テラーノベル
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それは、**偶然**だった。
銃撃もなく、ロケランもなく、
ただの情報受け渡し――のはずだった。
「で? 用件は?」
つぼ浦が腕を組む。
「今日は“教育”しに来たわけじゃねぇよな、ハンバーガー」
「今日は確認のみだ」
ヴァンダーマーは落ち着いている。
「進捗を記録する」
「記録……?」
その時、風が吹いた。
ヴァンダーマーのコートの内側から、
**紙の束**がちらりと見える。
「……なぁ」
つぼ浦が目を細める。
「今、なんか見えたぞ」
「気のせいだ」
「絶対紙だろ」
「風だ」
「風でメモは出ねぇよ!!」
つぼ浦は一歩踏み込む。
「おい、ヴァンダーマー。見せろ」
「拒否する」
「犯罪者の拒否権は無効だ」
即座につぼ浦は手錠を掛ける。
「やめろ」
「やだ」
――ひらり。
紙が一枚、地面に落ちた。
「……」
「……」
「……」
つぼ浦が拾い上げる。
「――**進捗メモ:特殊刑事課・つぼ浦**」
「」
時間が止まった。
「……は?」
震える声。
「……なにこれ」
箇条書きだった。
* 呼称を間違えると反応が強い
* 下品な語彙に耐性が極端に低い
* 武装時(特にロケラン)に思考停止しやすい
* 羞恥>怒り>恐怖
* 観察対象として非常に優秀
「……」
つぼ浦の顔が、赤→青→赤と忙しく変わる。
「……お前……」
「合理的な記録だ」
「研究対象にすんなァァァ!!」
ヴァンダーマーは動じない。
「感情の発生条件を把握する必要がある」
「それをストーカーって言うんだよ!!」
さらに、下の方。
* 教育段階:未完了
* 本人の自覚:低
* 接触頻度:増やすべき
「増やすな!!!!」
つぼ浦は紙を振り回す。
「永久指名手配犯が何冷静にPDCA回してんだよ!!」
「無駄は嫌いでな」
「効率求めるなこんなことで!!」
ヴァンダーマーは一拍置いて、
珍しく言葉を選んだ。
「……儂は」
低い声。
「これまで、誰にもこういう記録をつけたことはない」
つぼ浦は、言葉に詰まる。
「初めてだ」
「……言い方が重いんだよ……」
「重いか?」
「重い!!!」
ヴァンダーマーはメモを回収する。
「進捗は良好だ」
「何が良好だよ……」
「次回は」
一歩近づく。
「第二段階を実施する」
「予告すんなァァァァ!!」
去っていく背中を見ながら、
つぼ浦は悟った。
――**逃げ場がない。**
そしてヴァンダーマーは、
今日もまた静かにメモを更新した。
* 赤面頻度:上昇
* 抵抗:言語のみ
* 楽しさ:継続
**極めて良好。**
警察署・自席。
「……よし」
つぼ浦はノートを開いた。
表紙には雑な文字。
**《ヴァン観察メモ》**
「やられっぱなしは性に合わねぇ」
小さく呟く。
「観察されるなら、観察し返す」
ペンを走らせる。
* 名前:ヴァンダーマー(自称)
* 通称:ヴァンダマー/キャンターマー/ハンバーガー/半チャーハン/ファンヒーター
* 立場:モズのボス/永久指名手配犯
* 特徴:戦闘力異常、冷静、感情が揺れない
「ここまでは事実だな」
少し間を置いて、次。
* 下ネタ耐性:異常に高い(というか好き)
* 反応:基本的に楽しそう
* 特記事項:俺を見ると寄ってくる
「……」
ペンが止まる。
「いや、待て」
「“俺を見ると”は主観だ」
書き直す。
* 特記事項:対象(俺)への接近頻度が高い
「……なんで“俺”って書いた」
軽く首を振って続ける。
* 行動傾向:
・下ネタを振る
・反応を観察
・満足すると去る
「完全にワクワクセクハラおじさんだな」
そう言いながら、
次の行を書く手が、なぜか止まらない。
* 表情:
・基本無
・たまに口角が上がる(俺の反応時)
「…………」
その時。
「随分と熱心だな」
「うわァ!!?」
ペンが跳ねる。
「な、なに堂々と後ろ取ってんだよ!!」
「警戒が甘い」
「うるせえ!!!!」
ヴァンダーマーは、つぼ浦の机を見下ろす。
そして、ノートに視線を落とした。
「……」
「見るな!!」
「それは――」
一拍。
「観察メモか」
「…」
つぼ浦は視線を逸らす。
「……やり返してるだけだ」
「ほう」
ヴァンダーマーは静かに言う。
「儂を?」
「悪いかよ」
「いや」
少し、間。
「光栄だ」
「キモい言い方すんな!!」
ヴァンダーマーは、内容を一行ずつ追う。
否定もしない。
訂正もしない。
「概ね正確だ」
「採点すんな!!」
ただ、一箇所で止まる。
「“俺を見ると寄ってくる”」
「消したって言っただろ!!」
「消えていない」
「書き直す前だったんだよ!!」
「だが」
ヴァンダーマーは淡々と続ける。
「事実だ」
「認めるな!!!」
少しだけ、声が低くなる。
「……儂は」
「言うな」
「お前の行動が――」
「言うなって言ってんだろ!!」
つぼ浦はノートを閉じる。
「これは業務だ! 分析だ! 感情じゃねぇ!!」
「承知した」
ヴァンダーマーは頷く。
「なら、儂も協力しよう」
「は?」
「観察対象が自覚的である方が、精度は上がる」
「共同研究みたいに言うな!!!」
踵を返す前、
ヴァンダーマーは一言だけ残す。
「次は」
「次は何だよ」
「“楽しい理由”を書き足すといい」
「書くかァァァ!!」
去っていく背中を見送りながら、
つぼ浦はノートを見下ろした。
――そして、気づかない。
ページの端に、無意識に書いていた文字に。
**・接近されると腹が立つ
・でも目は離せない**
ここで終わりです。
ここまで読んで頂きありがとうございます❕
チャッピーいい話書くね、
ストグラ知識無いので変だったらすみません。。
これからもチャッピー使っていきます❕
ノシ
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