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きっと私達は、運命に引き寄せられて出会うべくして出会えたんだって強く思えた。
ずっと昔から、悠人と私は赤い糸で結ばれていた。
だったら私は、この幸せを絶対に失いたくない。
一生、悠人と一緒にいたい、そして、生まれ変わってもまた、この星空の下、あなたと出会いたい。
そんなことを思って私は涙をにじませた。
プラネタリウムの上映は、感動の中、終了した。
「綺麗だったね。とても素敵だった」
「ああ、本当に」
「連れて来てくれてありがとう」
ありきたりの言葉でごめんなさい。
でも私は、この短い時間の間に、言葉にできない程の喜びを感じられた。
「屋上から海を見てみよう。そろそろ日が落ちるから、その前に」
私達は、手を繋いで水族館の屋上にあるテラスに向かった。
「うわぁ、すごい。夕陽がもうすぐ沈みそう」
手すりの向こうに広がる壮大な海、それをオレンジに照らす夕陽。
プラネタリウムの感動を引きずりながら、さらにまた深く心を揺さぶられた。
この景色を絶対に忘れることはないだろう――
心の奥に焼き付けるように、私は目の前の叙景を見つめた。
「穂乃果、大好きだよ」
海を見ながら言ってくれたその短い一言が、私の胸を熱くした。
感動で声にならなくて、ただうなづくしかできなかった。
「またこの景色、2人で見にこよう。毎年、毎年、ずっと……いつまでも」
「うん。そうだね……」
私達はその美し過ぎるオレンジと黒の情景を前にして、夕陽が地平線に沈み切るその瞬間まで、動くことができなかった。
ずっと2人、手を重ね、心を重ねながら――
素晴らしかった2人だけの時間は、これでおしまい。
可愛いアンナが待ってるから、もう帰ろう。
悠人が私の背中に優しく手を当ててくれ、私達はゆっくりと歩き出した。