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「これからどうするの?」
「う~ん、どうしようかな」
行先は、きっと決まってるんだろうと思う。はぐらかすように笑う悠人がなんだか子どもみたいで可愛い。
それ以上は聞かないようにして、私達はまた車に乗り込んで走りだした。
それほど混んではいない高速道路を走り抜け、一般道路をしばらく行くと、目の前に青い海が広がった。
「うわぁ、綺麗な海。水面がキラキラ光ってる」
「この海は初めて来たけど、もう少し行けば水族館がある。その屋上の高台からは、海を見下ろせるみたいだ」
「こんな素敵なところに悠人と来れて、すごく嬉しいよ。水族館なんて久しぶり」
海を見ながら車を走らせていると、すぐに大きな建物が見えてきた。
とても立派な水族館だ。正直、水族館なんて小学校の遠足以来だ。中に入ると、神秘的でブルーな大水槽が目に飛び込んできた。その中を泳ぎ回る魚達を見ていると、気づかないうちに気持ちは童心に返っていた。
きっとこの興奮は、悠人と一緒だから感じられるものなんだろう。好きな人と2人きりでこんな素敵な場所に来られたことが嬉しくてたまらない。
アンナには申し訳ないけど、今日は悠人と私、2人だけのデートを満喫させてもらおう。
水族館の中は広くて、ゆっくり見ていたら夕方になっていた。楽しい時間は、本当にあっという間に過ぎる。
私は、以前、悠人と行った遊園地のことをふと思い出した。あの時も、時間が経つのがすごく早かった。指輪をもらって、プロポーズしてもらったあの日。
あれから、私はずっと幸せだ……
すぐそばで悠人が支えてくれ、守ってくれたから。
あなたがくれた目に見える物、見えない物、その全ての愛情に、私は無上の幸せを感じ、いつの時もそれを噛み締めている。
「穂乃果、水族館の隣にプラネタリウムがあるんだ。行ってみよう」
プラネタリウム、今まで1度も行ったことがなかった。いつも、自然の星空しか見たことがなかったから。
中に入るとすごく空いていて、私達の座席の周りは誰もいなかった。
シートに腰を降ろして天井を見上げた。
すごい……
満天の星空が一面に広がっている。
何だか不思議だ。
本物じゃないけど、心が震えて涙が出そうだ。
悠人はそんな私の手をそっと握ってくれた。
私は、その幻想的な光景にどんどん惹き込まれていった。天文学的で計り知れない程、壮大な星空。人間は、それに比べたら本当にちっぽけな存在。
悠人と私が、たまたまこの地球で出会う確率って、いったいどれくらいなんだろう。そんなこと誰にもわかるはずないんだけど、きっと想像もできないくらい大きな数字になることは明確だった。