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ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜
第151話 - ○○は『ケンカ戦国チャンピオンシップ』を観に行くそうです その22
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2024年01月21日
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2024年01月21日
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『オメガ・レジェンド』との決着をつけに行くと言い出したナオト(『第二形態』になった副作用でショタ化してしまった主人公)と共に『ケンカ戦国チャンピオンシップ』の会場へと向かったミノリ(吸血鬼)とミカン(翼が四枚生えている天使)。
『第三形態』の力を使いこなし、見事『オメガ・レジェンド』に勝利したナオトだったが『オメガ・レジェンド』の『絶対凍結《アブソリュートフリーズ》』によって凍らされてしまった。
凍らされてしまったナオトを本部席へと運んだミカン。
彼の行動に怒りを露わにしたミノリ。
ミノリ対オメガの戦い。
ミノリは禁忌の力である『|強欲の女王の形態《グリード・クイーン・モード》』を発動し、彼を圧倒していた。
しかし、彼が『闇の精霊』を身に纏《まと》ったことで勝負の行方は分からなくなってしまった……。
「たあああああああああああああああああああ!!」
「むううううううううううううううううううん!!」
金髪ツインテールと金色の瞳と金色のドレスが特徴的なミノリ(禁忌の力を発動した吸血鬼)と黒い鎧とその頭部にある牛のような角と赤い瞳が特徴的な『オメガ・レジェンド』(はぐれモンスターチルドレン討伐隊司令)の戦いは熾烈を極めていた。
お互い、奥の手を使うとは思っていなかったようだが殴り合いになることは予想していた。
だって、お互いの奥の手には副武装などついていなかったのだから……。
しばらく殴り合いが続いていたが、両者は突然、後退した。
「あんた……なかなか……やるじゃないの」
「大罪持ちのモンスターチルドレンが……これほどまでとは……思いもしなかった」
息を整えながら、言葉を交わす両者は苦し紛れの笑みを浮かべていた。
その後、二人は自分自身に喝《かつ》を入れた。
「さっさとやられなさああああああああああい!!」
「それはこちらのセリフだあああああああああ!!」
どうやら勝敗が決するのは、もう少し先のようだ。
*
その頃、その会場の本部席では。
「ドウシヨウ……ナオトガ……ナオトガ……!」
どうにかナオトを本部席まで運んだミカンであったが、彼女は火の魔法を使えないため何もできずにいた。
その時、実況の『トワイライト・アクセル』さんが赤色の液体が入ったポーションを持ってきた。
「これでナオトさんの氷を少しずつ溶かしていくしかありませんが、あなたのそのシッポも使えそうです。それで氷を少しずつ砕いてもらえませんか?」
「ソウスレバ、ナオトハ、タスカルノ?」
うつ伏せのナオト(黄色い鎧を纏《まと》ったまま凍っている)の近くに立っているミカンは少し涙目になりながら、そう言った。
「助かるかどうかは分かりませんが、今やれるのはそれくらいしかありません。なので、協力してもらえませんか?」
ミカンは涙を拭うと、今自分にできることをやろうと思った。
「ワカッタ。キョウリョク、スル」
「ありがとうございます。それでは、始め……」
その時、氷に亀裂が入り、徐々に広がっていった。そして……。
「ふっかああああああああああああああああつ!!」
氷を内側から砕いたナオトは両手を振り上げながら、そう言った。
彼は何事もなかったかのように立ち上がると、肩をグルグルと回した。
「ふぅー、この世界の氷系魔法が気合いでなんとかなるレベルで助か……」
「ナオトオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ミカンは復活したナオトに抱きつくと、今まで我慢していた感情を爆発させた。
「おー、よしよし。ごめんな、心配させて」
そう言いながら、優しく頭を撫でるナオトに対してミカンは。
「ナオトノ、バカ! シンパイ、サセナイデヨオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「おいおい、あんまり泣くなよ。体の水分が全部、抜けちまうぞ?」
「ダッテ! ……ダッテ!」
ナオトの方を向いたミカンの顔は涙でしっとりしていたが、ナオトはミカンの目尻に溜まっている涙を優しく拭った。
「心配してくれて、ありがとな。けど、俺はこの通りピンピンしてるから、もう泣かないでくれ」
「……ウン、ソウスル」
「よしよし、えらいぞ、ミカン」
「……エヘヘ」
頭を撫でられて嬉しそうにフリフリと動く先端がドリルになっているシッポは本当に生きているかのようであった。
「それじゃあ、そろそろミノリのところに行くとするか。あっ、そうだ。トワイライトさん、ちょっといいか?」
「は、はい! なんでしょう?」
急に名前を呼ばれた『トワイライト・アクセル』さんが、ナオトの真正面に移動すると、ナオトはこう言った。
「ちょっとミノリのところに行ってくるから、ミカンのこと頼めるか?」
「えっ? それは、この子のことですか?」
「あー、そっか。俺が名前をつける前は『ハル』って呼ばれてたから、知らないんだよな。すまない」
「い、いえ、私は別に……。えーっと、私はこの子を見てればいいんですか?」
「ああ、そうだ。まあ、俺と|オメガ《あいつ》との決着がつくまでだけどな」
「……分かりました。死なないでくださいね」
「おいおい、そこは『ご武運を』とか言うんじゃないのか?」
「この大会でのあなたの戦いぶりを目の当たりにした私にとっては、『死ぬな』と言った方がいいと思いまして」
「……そっか。けど、俺は別に死ぬつもりはないよ。俺には待っててくれる家族がいるから……」
「……そうですか」
「……ああ、そうだ」
数秒間、沈黙が続いた。
「それじゃあ、行ってくる」
「はい、お気をつけて」
「イッテラッシャイ、ナオト」
「ミカン、トワイライトお姉さんの言うことはちゃんと聞くんだぞ?」
ナオトがミカンの頭を撫でると。
「ウン、ワカッタ!」
ミカンは満面の笑みを浮かべた。
ナオトは闘技場の方を向くと。
「そんじゃあ、行くか!」
雷レベルのスピードで闘技場の方へと向かった。