テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
すいか
61,926
・キャラ崩壊注意(特に🦈さんが情けないです)(当社比)
・ちょっとグダグダ
・キャラの濃いモブもいます
朝。まずは昨日分からなかったことをノートにまとめた。もしかしたら何か抜けているかもしれないけれど、大体は書き起こせたと思う。
「あとは…スマイルさんの、謎の声と、僕の、あの時腫れた股について…」
帰ってすぐ寝たが、朝起きた時にはもう腫れはなくなっていた。
(僕の身体、どうしちゃったんだろ…)
おもむろに、部屋の外からノックが響いた。すぐに扉が開かれ
「玄武様。朱雀様がお見えです」
「あ、すぐ行きますと伝えてください!」
「おはよう。ピヤノ」
「おはようございます…あの、珍しいですね。アキラさん自ら迎えに来るなんて」
「うん。たまにはいいかなって」
じゃ、行こうか。なんて言って先を歩く。僕はそれに着いていき
「久しぶりに飛ぼっかなーって。ほら、乗って」
建物を出てすぐに神獣姿になったアキラさんをまじまじと眺める。
「…アキラさん、何か急いでます?」
「う゛…ちょっと話したいことがあるんだよね。ただ機密情報だから、誰もいない空で話したいんだ」
なるほど。でも、産まれてからまだ日の浅い僕が機密情報なんて聞いていいのか?いや、まだ理解できないって判断されてなのかな。
「分かりました。ならお言葉に甘えます」
僕が背中に乗ると、ゆっくりと空を飛んだ。すぐに
「ピヤノに名前を付けた日に襲ってきたやつら、覚えてる?」
「?はい。攫おうとしてきた人間達ですよね」
「そうそう。スマイルがね、えっと…拷問して、ある情報を手に入れたんだ」
「ちょっと物騒な聞き方?」
「ピヤノが大きくなったらまた、ね。とにかく、ピヤノにも知っててほしい情報があるんだ」
知っててほしい情報。そして、機密。かなり大事なことなんだろうと察せられるそれを、固唾を飲んで待つ。
「前々から、四神を良く思ってない集団がいたんだけど、最近大きな後ろ盾を手に入れたらしくてさ」
僕はメモを開いた。この国の偉さは、四神・元老院、東の富豪や西の隊長クラスの上級民、その他官僚、次に民たちの順番になっていることを、昨日の見学で見聞きした。だから
「後ろ盾…そう言えるくらいの立場はやはり富豪・隊長以上、ということですか?」
「ピヤノもうそこまで考えられるの?!さすが玄武だなぁ…。で、四神は勿論違う。だから、今シャークんとスマイルが上級民をそれぞれ調べてくれてるんだ。でも、結果が出るまでどれだけかかるか分かんないし、その集団の活動がかなり活発になってるから、ピヤノも気をつけて」
話はおしまーい。と言いながら地上に降り立った。
「あ、機密情報だから内密にね?」
「はい!」
「じゃ、中で質問タイムにしよっか。まとめてきたんだよね?」
僕は該当ページ…見開き丸々疑問や考察で埋めつくされた、昨日のまとめをアキラさんに見せる。
「おおwやる気十分だねー」
「さ、なんでも聞いて。時間はたくさんあるから」
何から聞こう…いや。まず言うべきことがあるだろピヤノ。
「実は昨日_」
僕は昨夜、スマイルさんに本を返しに一人で西に行ったこと、人間がスマイルさんにのしかかり何かをしている影を見たこと、スマイルさんの普段とは違う声と僕の身体の変化について包み隠さずすべて話した。すると
「言いたいことは色々あるけど、まず」
持っていた扇子で頭を軽く叩かれた。
「こら!夜遅くに一人で出歩いちゃダメでしょ!心配するから!!」
アキラさんはすぐに扇子を開いて口元を隠し
「スマイルのそれはー…あー…俺とスマイルの話から始めようかな」
「アキラさんとスマイルさん?」
「そ。俺とスマイルの…特性、っていうかな」
先祖返り。それは、初代四神の生まれ変わりと言って差し支えのない存在。最初の神獣、神からの聖なる使いから直接産まれた彼女達は、最も力が強いと言われている。武力も、知力も、統率力も。だが何代も代替わりをした結果、その力は徐々に薄まっていった。そんな折に強力な力を持って生まれた玄武がいた。彼はこの時代でも未だに最高の博士と呼ばれるほどの功績をいくつも残した。その最たる功績が、妖魔が負の感情から生まれてくるものであると発見したことだった。
「あの、それが謎の声と何の関係が…?」
「…問題です!初代四神の性別はなーんだ」
「えっと、彼女達と言っていたので、女性?」
ピンポーン。まあ、赤ちゃんはどうやったら出来るのかとかはまたの機会に話すとして…大前提として、俺ら四神って神聖な感じするから跡取りとか好きに作れそうじゃん?それがね、俺らも普通に人や動物と同じ生殖方法なんだよね。で、子供を作るには…まあ、大雑把に言えば男性の陰茎と女性の子宮があればいいわけ。それで
「初代四神の力だけじゃなくて生殖器の性別まで受け継いでるから、俺とスマイルは身体的特徴は男だけど、あるのは子宮なんだ」
「…結局、あの声は」
「それは大きくなったら分かるから!今はよく分かんなくてもメモっといて!あとピヤノの身体も正常だから!生理現象生理現象!」
その後も分からないことは質問して、それをノートにメモしてを繰り返した。大体まとめるとこんな感じだろう。
妖魔ってなんですか?
主に人間の怒りや妬み、よくない感情が集まってできる精神を汚染する存在のこと。種類は多種多様で、未だに解明できていない存在もいるらしく、僕の研究対象でもある。
南の街の暑さについて
先祖返りの影響で常に体内で炎が蠢いており、肌を出すと少しだけ漏れ出て気温が上がってしまうらしい。(あくまでアキラさんの経験則で、確証はないらしい)
・・・
「ああそうだ。先祖返りの特徴もう一つあるんだった」
「特徴、ですか?」
「うん。実はね、初代の力ってあまりに強すぎるから、今の四神じゃ制御出来ないんだよね。例えば俺は、感情が大きく動くと体の一部が発火しちゃう」
「じゃあ、スマイルさんにも?」
「うん。スマイルは周期的なものだから、山に引きこもってる時点であんま関係ないんだけど、理性なく暴れ回っちゃうらしい。だから、次の日にはスマイルん家の周りの木や竹が全部なぎ倒されてるんよw」
アキラさんはたまに発火しちゃって、スマイルさんは周期的に暴れちゃう。メモをとっておこう。
「ありがとうございました。もう疑問点はないです」
「いやーピヤノは吸収早いなー。あと教えられるとしたら護身術くらいかなー」
「え、まだ学び始めて3日ですよね?」
「いやホントに。明日基本的な武術教えるから、それ終わったら北の人達に研究所のこととか、医学とか教えてもらえばもう一人前でいい気がするなー」
アキラさんは何か思い出したのか、紙を取り出し文を書き始めた。
「ついでなんだけどピヤノ。帰る途中で研究所の誰かにこの手紙渡してくれない?」
「誰でもいいんですか?」
「誰でもいいよ」
分かりましたと返事を返し、いつもより少し早いが、僕は帰ることにした。
「…」
「あ、シャークん」
窓から軽やかに入ってきたシャークんは、アキラの肩にぐりぐりと頭を擦り付け、後ろから抱きしめる。
「んふwなぁにシャークん?」
アキラはシャークんの頭を撫でながら問いかける。
「伝えなかったんだ?」
ピタ、と頭を撫でる手が止まる。
「…先祖返りは、短命なこと」
シャークんのその言葉を聞いたアキラは、口元に笑みを湛えて振り返った。
「じゃあ伝えた方がよかった?俺とスマイルは先祖返りだから、あと数年しか生きられないんだーなんて」
「そうは言わないけど…」
「幼いピヤノには酷でしょ」
シャークんは黙り込み、今度は正面から抱きしめた。
「にしてもやけにくっつくね。マーキング?」
「…ピヤノの匂いするから」
「シャークん、もしかして嫉妬?w」
「悪いかよ」
「別にぃ〜?」
「今日、この後は?」
「なんもないよ」
それを聞いたシャークんは、噛み付くようにキスをした。しかし
「こら。まだ聖殿だから、人来ちゃう」
シャークんは不服そうな顔をしながらアキラから離れ
「え、ちょ、は?な、何してんのシャークん?」
「いや。なら俺かアキラん家行くかーって」
アキラを姫抱きし、平然と言い放った。
「あ、もうヤることは確定したんだ」
「イヤか?」
「全然?むしろ、俺が後で行こうと思ってた」
アキラは大人しくシャークんに抱かれ、シャークんは自分の家へ愛しい番を連れ帰った。
僕は自分の家へ向かう前に、研究所の外で葉巻を嗜んでいた老齢な研究者に、アキラさんから頼まれた手紙を渡した。
「あの方は面倒臭がって…まあ、定期診察に来ない白虎様よりはマシか…」
「あの」
「ああ、申し訳ありません玄武様。お気になさらないでください」
「あの、その二人ということは、先祖返りに関わることですか?」
それを聞いた目の前の研究者は、目を丸くして僕を見てきた。
「なんと、もう知っておられましたか。ええ、そうです。私は医者をやっておりまして、かつては先代玄武様の右腕を務めさせていただいたこともあるんですよ」
「先祖返りはやはり危険なんですか?その、身体とか」
アキラさんの体内で炎が蠢いている、という話を聞いた時から薄々思っていた。それって、かなり危ないことなんじゃないか、と。
「ああ、朱雀様は話しておられないのか。でしたら、私からは何も話すことはできませんね」
「分かり、ました…いつか、話してくれますかね」
僕が言った言葉に、ニコリと笑いかけ
「ええ。貴方様はまだ幼すぎる。きっと、大きくなれば四神の皆様が教えてくださるでしょう」
「ありがとうございました。僕の話を聞いてくれて」
「いいえ。私は貴方様の従者です。これくらい、些末なことですよ」
研究者は去って行き、僕も家に帰ることにした。
次の日の朝、突然アキラさんから矢文が飛んできた。思っていたより原始的な連絡方法なんだな、なんて思いながら矢にくくられていた紙を読む。
「ごめん伝え忘れた!今日は聖殿じゃなくて西の駐屯地近くの道場ね!…ですか」
え、もしかして西から飛んできたの?アキラさん?いや、普段弓を扱うスマイルさんか?でも武器の扱いはシャークんさんが一番上手いらしいし…誰にしても、僕の小屋の小窓に当てるなんて、まさに神業としか言いようがない。
「道場なら、やっぱり今日は護身術を学ぶのか」
連れ去られかけた時は本当に何も出来なかったからなー。できるだけ早く修得したい。
「とりあえず、朝ごはんを済ませよう」
今日は激しく動く可能性が高いから、いつもより多めに朝ごはんを食べてきた。駐屯地、というと僕が初めて西に来た時のあそこだよな…よくよく考えると、この辺りは道場や修行場が多い。駐屯地近くにももちろん沢山ある。もっと具体的な名前はついていないのかな。
「あ、あったあった。道に迷ったかと思った〜」
とりあえず見つけた一際大きな建物を目の前に門を眺める。
(開いてる…勝手に入っていい、のかな)
僕は恐る恐る中を覗いた。すると
「…」
「…」
ゴッ、ガっ、ドッ…と鈍い音が聞こえ、スマイルさんとアキラさんが手合わせをしている所が見えた。それと、いつかのアキラさんと同じように、段差に腰掛けてその光景を眺めているシャークんさんも見つけた。僕は二人の邪魔をしないよう遠回りをしながらシャークんさんに近付く。
「お、ピヤノおはよ」
「おはようございます…あの、これは?」
「いやーなんかアキラがさ、前はピヤノに譲ったから俺もやりたいって」
譲った…ああ、あの特訓のことを言っているのか。確かにアキラさんも参加したそうだったもんなー。でも
「スマイルさん、前回と違って本を持っていないし、なんなら反撃もしてますよね」
アキラさんが蹴りをくり出したらそれをいなして右フックかましてるし…とにかく素人から見てもすごい戦いをしていることは分かった。
「シャークんさんは参加…え?!?」
参加しないんですか?と続けようとした言葉は、シャークんさんの顔に残る赤い痕によって止まってしまった。その痕はまるで、凄い力で殴られたような
「ど、どうしたんですかそれ?!」
「ああこれ?大したものじゃないよ。多分、二人の手合わせが終わったくらいにはなくなってると思う」
(言えねー…昨日気持ちよすぎて正気を飛ばした挙句、中に出そうとしたらアキラに思いっきり蹴られたなんて…)
(?シャークんさん、あまり触れてほしくなさそうだな…この話はやめとこう)
僕は何か話題を変えようと思い、とりあえず聞きたいことを聞くことにした
「あの」
「ん?」
「いつからやってるんですか?」
「んー」
シャークんさんは近くに置いていた桶から水を掬って
「まあ、4時間前くらいじゃね。朝5時くらいからだし」
「よ、4時間この状態が続いてるんですか?!」
あっけらかんと答え、水を飲みだした。まさか、シャークんさんずっとここで見てるのか?この…なんの進展もない攻防を?
「ちなみに、どうやったら勝ち、とか…」
「え?あー…決まってないんじゃね?多分、アキラの集中力が切れるまで」
「…あの人かなり長いですよね」
「スマイルはもっと長い」
僕は頭を抱えた。これもう一旦帰って二度寝してから来た方がいいんじゃないかとさえ思える。
「あれ?!もう8時?!」
「お、ピヤノおはよう」
「おはようございます」
何故かアキラさんが僕がいることに気付いてくれたため、二度寝案は静かに崩れ去ってしまった。
「じゃあスマイル、あっちの道場借りるわ」
「ああ。壊さなければ好きに使ってくれ。シャークんはこっち来い」
「お。やっと茶でも出してくれんの?」
「いやこれはさぁ。アキラから仕掛けてきた勝負なわけじゃん?で、シャークんはなんかアキラと一緒にちゃっかり西に来ただけだろ?つまりさ、別に正式な客ってわけでもないんだからそんな、何、茶とか気をつかうような間柄ではないっていうかさ、期待でもしてたんかよって感じでさ」
「あーはいはい。さっさとお前ん家行こう」
スマイルさんが色々こねくり回したような言い回しで一方的に喋っていたが、シャークんさんが面倒そうにいなしてて、長い付き合いを感じる。
「俺らも移動しよ」
道場で、道着に着替えてからアキラさんの元へ向かう。なんだか本格的でちょっと緊張してきた。
「あ、来たね。じゃあまず身体解そっか」
アキラさんの動きを真似る。なんか、身体柔らかすぎないかあの人。僕がどれだけ頑張ってもあそこまでは出来ない。
(あれ、もしかして僕、身体めちゃくちゃ硬い…?)
「ピヤノ大丈夫?ゆっくりやってこ!」
アキラさんが明るく声を掛けてくれる。確かにこれで無理したら医者になる前に患者になってしまうかもしれない。僕は無理のない範囲で身体を解し、早速アキラさんと向き合った。
「ピヤノ、全力でここに蹴り入れてみて」
アキラさんが何かクッションのようなものを持ち、分かりやすいよう指を指している。
「えっと…えい!」
「そうそう。ピヤノ結構力強いね!」
「そう、ですかね」
「うん。成長は早いなあ」
しみじみと感慨深くそう呟くアキラさん。そっか、僕も成長出来ているんだ。
「なら今日からもう踏み込んだことやろう!ピヤノ。思いっきり俺のこと殴って」
「えっ」
「あ、殴られたいとかじゃないよ!合気道教えるために流される側を体験してもらおうと思っただけで」
びっくりした。アキラさんが急にドMというものになったのかと思った。でも、正直慌てて説明している方が誤魔化しているようでなんか
(いや。これ以上考えるのはやめておこう)
その後は合気道について教えてもらい、差し入れに来てくれたスマイルさんとシャークんさんと一緒に茶菓子を食べながら談笑した。なんか、皆さんの僕を見る目が子供を見ているようで落ち着かなかったですけど。
「そろそろお開きかなー」
「結構長居したな」
「別にいいよ。ぶっちゃけ俺、仕事ほとんどないし」
「えっ?!大変そうなのに、暇なんですか?」
「そうだな。俺が対応するレベルのことなんて滅多に起きないs」
「あー!」
スマイルさんの言葉を遮るようにアキラさんが大声を上げる。
「ごめんごめんピヤノ!今日これ渡そうと思ってこっちに来てもらってたのに」
そう言いながら外に出て行ったアキラさんを見送り、残った二人に目をやる。
「ああ、アレか」
「まあ、武器庫だな」
「武器庫?」
「ピヤノの武器だよ。俺の剣とかみたいな」
僕今日合気道習っただけなんですけど?!という問いは、これまた騒がしい足音と扉を勢いよく開ける音に遮られた。
「あ゛ー…武器多すぎ!ちょっとは整理しろよ!」
「分かりやすい場所にあるんだからいいだろ」
「分かりやすい場所…?」
三人はそんな会話を繰り広げているが、僕はアキラさんが持ってきた箱の中身が気になって仕方がなかった。形は細長く、剣なら入るんじゃないかという横幅。ただ、異様に長いため、細長い大剣でも入っているのか?という印象だった。
「あの、中身は…?」
「ああ、そうだね。気になるよね」
アキラさんは慌てて箱を開こうとした。しかしその動きは突然ピタリと止まり、いいこと思いついたといわんばかりの顔でこっちを見た。
「ピヤノは何入ってると思う?」
「はぁ…」
「おい…」
アキラさんはニヤニヤと聞いてくるし、二人は呆れたようにアキラさんを見ている。この人は悪戯っ子か。僕より年上だけど!
「え、えーっと…長い、剣?」
「不正解!」
「今正解って言わなかったか?」
「ややこしいから違う言い方にしろよ」
今言うこと絶対それじゃないですよね?!助けてくださいよ!の意を込めて二人を見つめる。すると二人して目を逸らしてきた。なんで!教えてくださいよもう!
「あ!槍!槍なんじゃないですか?その長さ!」
絶対長い剣より可能性ある!これは見せてもらえるか?
「違います!」
「違う?!あと何…長い?え、こ、棍棒?」
「じゃーヒントね!」
蓋を持ち、そう答えるアキラさん。まあ棍棒なわけないですよね。そして一瞬だけチラッと開けた。
「早すぎますよ!」
「見せたら答えになっちゃu…いてぇ!」
「何をしている。鳥坊」
僕をからかっていたアキラさんにやっと鉄槌が下された。後ろに立っていたのは、立派な角と太い尻尾を持つ、屈強な男の人だった。
(あれ?この人なんか…)
「ちょっと青龍さんー。いきなり殴るのはやめてくださいよ」
「新たな玄武をいじめるお前のせいであろう」
「ああそっか。ピヤノは初めて会うもんな」
シャークんさんが僕を抱っこし、青龍さんと呼ばれた人の目の前に下ろされる。
「親父。こいつが新しい玄武のピヤノ」
「うむ。紹介しに来るのが随分遅かったな」
「悪い悪い」
「え、お、親父?」
「そ。俺の父親で、前任青龍」
「あ、はじめまして。えっと、青龍さん?」
「今は隠居の身だ。そんな重苦しい呼び方でなくてよい」
え、でもそれ以外なんて呼べば…。そう悩んでいると、シャークんさんが耳元で
「悪いピヤノ。ちょっとおじいちゃんって呼んでやってくれないか」
「お、おじいちゃん?」
僕がそう呼んだ瞬間、威厳に満ちた厳しそうな顔が少し緩み、僕の頭をガシガシと撫でてきた。どういう…?
「箱の中身が気になっていたな。どれ、おじいちゃんと一緒に中を検めよう」
「本当に青龍さんって子供好きだよねー」
今度は青龍さ…おじいちゃんに抱えあげられ、箱の前に行く。触ってみると、すべすべとした肌触りの木で出来た、上質なものだと察せられる。
「あ、開けますね」
中に入っていたのは
「…杖、ですかね」
「ああ。前任玄武は鍛造が趣味でな。これは最高傑作だと言っていた」
「凄いものらしいよ。秘められた力を使えるのは玄武だけだ、って酔った時自慢してたし」
「…大きい、ですね」
僕の身長なんて軽々と越してしまう長さの杖を持ってみる。大きさの割には軽く、僕でも難なく持ててしまうくらいだった。
「えっと、貰っていいんですか?」
「前任玄武からの遺言だからな」
もう遅くなってきたため、おじいちゃんにおぶられて帰路についた。これは、慣れていくしかないかもしれない。
(中々に、変わった方だったな)
__________________
分からなかった所はコメントにて教えてください!
ps.おれスカ壊胎に脳を焼かれ続けているひじきさんだよ
コメント
2件

すみません。何故か返信が出来なくなってしまったため、コメントにてお伝えします。お読みいただきありがとうございます!読むのお早いのにそこまでの感想をいただけるとは思いませんでした!
読み終えたよ!いやー、今回は世界観の裏側がどんどん明らかになってきて面白かった。先祖返りの設定が特に気になったな。アキラさんが発火しちゃうのも、スマイルさんの定期的な暴走も、そういう「力の代償」としての短命の話も…構造としてよくできてる。 あと、ピヤノがちゃんとノート取って疑問を整理してるところに、研究者としての育ち方が感じられて応援したくなる。最後の杖も「前任玄武の最高傑作」ってのが奥行きあって良いね。これからどう使っていくのか、すごく楽しみ!