐ行って曲がったところに私の家がある。私と琴葉とおばあちゃんの3人で暮らしている古民家だ。あ。ふと見ると少し遠くに琴葉が見えた。7年生(中学生)になる前は友達みんなで仲良く登下校していたのに、こうやって少しずつ離れていってこの村を出て行って、考えるとすごく寂しくなる。私は何も変わってほしくないな。(咲)「琴葉ー!!」私はダッシュで琴葉に飛びついた。(琴)「うわぁ!って、咲花。すぐ人に抱きつかないで。」(咲)「えへへ♪」(琴)「まったく、子供っぽいんだから。」私たちはそんなことをしながら家へと帰った。
(咲)「たっだいまー!」(琴)「ただいまー。」家に入るとおばあちゃんが出迎えてくれた。「あら、おかえり琴ちゃん咲ちゃん。もうご飯はできてるよ。」おばあちゃんはそう言って優しく微笑んだ。私と琴葉は手を洗ってちゃぶ台につきご飯を食べ始めた。うん!美味しい!私たちがパクパク食べていると隣で新聞を読んでいたおばあちゃんがくもった表情をした。「先日亡くなったタエさん、お葬式の直前にご遺体が無くなってしまったそうよ。」え、嘘、そんなのあり得ない。(琴)「きっと何かの間違いだよ。きっとね、」「そうねぇ、そう祈りましょう。」、、、。なんだか気まずい雰囲気になってしまった。(咲)「そ、そういえばそろそろ鹿羽祭じゃない?」「そういえばそうねぇ。今年も浴衣を着ていくのかい?」(咲)「うん!もちろん!ねっ!琴葉!」(琴)「え?あ、うん。」「そうかい。じゃあ着付けはおばあちゃんに任せなさいね!」(咲)「うん!ありがとう!」私とおばあちゃんが話をしていると琴葉が立ち上がってどこかへ行く準備を始めた。(咲)「琴葉、どこか行くの?」(琴)「うん。古本屋に本を返してくるの。」琴葉はカバンを持って玄関に向かった。「琴ちゃん、気をつけていってらっしゃいね。」(琴)「うん!ありがとう。」そう言って琴葉は本を返しにいった。私もご飯を口の中に放り込み食器を片付けて部屋に戻った。
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