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「一虎、なんで俺をここに…」

「あー、いや。会いたくなってね、ここじゃなんだし部屋行こっか」


一虎の召使い(奴隷)が重い扉を開けた。


「おじゃまします…って、ぇ、」

「ん?どうかした?」

「い、いや、なんでも…」


部屋の真ん中には人形のようにハイライトを失ったお嬢様の姿があった。

服は着せ替えられており、まるで着せ替え人形だった。


さぁ座って、と一虎は何もないかの様に落ち着いて話を進める。

お茶を出されたが、もしこれを飲めば自分もお嬢様みたいに……なんて思ってしまうので、飲まない。


「それで、場地は今まで何処に住んでたのさ。心配してた、ずっと」

「あ、あぁ…俺は…」



「え、めっちゃ気になる所でお話終わるじゃん」

「待っててよ、まだ2巻発売されてないんだから」

「えー…早く読みてぇんだけど」


武道と千冬は最近発売された「雪が解けるときに。」という小説を読んでいた。

本来二人は本など興味はないのだが、千冬が「なんか無性に読みたい」と言い出すので武道も珍しく思い、二人でお金を出し合って買ったものだった。

この話の登場人物は自分達と奇跡と言っていい程同じ名前の人が出てくるので、劇を見ているような、次は誰が何の役をやっているのか、なんて考えながら読んでいたら面白くて二人はハマってしまった。


「たーけみっち!何の小説読んでるの?」

「うわっ!?」


我らが総長のマイキーが武道に話しかけてきた。

武道は、突然の事で驚いて思わす本を投げた。


「よっ、と…なになに?『雪が解けるころに。』…?コレ面白いの?」

「面白いんですよ、俺らと同じ名前の人が出てきて……」


マイキーが投げられた本をキャッチすると本を1ページめくる。


「霜降…?んー、?ん!?千冬?千冬お姫様なの…!?」

「違いますー!この話の中だけですから」

「武道は能力使わないタイムリーパーだって(笑)」


タイムリーパーという事実は間違ってないので、武道は黙り込む。


「俺、この中だと霜降の最強能力使えちゃいますよ!」

「ってか、俺の能力分かってないじゃん……なんだろ、俺最強だからなぁ」

「えー!絶対書いてあるでしょ」


確かにマイキーの能力は明らかになっていない。

千冬は、何故かマイキーに能力があると根拠はないがあるように感じられた。


「んー本当だ、書いてないですねぇ…」

「だろ!?」

「もしかしたらマイキー君、能力持ってないかもしれませんよー!?」


何を思ったのか、久しぶりに口を開いたと思えばマイキーの気に触る事を言い出したので千冬は驚いた。

まぁ、彼に能力がないという可能性はあるだろう。


「は!?たーけーみーっちー?」

「ひぇ…」

「ふふ、たけみっち頑張れよー」


千冬はこの小説に何故か切なさを覚えていた。

この小説を読むと何故かマイキーに対して懐かしく、会えば嬉しくなっていた。

なぜ、そう思うのか。

マイキーに対するその気持ちは一体なんなのか。

モヤモヤは治まらなかった。

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